アナログデバイセズから発売されている2回路入りオペアンプです。本来はビデオアンプ用として作られたようです。
この石は多くの石と違い電流帰還型で、反転入力のインピーダンスが低くなっています。
透明感のあるクリスタルサウンド
24V駆動に改造した赤フグcMoyアンプのオペアンプをこれに差し替えて、ヘッドホンをそのまま接続した場合、聞こえるのは聞こえるのですがどうも音量が足りない気がします。出力にZobelフィルタ(シリアル抵抗だけはこだわってREYの1W品を使いましたがパラレル素子はパナのフィルムコンとKOAの酸金ですし、インダクタに至ってはノーブランドのアキシャルリードです)をかませると非常にクリアで水晶のようです。
一般に、電圧駆動のオペアンプでは発振対策のため負帰還抵抗と並列にコンデンサを接続しますが、電流駆動オペアンプでは禁忌回路です。
過渡応答(A=11 Vin=200mVp-p f=100kHz Rfb=10kΩ 位相補償なし 10:1プローブのみ接続 ガラエポユニバーサル基板)
(12/30追記)15Ω負荷(セメント抵抗)時の過渡波形を以下に掲載します。電流帰還型オペアンプはボルテージフォロワで使えないため帰還抵抗1kΩとしています。使用した回路の都合上ゲインは2になっています。
過渡応答(A=2 Vin=200mVp-p f=100kHz Rfb=1kΩ 位相補償なし Rl=15Ω ガラエポユニバーサル基板)
(2017/4/15追記)Zobelフィルタを経由しない場合、低音が弱い気がします。Zobelフィルタを経由しない場合でも、MUSES01と比べて低域のパワー感に欠ける気がします。(評価修正:5.0→4.8)
回路設計に若干注意が必要
これは電流帰還型オペアンプですので、使い方を選びます。例えばフォロワ回路の場合、単に出力と反転入力をショートさせただけではだめで、負帰還のインピーダンスを適切に設定する必要があります。それでもcMoyアンプではZobelフィルタを外付けすれば問題なく使えていますので、常識的な設計(使用する抵抗が高すぎたり低すぎたりしない)であれば問題にはならないでしょう。
DIPの2回路品なのでステレオアンプの自作でも使いやすいです。電源電圧は単電源の+3Vから両電源の±15Vまで規定されています。
また、公称出力電流は±15V電源で50mAと充分あり、3V単電源でも25mAあります。単純計算すると3V駆動のときに32Ω負荷に800mVまでかけられることになります。16Ω負荷では400mVとなりますが、例えば16ΩイヤホンのSHE9710の場合、感度が103dB(普通、イヤホンの感度は1kHz、1mWでの音圧レベルで表します)ありますのでおそらく充分であると思われます(音圧レベル100dBはガード下の騒音に匹敵するとされています)。
文句なし
オーディオ帯域でこれだけの性能がありながら2回路入り1000円程度です。うまく使えば、安価に高音質なアンプが作れます。
24V駆動でも発熱が少ない
24V駆動のcMoyアンプでは、外気温29.2℃に対して表面温度が35.3℃で安定するようです。Zobelフィルタを付けると、外気温29.3℃に対してパッケージ表面が33.2℃と、非常に発熱が少ないです。
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購入金額
950円
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購入日
2016年09月08日
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購入場所
マルツ大阪日本橋店
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