レビューメディア「ジグソー」

アニメのキャラクターの行動の裏には..

本の蟲。
実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。

「芋づる式洲崎綾Part3」。Webラジオのキャラクターの面白さと天使の歌声のギャップ萌えで?手を広げはじめた洲崎綾(あやっぺ)関連。今まで2015年4月末付近と12月に彼女の参加した楽曲、作品、ラジオCDといった直接かかわるものから、その原作や関連楽曲、さらにイベントグッズと芋づる式に関連アイテムをまとめてご紹介してきたが、いい加減またたまってきたので第3弾。

彼女はデビュー作は「バクマン」らしいのだが、出世作としてはなんと言っても初主役を務めた「たまこまーけっと」。

視聴率的には同じ山田尚子監督の前作「けいおん!」に及ばず注目度は低かったが、その後日譚というか結末編というかの映画「たまこラブストーリー」

がとてもとても名作で、活躍の場を増やしていく。その後アイドルマスター シンデレラガールズの新田美波や艦隊これくしょん -艦これ-の第六駆逐隊4姉妹などのゲームの人気キャラに声をあてたりして一般知名度も上昇していくが、アニメキャラクターとしての起点はやはり「たまこまーけっと」のたまちゃんこと北白川たまこ。

そんな彼女の起点となった作品「たまこまーけっと」の小説。以前ご紹介した「たまこラブストーリー」のノベライズ

と同じく一之瀬六樹による。

その「たまこラブストーリー」の時も思ったけれど、彼の話の造りがとても良い。「たまこラブストーリー」の方は物語を追いながらも場面によって語り手をかえることで、視点を変えて登場人物の内面を彫り込み、さらに映画では語られなかったストーリーを加えることで本購入者の満足度も高めていた。それに対してこちらのTVシリーズの小説は「ノベライズ」ではない。本編では語られなかったエピソード、一部語られたことを膨らませた話などが収められている。

お話は11話に分かれているが、

第1話 いつもと同じプロローグ (2年生 4月)
第2話 くるくる回るよあの娘のハート (小学4年生 秋)
第3話 あったかおもちはくっつきやすい (2年生 5月)
第4話 書けよ探せよ設計図 (1年生 4月)
第5話 これでテストもこわくない (2年生 9月)
第6話 花束よりも綺麗だぜ (2年生 5月)
第7話 あたまの形が似ているぜ (2年生 6月)
第8話 きらめく特訓 ひみつの青春 (2年生 7~8月)
第9話 クールなあの子にあっちっち (2年生 4月)
第10話 とべよバトン! 空高く (2年生 8月)
第11話 いつもと違うエピローグ (2年生 9月)

時系列的には過去の話を紐解いたり、出逢いのシーンを別の視点から描いたりしながら緩やかに半年の時が流れるという構成。

いくつかの話は本編には全く出てこないのでTV版ストーリーの設定を増強する/あるいは/登場人物の心の動きの解説をするという意味あいもあって、原作本のように先に読んで予備知識を入れる...というよりは副読本・解説書としてTVシリーズでのナゾや不完全燃焼感を解消するのが、正しい使い方。

時系列的にひときわ古い第2話は、たまこに一番近い友達みどりとの出逢い、バトンとの関わり、後にみどりが「たまこは私が護らなきゃ」と思うことにつながるたまこのお母さん(ひなこさん)との出逢いが語られる。15ページほどに短く纏められているが、TVシリーズ~映画でのみどりの心の動きを理解するには重要な話。

第4話はTVシリーズの初回限定生産Blu-ray BOXでドラマCDが封入された話。かんなとの出逢い、そして志向が全然違うかんなが、なぜたまこやみどりと行動をともにするようになったかが語られる。

TVシリーズの一部を掘り下げたのが、第9話。引っ込み思案でみんなとはちょっと離れたところにいた史織がどうしてたまこたちと仲良くなっていったのか、それは意外にも史織からのアプローチだった。自分を変えたい、と考えた彼女の勇気。そのくじけそうな小さな勇気を救ったのがたまこの天性の明るさ。そこで自分に対して少しだけ自信が持てた史織が、映画版では「留学してみてもいいかなって」という言葉で、まだ青春の踊り場でまどろんでいたたまこたちを未来に向かわせる、というのがまた、面白い。

この作品は単独で読んでも高校生の日常に関わるたわいもないショートストーリーばかりでほぼ意味がわからない。ただTVを見た後に読んで、作品世界に対する理解を深めるには最適。

そしてその心の動きを踏まえて、もう一度アニメを観たくなる、そんな作品です。
挿絵はキャラクターデザインの堀口悠紀子描き下ろし!ラストページのたまちゃん、イイナァ..
挿絵はキャラクターデザインの堀口悠紀子描き下ろし!ラストページのたまちゃん、イイナァ..

KAエスマ文庫 本品紹介ページ
  • 購入金額

    700円

  • 購入日

    2016年04月頃

  • 購入場所

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