ワインに付けられた漢字は、ワイナリーオーナーがご家族の名前からとったものだそうです。

2005年のワイナリーを立ち上げた時の動機そのものが、お二人の娘さんがいずれ嫁がれる時に

自分たちのワインで祝ってやりたい、そして嫁いだ後も自分たちのオリジンを忘れないようにと

違い鷹の羽の家紋をあしらい、お名前から漢字をひとつ　ということだそうです。

園は、漢字を書き上げたオーナー夫人である杉本美代子さんの旧姓である園田から。

今回頂戴したワインは、別料金でしつらえることができる桐箱に入っておりましたが

その表にも　違い鷹の羽の紋が刻印されておりました。

ワイン口は、特殊な樹脂で覆われています。　これは人肌で数分温めるか　湯に浸す　もしくはドライヤーなどで暖めないと　切ることが難しい　とても硬いものでした。

しかしワインに同封されている注意書きに従うことで　綺麗に切ることが出来ます。

販売後、ワインセラーで長期に渡って保存されることも想定した上での工夫だと思われます。

2015年のワインですので、コルクの状態も若いです。

いただいた方が酒屋さんで聞いてこられた話によると、まだまだ若いワインなので　良いワインセラーをお持ちの方なら、寝かせておくのも面白いですよ　とのこと。

うちにはワインセラーも地下室もありませんので、思い切って栓を開けました。

しばしば抜栓とともに芳醇な香りが立ち込めるという表現を使いますが、

このワインにおいては、芳醇というより新鮮　立ち込めるというより　香り立つ

色も　まるでボジョレヌーボの様に　透明感のあるガーネット。

デカンタを勧められていましたので、少し揺らし　少し時間を置きます。

色はボジョレヌーボに似ていると表現しましたが、味わいは全く異なります。

ピノ・ノワール種ブドウならではの、フレッシュで果実味豊かな　軽めの味わい　ですが

ジュースのようなワインではありません。

しっかりとした芯が感じられます。

ワイナリーHPでは

真の日本女性の強さは、パワフル且つエレガント。オーナー夫人をイメージして造り上げました

と記載されておりましたが、言い得て妙とは　このことですね。

小柄で大人しい大和撫子　

年齢を重ねて　今なお華奢で折れそうな腕　和服が似合う柳腰、襟元から覗く白い項　

でも　彼女は母であり妻であり　家庭を守る　ひとりの独立した女性であります。

一定の歳を重ねてもなお　誰もが憧れる　誰もが尊敬する　誰からも愛される　

そんな美しい日本女性を思い浮かべることができるような　そんなワインでした。

四半世紀前　私にとってワインとは　白くて甘いものが最上でした

若さに任せて脂の滴る肉を前にしても、ドイツのブラックタワー白などを合わせておりました。

それが、ある日　西海岸のお土産としてフランシス・コッポラ監督が副業として経営している

カリフォルニアワインセラーからの赤白セットを戴いた時に　運命のサイコロが投げられたのです。

もちろん白も美味しかったのですが、その時の赤の素晴らしさ。

味を理解していたか　香りを理解していたか　それは判りません。

ただただ、それまでになかったほどの速度でワインが減るのです。

生まれて初めて　フルボトルを空にした夜でした。

あくる朝、階段を降りる足元の様子から想像すると　少し酔いは残っていたはず。

にも関わらず　頭が痛いとか　胃の調子が悪いとか　気分がすぐれないなどという症状が無いのです

新鮮な感覚　新しい地平が見えた朝でした。

自分でカリフォルニアワインを買う　という行動はほとんどなく　もっぱら安価なチリワインやイタリア物　千円クラスのフランスワイン　を選ぶことが多いのではありますが

たまに遭遇する　カリフォルニアワインに外れはありません。

今回も　その思いを強くしました。

いただきものではありますが、閲覧者の皆様の為に　一般的な市販価格を掲載しております。

なかなか五桁のワインを楽しむことなどありません。

ましてレストランや料亭で注文したなら　考えただけでも恐ろしいです。

でも　このクラスの贈り物をいただける幸せ

また　このクラスの贈り物を選べる喜び　

などを噛み締めながら　全ての方と　あらゆるものに　感謝しつつ　グラスをかたむけました。