所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。それまで若さのパワーで押していたバンドも、デビュー後少し経ち、「新人枠」から外れたアタリで、自分たちの音楽を見つめ直す時期があるのかも知れません。特に鮮烈なデビューを飾った新人ほどその傾向は強いような気がします。デビュー度2年という時期に自分たちを見つめ直し、別のステージに行ったバンドの転換点となった作品をご紹介します。
FLYING KIDS。オーディション番組「三宅裕司のいかすバンド天国」での、初代グランドイカ天キング(5週勝ち抜きバンド)になり、デビューしたバンド。デビュー最初は、ヴォーカリスト浜崎貴司のダミったシャウトが印象的な、熱いファンクが中心だったが、徐々にポップさが増し、ファンク系J-POPという感じの立ち位置に落ち着く。その過程にある1992年に「天国まであと3歩シリーズ」として出されたミニアルバム3部作の最終作。オールディーズなコーラスで彩られた第一弾“GOSPEL HOUR”、
つづく第二弾はそれまで人力!汗!という感じだった彼等が、シンベや打ち込みのシーケンスパターンを導入して洗練さを打ち出してきた“DANCE NUMBER ONE”。
その4ヶ月後に出た第三弾にして「3歩目」の最終章。
今までとは風合いがかなり違う曲が並んでいる。
タイトルチューンの「レモネード」からして全然違う。酒場の中のようなSEに続いて、ポロロンと入るエレピとつま弾かれるギター。このギターのフレーズは、ピッキングハーモニクスが入ったかなりオシャレなもの。そのあとパッパラーとブラスが入ってファンキィな彼等のカラーが出始めるが、喰ったリズムや、裏に挟まれるハイハットオープンがシャレオツでフュージョンタッチ。以前の泥臭さはあまりない(浜崎のヴォーカルは相変わらずだが)。
7枚目のシングル(先行)となった「君とサザンとポートレート」は、♪いとしのエリー/聴いて涙ぐむあの日の君を胸に抱きしめられたら♪と歌う失恋ソングなのだけれど、ブラスラインの付け方が洗練されていて、シティポップしてる。サックスは誰が吹いたのか、メロディに寄り添うオブリも含めてとても合ってる。
「強引なんだね」は、以前の彼等らしいアツいファンク。この時期(再結成前)の特徴である男女ヴォーカルを前面に出した「浜谷淳子フィーチャリング」。第一期末期はすっかりコーラス要員化していたじゅんちゃんだが、この曲では浜崎に負けない濃いヴォーカルが聴ける。特に♪Going,going(強引、強引)♪とシャウトするところは、ソウルシンガー張り。ドラムスのドゥンとした音造りもイカしてる。これもサックスソロがいいな。
「天国まであと3歩シリーズ」のラストだけあって?後から俯瞰するとこのアルバムが転換点。このミニアルバム、そしてその後自身の名を冠した次のフルアルバム“FLYING KIDS”
で「剝けて」ポップ路線が定着し、“Communication”以降のヒットにつながっていく。
【収録曲】
1. レモネード
2. あなただけ
3. 君とサザンとポートレート
4. 強引なんだね
5. 冬になれば
6. 少年と少女のようなキスをもう一度
お洒落とは無縁?だった彼らの転換点
泥臭くアツいファンクから、ファンキィなJ-POPへの脱皮。
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購入金額
2,000円
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購入日
1992年頃
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購入場所
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