電源系ゲームのRPGでは、元祖と言われることも多い、ウィザードリィ。
その第一作狂王の試練場を再現するという流れで作られたのが、ウィザードリィRPGです。
元のコンピュータ版は、D&D或いはAD&Dをソリティアにする為に作られているので、逆変換のような感じでしょうね。
ウィザードリィらしさを残す事は、即ち、D&Dの理によって紡がれたルールを引き継ぐ事になりますので、大幅な転換は無い感じかな。
命中率の判定が、20面ダイスを使う形から、細かなパーセンテージダイス(100面ダイス)を使用する形になった事位が差異かも。
まあ、TRPGの肝は、システムだけではなく、世界観、冒険の舞台の色ですから。
(某呪われた島の戦記も、初登場は別のシステムを借りていましたし)
独自の名前が付いた呪文、アイテム、モンスターたち。
そして、登場人物。
それらが織りなす世界観が、ウィザードリィでした。
電源ゲームから、ダイスと鉛筆を武具として戦うTRPGになっても、そのフレーバーこそがウィザードリィ。
だったのですけれどもねー。
名付けられることで、世界は姿を成す。
名詮自性とも言いますでしょうか。
システム的にはD&Dを親に持つ、或いは、そのまま模倣の部分もあるのですが。
ウィザードリィを構成するものは、やはり、名前。
キャラクターを冒険に誘う王の。
迷宮奥深くに潜む大魔導士の。
行く手を遮る怪物たちの。
困難を打ち砕く呪文の。
敵を切り払う武具の。
名前。
それは、世界を支え、紡ぐ、力なんです。
つまり、何が言いたいのか。
というと。
この復刻版には、ウィザードリィを構成する重要なものが欠けているのです。
そう。
名前。
ボックス版ウィザードリィRPGは、友人と合同で購入した為に、もはや、所在は知れませぬ。
再び手にするには、かなりのプレミア価格を覚悟せねばならないです。
故に、復刻版の存在は嬉しかった。
追加シナリオのトレボー戦役まで収録されているというのも。
ただし、それは、本を開くまでのわずかな間の喜びでした。
冒険の舞台は、「リリガミン市」
そこを支配する狂王「トレヴァー」が布告する。
偉大なる魔法の魔除けを奪って迷宮に潜む、邪悪な魔術師「ワグナー」を討伐せよ。
と。
君たちは、その討伐に参加して、一旗揚げるべく、リリガミンの地を踏んだ。
(;゚Д゚)
( ゚Д゚)
無い。
ウィザードリィを構成する「力の根源」が。
名前の力が。
そもそも。
TREBORとWERDNAの由来は、制作者のアナグラムというか逆さ読みなんですよね。
それを更にもじったら跡形もない。
リ「リ」ガミン。
Llylgamynの綴りから、まあ、子音への音の当て方という見方もなくはないか…。
そして、呪文名は、全て漢字表記になってしまっています。
読み難いですが、画像のワグナーの経歴欄に<>付で記されているのが呪文名です。
効果を表す、分かり易い名前になりましたが、それは、ウィザードリィでなくとも構わない存在です。
カティノもマダルトも、ロルトも、ティルトウェイトも無い。
ボックス版のシナリオの、マダルトを使った言葉遊び的な警告をする魔術師は存在出来ないのですね。
帯と表紙では許されていた名前が、中身では許されていない。
世界観を望むものにとっては、かなりの衝撃ですよ。
もう一度言いますね。
これは、もうウィザードリィではありません。
ととモノのような、ウィザードリィライクな何かです。(ととモノを貶める意図はありません)
こうなると、トレヴァー戦役の中の名前が、以前のそれと違うのかどうかも分からないので、読み替える力を発揮する事も難しいです。
これ、雰囲気を大切にするTRPGとしては致命的なのではないか、と私は考えています。
残念さが、殆どMAXの4.5です。
頂点に達しない理由は、唯一つ。
末弥純さんのイラストが収録されているから。
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購入金額
1,680円
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購入日
2017年06月24日
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購入場所
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