テキサスインスツルメンツ(ナショナルセミコンダクター)から発売されているパワーオペアンプです。本来はサーボ制御向けですが、オーディオに使われることもあります。
パワー感がある
パワーデバイスなので音にもパワー感があります。ドラムのアタックが強く聞こえる気がします。一方でクラシック音楽を聴いたときなど繊細さにはいささか欠けるようです。ただ、推奨ゲイン10倍以上に対して約3.1倍なので発振しているのかもしれません。
過渡応答(A=11 Vin=200mVp-p f=100kHz Rfb=10kΩ 位相補償なし 10:1プローブのみ接続 ガラエポユニバーサル基板)
過渡応答(A=1 Vin=200mVp-p f=100kHz Rfb=0 位相補償なし Rl=15Ω ガラエポユニバーサル基板)
TO-220用ヒートシンクを用意しよう
この石のようなパワーオペアンプをはじめ3端子レギュレーター、パワートランジスタといったパワーデバイスは発熱するので、原則としてヒートシンクなど熱対策が必要です。そのため、パワー半導体のダイはヒートシンクを取り付けるのに適したパッケージに入れなければなりません。そのためのパッケージはいくつかありますが、この石の場合はTO-220の5端子パッケージに入っています。TO-220にはヒートシンクを取り付けるための穴が開いているのが特徴です。対応するヒートシンクは電子部品の店でいくつか売られています。
TO-220で5端子だとどうしてもてれこの配置にしなければならなくなるのでユニバーサル基板ではどうしても使いづらくなってしまいます。2.54mmピッチのユニバーサル基板の場合、斜めにすれば入ります。
電源は±8V~±30Vまでです。ハイパワー用ということもあって、±15Vのような高めの電圧を前提としています。
出力は公称3A出ます。もちろんそれに見合った電源が前提で、24V駆動とする場合では最低でも100Wクラスの電源がほしいところです。当然電源装置も大掛かりな、それこそ電源ボックスが必要です。
また、アプリケーションにおいては、ゲイン10倍(20dB)以上が推奨されています。
部品点数が少なくなるのは良いこと
LM675はオペアンプIC自体が大出力を出せるため、「部品点数が少なくなる」というメリットがあります。まだ聴ける音質ですし、多少高くなっても部品点数を削減したいのであれば、この石を考えてみましょう。
スピーカーを駆動したいのであれば、パワートランジスタのコンプリメンタリプッシュプルがすぐに思いつきます。2N3055/MJ2955ではLM675を使うより安く済みますが、メタル缶のTO-3は何かと面倒です。
流石に放熱のし易いTO-3パッケージには劣りますが、TO-220のトランジスタであれば2~10Aまでと、LM675の出力電流と似たような出力電流になります。一方で、オペアンプは集積回路であり、ある程度出力電流が少なくなるのは仕方ないのかもしれませんが、それでもオペアンプICとしては高い出力が出ます。
ディスクリートのバッファを作るには片チャンネルにつき、コンプリメンタリのパワートランジスタが1個ずつとダイオードを2個(またはコンプリメンタリのトランジスタ2組)、抵抗4本(うち2本は出力段のエミッタ抵抗)が必要ですが、オペアンプであればゲイン設定用の抵抗2本で済みます。
ヒートシンクを忘れずに
24V cMoy回路で使用中に、ヒートシンクを付けた状態でパッケージ表面のモールド部分の温度を測ると、外気温22.3℃に対して28.8℃程度まで上がります。電源を切った直後にヒートシンクに触ると温かかったです。
-
購入金額
780円
-
購入日
2016年12月08日
-
購入場所
デジット
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。