住宅事情がキビシイ日本では、1980年頃のウォークマンブームの頃から「持ち歩ける音楽環境」への関心が高かったが、据え置き型オーディオの劣化版という感がぬぐえなかった。
しかし最近はハイレゾプレイヤーなどの再生環境やDSDなどの高音質フォーマットも出てきて、据え置き型とは違った方向性に深化しはじめた。
その一番のポイントは音の出口であるヘッドホン/イヤホン。据え置き型でも同じだが、「音の出口部分」は最も音に影響を与える。しかし、据え置き型ではさすがに何台もスピーカーを設置できるスペース・環境を持つ人は多くない。また高級スピーカーとなると100万オーバーの世界もザラにある。
しかしヘッドホン/イヤホンは超弩級機といわれるものや、装飾を施したフルオーダーのCIEMでも上限50万付近でとどまり(←充分高いが(^^ゞ)、スペース的には1台の大型スピーカー分のスペースがあれば、何十台ものヘッドホン/イヤホンを収納するスペースが確保できる。
またヘッドホン/イヤホンは耳のすぐそばで音が鳴るため、音楽の詳細が聴き取りやすく、クセや個性が際立つので、聴く音楽やシチュエーションに合わせた機種を気分でチョイスして聴くのも楽しい。
そのため、現在様々なメーカーがヘッドホン/イヤホンを販売し、開発している。かなり「アツイ」ジャンル。
大型家電店では試聴機が用意されていたり、各地で展示・試聴会が開かれたりしているし、インターネットを使えば個々の機種の情報はとれる。ただ、マイナーな機種・メーカーや新製品は情報を掴むのが難しい。
そんなときはガイドブックのようなものが便利。年に一回音楽出版社から発売されている「CDジャーナル」の別冊「HEADPHONE BOOK(ヘッドフォンブック)」。2008年から9冊目の2016年版。いくつか興味を惹かれる記事があったので買うことにした。2013年度版
に続き2度目の購入。
年刊なので昨年発売されたヘッドホン/イヤホンのクラス別アワードや注目の新製品紹介がある。前者は10人以上の選者がそれぞれ個人で選ぶので、複数の選者に推された機種というのは「なるほど」というのが多いし、後者は各機種共通のレーダーチャート(高音の伸び、中音域の充実...など)を備えるので、少なくとも各機種の相対的な位置づけは把握しやすい。
これらに加えてメーカー探訪企画やヘッドホン/イヤホンを使うアーティストインタビューなどもあり、結構飽きさせない。
今回買おうと思った理由は二つ。
一つは以前ご紹介したイタリアの個性的なオーディオメーカー、Carot Oneの特集があったから。デスクトップオーディオなのに真空管をフィーチャーしたCarot One ERNESTOLO La Serie Limitata
は限定版故言及されていなかったが、ここでもレビューしたイヤホン「TITTA」
は「(Carot Oneのイヤホンとして)不動のスタンダード」と解説されていた。その後昨年、3年の沈黙を破って音質調整機構を持つ2Wayの上級機「SUPER TITTA」が追加されたのだが、今年また別の機種(非カナル型のインイヤータイプ、「QUASI TITTA」)が追加されるというので、その情報を仕入れに。あと一つのお目当ては別冊付録の「CUSTOM BOOK 2」。こちらは2014年版に続いて2回目となる「CUSTOM」=CIEMの解説本。自分が1つ目
を入手したときは、まだ世にはほとんど情報がなく、結構バクチ的要素も大きかったが、今ではCIEM専門店も出来、かなり名の知れたアイテムとなった。そんなCIEMの特集本のため、CIEM使用アーティストへのインタビュー、CIEMメーカーのキーマンの座談会、カスタムブランドの紹介などがその中身。自分的にはハイブリッドタイプのCIEMの比較や日本のCIEMのキーマン紹介などがよかった。またカスタムブランドは21も紹介されており、AAWやHUMなどあまりなじみのないメーカーも機種(の一部)と特徴が記載されていて興味深かった。いや、当面は買いませんがw
【主な内容】
・ヘッドフォンアワード2015-2016
・音楽ファンのための最新ヘッドフォン105モデル徹底ガイド
・ハイグレードイヤフォンの誘惑
・平面駆動型ヘッドフォンを聴き倒す!
・コンデンサー型の逆襲
・Special Interview テクノボーイズ、矢井田 瞳
特別別冊付録 CUSTOM BOOK 2~ようこそ、カスタムイヤーモニターの世界へ~
・人気アーティスト / アスリートが語る「私のイヤモニ作法」meg rock / 無良崇人
・「JHオーディオ」「ウェストン」「センサフォニックス」「フィットイヤー」4大ブランドのキーマンが集結 カスタムBIG4座談会
・試聴から発注・製作工程まですべてが分かる カスタムイヤーモニター購入・製作ステップ
・日本で注文できるカスタムイヤーモニター カスタムブランドガイド21
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購入金額
1,900円
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購入日
2016年03月31日
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購入場所
カルコス
hidechanさん
2016/04/05
最初ヘッドホンブックっていう題名だったので、
『本がしゃべりだす内容か?!』
と思い、クリックしたら『ヘッドホンの本』だったのですね^^;
マニア心をくすぐる本ですね^^
cybercatさん
2016/04/05
hatahataさん
2016/04/05
なんという説得力。なんかこう考えると3万円くらいなら安く感じてしまいますねぇ… ちょっと欲しいヘッドホンがあって。敷居が低くなった感じがします。
パソコン動かさなくていい。めくっての行って帰ってが簡単。
やっぱり紙のカタログっていうのは見やすいですね。
cybercatさん
2016/04/05
すなおに喜んでよいのだろうかw
詐欺師の才能?
でもこの世界面白いのが、高いのが必ずしもよいとは限らないんですよね。
曲によって、ジャンルによって、音量によって、気分によって。
今この瞬間も1000円で買ったイヤホンとその100倍のCIEMで、とっかえひっかえ同じ曲聴いてましたが、それぞれに味がある。1000円のはスゥィートスポットはごく狭いんだけれど、あたってる所はCIEMに負けてない。
そういうのはスピーカーじゃ難しいですからね。