M.2SSDの価格帯が大幅下落している昨今、先月に大幅値下げしたとはいえ、今も400GBで35000円と、SATA接続なら1TB並みの強気な価格設定なのが、このIntel-SSD750。
コンシューマー向けのNVMe接続型SSDとしては、最も初期(SamsungのXP941とかは本来業務用)にリリースされた製品だけど、地味に販売時期によって型番が少しづつ違うので、性能は同じだけどもリビジョンが違うのかもしれない。
私が入手したのは末尾がG4X1となっている製品で、ファームウェアその他は最初っから最新Vr.となっていた。
んで、割高であるにも関わらず750SSDを選んだ理由だが、「M.2のSSDって、例外なく爆熱傾向」なのが挙げられる。
一応、どのM.2-SSDも「高温動作時でも故障はしない(85度でも耐性はある)」と説明しているが、SamsungのSSD950が公表している通り、高温動作時には「パフォーマンスを下げる」ことでそれ以上の温度上昇を避けているのが実情だ。
つまり、M.2-SSDの大半は「ベンチマーク取得」程度の時間は全力で稼働出来るが、ゲームなどで長時間負荷をかけている場合、動作速度がふらついてしまう、もしくは下がりっぱなしとなる。
しかし、750SSDはNVMe接続ではあるが、基板自体にNANDを大量搭載しているタイプな上、表面全体にヒートシンク、裏面にもヒートスプレッダが付いている構造なので、基板が小さいM.2と比べて受熱・放熱に有利な形状。
公称IOPSにしても、M.2-SSDがRead 4Kランダムにて250,000~300,000 IOPSであるのに対し、430,000 IOPSと50%弱の優位。
Write 4Kランダムでも230,000と、最新のM.2-SSDであるPLEXTOR M8Peに匹敵(Samsungの950SSDは110,000なので倍速)する。
値段は高いが、動作温度が低くて安定傾向、かつ実用速度で重要な4Kでは大幅優位。
強気な価格設定には、それなりに理由があるのだ。
ヒートシンクの構造はこんな感じで、1スロットぎりぎりの厚みを持つヒートシンクが、NANDチップとコントローラーを含む全体を覆っている。
裏面もヒートスプレッダを兼ねたバックパネルが装着されており、上下全体を利用して熱を拡散する構造となっている。
見た目、基板の保護、排熱の全てにおいて満点だ。
なお、ロープロファイル規格ギリギリの大きさなので、ちゃんとロープロ用金具も付属する。
すんげー速い。AMD環境でも起動用に使える。
今回、所持しているMSI A88X-G45 GamingがNVMe-SSDからの起動に正式対応した事と、AMD環境で動作検証している事例が「びっくりするほど、全く無い」ため、メイン利用ってこともありAMD機へ装着することにした。
以下、取得の環境。
CPU:AMD A10-7970K (Overclock4.4GHz)
M/B:MSI A88X-G45 Gaming
MEM:Panram W3U2133HPS-4G(2set利用4枚実装で16GB)
GPU:SAPPHIRE NITRO R7-370 4G
ある意味、これに750SSD実装とか、勿体ないお化けが出そうなスペックであるが、実用上はゲーム含めて問題出たことが無いんだよね・・・・
はい、まず最初は定番のCrystalDiskMarkから。
シーケンシャルの速度については、ほぼ公称値通りというかReadは大幅超。
ただ、4K周りの速度がSATA接続のSSD同様、キャップでもかかってんのかってくらい低く出る。
これについては実際、ATTOなどでも同じ傾向を示すので「AMDの4K転送には、1スレッドあたりの転送速度に制限がある」と考えて良さそうだ。
*追記*AS-SSDでは、SANDISK extreme Proでもこのキャップ現象が起こらないので、Bench取得形式の問題である可能性のほうが大きいと思われる。
こちらは、キュー数値を128K、スレッド数4で取得した結果。
見事にスレッド数に応じて速度が上昇するため、NVMe-SSDの恩恵は十分に受けられる。
ただ、折角高速なIOPSを持っているのに、要らん制限があるってのは非常に残念な結果といえる。
こちらはATTO Disk Markの結果。
やはり、64kあたりまでの速度がIntel環境で取得した時より、半分以下の速度になっている。
これはAMD環境において、ディスク周りに何かしらの速度キャップがかかる仕組みがあることの証左だろう。
なお、IntelSSDだからとかいう訳でなく、SANDISK extreme Proでも同様の傾向がある。
*追記*下記参照だが、このキャップ現象はSATAでもAS-SSDでは再現しないと判明。
こちらが、SANDISK extreme Proにおいて同じ環境で取得したものだが、見事に4K周りで頭打ちが起きている事が伺える。
*追記*下に示すように、AS-SSD Benchmarkでは、extreme Proでも同様にキャップ現象が解消された(それでもIntelのSATAより速度3割下がるが)ため、CDMやATTO側がAMD環境だと正常に4K周りが取れてない可能性のほうが大きい。
この現象、SATA周りだけで起こるのかと思えば、NVMeでも起きたので、何が原因でこういう傾向になるのかサッパリ判らない。
サウスブリッジとCPU間の転送バス速度に、スレッドあたりの制限があるんだろうか?
最後にAS SSDでの取得結果。
何故かコイツだけIntel環境と同じような結果を出したので、もしかすると上記二点のベンチマークソフトが、AMD環境だと正しく計測出来ていない可能性がある。(というか、その可能性が大きい)
体感速度的にはIntel環境よりも遅い感じは一切無いので、こっちの数字が真実だと信じたい。
狙い通り、抜群に動作温度は低い。
速度面での検証はベンチマークで大体判明したが、目的の一つである動作温度についてはどうか。
結論から言えば、完全に狙い通り。
以下のセンサー温度データは、どちらもベンチマーク取得中に取ったものだが、温度がどちらのソフトでも全く「動く気配すらない」という、抜群の安定性を示した。
最新版よりNVMe-SSDに正式対応ということで、CrystalDiskInfo7での計測結果。
M.2-SSDとは比較にならないほど、低いというか常温安定。
ベンチマーク動作中に取得したHWiNFO64でのセンサー情報。
こちらも見事に常温安定。
期待していた通りの特性を示してくれたので、大満足。
未だ最強の座にあるのは間違いない。
まあ・・・・値段高いんで、遅かったら話にならない訳だけども、
元々、データセンタ向けの製品をコンシューマー向けにカスタマイズしたモデルだけあって、動作安定性・速度共に最強クラスって地位は、未だ揺るいでいないと言っていい。
出始めの頃に流れたベンチマーク結果から、シーケンシャル/4K共に現行のM.2よりも遅い製品と誤解されがちだが、最新バージョンのベンチマークで取得すると、実際には「シーケンシャルでも4Kでも今もって現行最速級の性能」だったりする。
ただ、正直「体感速度はエクプロよりちょっと早いかな」程度な上に、AMD環境だとフルスピード出せない(疑惑がある・・・というか、多分ベンチ側の問題)という問題も確認出来ちゃったことから、費用対効果という点からは微妙。
最も、今後もそう簡単に速度面で追い越される心配は無さそう(PCIe x8接続でMLC山盛り搭載とか出てきたら話は別だが、コスト的に製品化されると思えない)な製品なので、今の値段でも買いっちゃ買い。
元々データセンター向け製品だから、耐久性もありますしな。
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購入金額
34,980円
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購入日
2016年09月03日
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購入場所
れいんさん
2016/09/04
Vossさん
2016/09/04
ゲームのロードは高速化するんで、それ目的にはいいかもですが。