遺品シリーズ第二弾。
陸軍省発行の、衛生心得。要は軍隊生活における「衛生関連のhow-to本」。
題名に「出動軍」とあるように、基本的には行軍中の伝染病予防や日々の衛生維持、負傷時の対処法などが記載されているが、営内(基地内)での衛生に関する情報も一部記述がある。
大きさはメモ帳サイズで、ページ数は表紙・目次を除いて64ページある。
紙質は比較的まともというか、表紙は和紙、中身のほうも割といい藁半紙を使っていると思われる。
戦前の書物って、洋書の類だと酸性紙の重合分離でボロボロに崩れてるものも多いんだが、日本の場合は耐水性も考慮してか和紙利用(藁半紙も和紙である)のものが多く、割と良好なものが多い。
この衛生心得にしても、藁半紙を止めただけの代物だが、全ページ落丁なく残っていた。
この”陸滿普第六五二號”ってのは、この衛生心得の文書番号みたいなもの。
陸滿ってのは「陸軍・満州」を意味し、普は「機密外」を意味する。続く番号が文書番号。
なお、ここの「普」が「密」とか「機密」とか書いてある場合は、軍事機密文書となる。
発行年度が昭和14年11月となっている。
左の印鑑は印刷でなく、手押しの模様。
戦前の文書ということで「平仮名が一切ない」ので、ぶっちゃけかなり読みにくい。
内容は割と詳細で、現代語に適当に直すとこんな感じ。
「伝染病ってのは目に見えない細菌から感染する、戦場で良くみられる伝染病の大半は食い物とか水からの経口感染だから、食う前に手を洗え。汚れた食い物は食うな。水は煮沸してから飲め。大小便には伝染病菌が混じるから、健常者・感染者関係なく、食い物や水源近くでは絶対にするな。」
「怪我をしたときは、小さな傷でも血を手や袖で拭うな。土で汚れた手や袖で拭うと、様々な黴菌が入って化膿するから余計に悪化する。水で洗うのも感染の危険がある。血止めが必要なときは、包帯キットに入っているガーゼを汚れないように摘まんで、傷の周辺に泥や砂があるときは拭い、汚れていない面を傷に当てて、包帯で止血位置を圧迫するように巻け。きつく巻き過ぎると血が止まって危険だから、適当に加減すること。」
・・・等々、割と今でも十分通用する内容となっており、現代語訳して再発行したら、サバイバル読本として割と役に立ちそうな内容である。
実はまだ詳細には読んでないので、一度は通読しとくと良さそう。
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購入金額
0円
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購入日
2016年09月14日
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購入場所
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