はじめに
一般的なデスクトップPCには無線LAN機能が内蔵されていないことも多く、特に自作PC等ではマザーボードに無線LAN機能が内蔵されていなければ、USB又はPCI-Expressカードを使用して機能を追加することになります。当然ながら、USB接続またはPCI-Expressカードは日本国内で適正に使用できるものを選択しなければ"違法状態"での運用となります。
そのような状態を避け、"適法に"Wi-Fi、Bluetoothを運用するにあたってどのような選択肢があるのかを検討してみたいと思います。
技術基準適合証明および工事設計認証 ~いわゆる技適マークについて~
技適マーク(ぎてきまーく)とは、技術基準適合証明と技術基準適合認定のいずれかあるいは両者の認証がなされていることを表示するマークで、総務省令に定められたものである。
Wikipediaより引用
まず前提として
「無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体」を「無線局」と呼びます
「電波を発するものはすべて無線設備」であり、
「無線局を開局し運用するには無線局免許が必要」です。
これは、有限の資源である電波をみんなが好き勝手に使うと、電波障害などの問題が発生してしまい「公共の福祉に反する」※1 状態となってしまいますので、免許制を取り有資格者のみに扱わせるようにしているわけです。
つまり、本来であれば家の中に無線LANルータを設置してスマホを繋げるのも、タブレットも、ニンテンドー3DSも使用するには免許が必要となっています。
ただし、国民全員に使う帯域ごとに免許状を交付すると非常に不便となりますので、微弱な無線局(通称、「小電力無線局」※2 と呼びます)や、「特定の無線設備」に関しては特例として免許なしで運用することが認められています。この「特定の無線設備」の要件を満たしている証明書が、「技術基準適合証明」や「技術基準適合認定」と呼ばれるものの正体です。
簡単にまとめると、「技適マークがついているもので、かつ、特定の機器に関しては他人に迷惑をかけない限り無免許で使っていいよ」ということになります。
※1 アマチュア無線家はこのあたりのお話にけっこう煩いです。ある程度の活動歴のあるハムの方は、たいていご近所との間で電波障害について問題ないか調査した経験があるのではないかと思われます。電波は目に見えないだけに非常に厄介な問題です。アマチュア無線(2.4GHz帯が主でしょうか)と無線LANでは、基本的にアマチュア無線のほうが優先となりますので、設置している無線LAN機器によってアマチュア無線局側に電波障害が発生した場合は無線LAN機器を停波するか、電波障害を起こさないように対策する義務が発生します。
※2 ちなみに無線LANルータ(親機)や子機の出力は基本的に10mW(ミリワット)までの制限がかかっています。海外では1W(1000mW)までの制限という国もあり、そういう国で流通している製品を輸入して使用すると電波法違反となります。けっこう罪は重いです。
自作機における無線LAN設備の後付けについて
大きく分けて選択肢は3つあります。
A. 1,000円~ 3,000円程度 USBコネクタ経由で無線LANを利用する
B. 3,000円~10,000円程度 PCI-Expressカード等、内臓スロットで拡張し無線LANを利用する
C. 5,000円~30,000円程度 マザーボードごと、無線LAN機能搭載のものに買い替える
コストはもちろんA→B→Cの順に増大していきます。
見た目的にスマートなのは逆にC→B→Aの順。お財布と相談して決めましょう。
USBコネクタ経由の場合は、アンテナが突き出している機種もあります。設置場所によっては干渉する可能性もありますし、物理的にぶつけたりひっかけたりしてマザーボードを破損する可能性もあります。私は貧乏性なので、壊れるなら安い無線LANアダプタだけ壊れてほしいと思ってしまうタイプです。
私の環境の場合、マザーボードを交換するくらいでしたらCPU、メモリ等も一式交換が濃厚となってしまうため、B.を選択しました。
やっと本題 無線LAN機器の選定について
上記で「B. 内臓スロットで拡張し無線LANを利用する」を選択したわけですが、一応A.とC.にも触れておきます。
A. USBコネクタ経由で無線LANを利用する
価格は安いですし、電波法に基づいて適切に使用するためには国内メーカーの製品を電気店で買い求めれば間違いなくOKです。特にバッファロー、アイ・オー・データ等の国内メーカーは必ず技適を通ったものしか販売していません。
C. マザーボードごと買い替える
一番お金がかかりますが、一番スマートな見た目になりますね。これも、国内販売のもので正規代理店を通っているものは間違いなく技適を通っています。箱にはたいてい代理店の正規取り扱い品を示すシールが貼ってありますので、一応確認すれば十分です。並行輸入品や海外通販の場合は、自分で規格、出力等を確認の上使用する必要があります。
やっと本題、今回購入した製品
「インテル Intel Dual Band Wireless-AC 7260 for Desktop 7260HMWDTX1.R」を選定した理由です。
1. PCI-Express x1対応であること
一応マザーボードにはPCIスロットが残ってはいますが、将来的に間違いなくPCIスロットのないマザーボードに乗り換えるでしょう。今更PCIスロットに投資する必要はありません。
2. リテール品であること
アマゾンやヤフオク等で「MiniPCI-Express→PCI-Express x1変換基板」「バルクのMiniPCI-Express接続 無線LANカード」「アンテナ」をバラで購入する方法もあります。
が、上記の方法で入手したものは高い確率で違法状態での運用となります。
理由はアンテナ。技適はカードとアンテナのセットでの認可となっています。
「無線LAN機器のアンテナを自分で好きなものに取り換える行為」は違法となっています。
このインテルのカードは全部セットであり、特に法律について考える必要はありません。また、バラで集めるのとほぼ変わらない値段でリテールが入手可能です。(私は楽天のヒットラインで4,000円以下で購入しました)
3. 最新の規格に対応していること
このカードは801.11ac対応ということで、現在デスクトップ向けに販売されているカードの中では最新のものになっています。無線LANの規格は大抵下位互換性が確保されていますので、新規格対応のものを買って間違いはないと思います。
導入・組み込み・運用について
楽天でポチった日を含め3営業日、無事に荷物が届きました。
箱のサイズはCDのジャケットと同じくらい、厚みは4センチほどの小さい箱です。
内容物は下記の通り
カード本体+MiniPCI-Express→PCI-Express x1変換基板
ロープロファイル対応ブラケット
純正アンテナ
Bluetooth用 マザーボードUSBピンヘッダとの接続ケーブル
ドライバCD
簡易マニュアル
非常に簡素で、見ればすべて使い道が理解できる程度の内容物です。
こちらはカード単体の写真。単なるMiniPCI-Expressからの変換ボードであることがよくわかると思います。
特に困ることもなく、接続完了。フタ開けてPCIeスロットに刺して、USBのピンヘッダに付属ケーブル刺すだけ。のんびりやっても10分程度の作業時間です。
ふたを閉め、付属DVDでドライバをインストール。
(ネットワークにつながっていないので最新版ではありませんが、まあとりあえず)
インストール終了。
速度を図ってみましたが、ノートPC(Lenovo L520)やデスクトップPC(Lenovo thinkcentre tiny M83)を速度は変わらず。Pingが15ms程度、速度は70Mbps程度出ています。
カードの性能上は867Mbpsとなっていますので、完全にルータ(親機)がボトルネックになっていますね。要改善です。
おわりに
おわりに
このカードを買った理由は先述の通りですが、一番の理由は
「考えるのが面倒くさかった」からかもしれません。
違法な状態で運用するのは嫌ですし、かといってアンテナの利得や適合等を調べたり計算するのはもっと嫌です。
Intel製でリテール品、4,000円以下という価格、性能(速度面)、ロープロファイル用ブラケットが付く、現状デスクトップ向けでは最速のカードである等のことを考えればこのカードは抜群のコストパフォーマンスではないかと思います。
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購入金額
3,936円
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購入日
2016年11月20日
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購入場所
楽天市場
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