「芋づる式洲崎綾Part2」。動画⇒Webラジオ⇒オーディオCDと興味が広がった女性声優洲崎綾つながり。Webラジオの天然系あけすけ女子トークとCDの天使の声。そのギャップが面白くて、ちゃんと彼女の演技を見てみたいな、と。
そんで、出世作であり、Webラジオでもよくネタに?取り上げられる、初主演TVアニメ「たまこまーけっと」のディスクを手に入れることに。DVDかBlu-rayかはやはり後者の方が画が美しいのでそちらにすぐに決まったのだが、バラにするかBOXにするかは結構迷った。
面白くなければ途中でやめられるバラもよかったけれど、そしてバラの初回特典には劇中歌のCDがはいってたりしてて「音楽の杜」的にも萌えたのだけれども、BOXの購入店特典が気に入ってこちらに。そしてその購入店特典はこの店舗しかなかったので、定価売りだったがこちらで購入。
その特典はあとで紹介することにして、まずはBlu-ray BOXそのものの方を。
BOXはそもそも初回限定生産。...なので同梱される以下のゴージャスな特典類が入らないモノはない...ハズ。
封入されるのは「たまこまーけっと」の前日譚 ドラマCD「書けよ捜せよ設計図」に、2話と9話の絵コンテ、あやっぺ(洲崎綾)や山田尚子監督からの手書きメッセージやキャラクターの設定画を含むフルカラーブックレット、映画が好きな設定の向かいのもち屋の息子もち蔵が写したていの「大路もち蔵コレクション」フォトカードという感じ。
お話しの方は基本京都の「うさぎ山商店街」にあるもち屋の娘、たまこが向かいのライバルもち屋?の息子や同級生と楽しく高校時代を過ごしながらも、ちょっと鈍感で奥手のたまこが恋愛に走ることもなく、バトン部を中心とした親友達とちょっと懐かしい感じの商店街の人情味溢れるキャラクター達とのふれあいを描く日常系アニメ。ただ、そこに「南国の王子の花嫁を探すしゃべる鳥」として「デラ・モチマッヅィ」なるキャラクターが登場するのが、物語的にはスパイス。たまこを花嫁と見込み、もちやに住み着くも、もちを気に入り食べ過ぎて飛べなくなり...というヌケキャラで、でも王子の占い師を呼び寄せたり、たまこの学友に恋したりとたまこの日常をかき乱して物語を進ませていく...というつくり。
話の大筋としてはほとんど進まず、日常の小さな歓びや感情の動きを描く...という点では結構難易度が高い作品で、昭和感溢れるあたたかい商店街の人々とのふれあいの機微を描いている点や、幼なじみのもち蔵がたまこに恋心を抱くも結局言い出せず何も進展しないまま終わるなど、「あらすじ」としては決着が付くような作品ではなく、ある意味「大人向け」のアニメ。
そんな作品でのあやっぺは、明るく前向きでちょっと鈍感で天然系、おもちのことしか頭にない女の子を好演している。少し幼めに造った声で、のんびりそしてちょいピント外れ気味にしゃべるその声は聴いていてほっこりする。これはやっぱり本人が「今でも私の右半分はまだたまこまーけっと(A&G ARTIST ZONE 鷲崎健の2h/2014年4月4日)」というほど思い入れの強い作品であることが頷ける出来。
その後あやっぺは、天然おばか系キャラ?やシリアスな役、仇を持つような役をやっても「根は“陽”」の「芯がぶれない役」設定が多いのは、本人の性格とともにこの「たまこ」でのイメージも大きいのかな。
...で。
その「購入店特典」。「たまこまーけっと」の世界に京アニの「絵」から入った人にはあまりピンと来ないシロモノだろうし、たまこやあんこと言ったキャラ系から入った人は他店特典のポスターなどの方がよほど価値があると思われるモノ。でも音楽系から入った自分としてはかなりポイント高い。レア度も高いし...という特典。
それは「Tamako Out-Takes(未発表音源集CD-R)」。
これは「たまこまーけっと」で使われた音楽のデモや初期バージョン集。1分少々から3分程度の曲の核部分、アイデアの断片がほとんどだが、ここからどう展開し、どう完成していくのかが分かるので「音楽をやっていた身には」とてもとても興味深い。完成度としては低いものもあるがそこからよいところを掬いだして「作品」に仕上げていく、という過程がうかがわれるので。収録曲としては以下の通り。
1. ドラマチックマーケットライド(first demo)
2. ねぐせ(first demo)
3. Pre “もっと楽しいたまこ” with DONCA MATIC (PV用音楽)
4. 恋の歌(first demo)
5. Girlfriend(フレンチ Ver.)
6. ともろう(first demo)
7. もち蔵とあんこ(Full Ver.)
ピポポポピッポとドンカマ(拍をとるためのリズムマシン)の音で始まる「ドラマチックマーケットライド(first demo)」はインスト。Bメロは完成版と展開がまったく違い、チョイ速いスピードとリズムマシンの画一的なバタバタしたフィルインとが合わさってちょっとせわしいないカンジの曲。これがあの浮遊感溢れる楽曲に整えられるというのはまさに匠の技。
つづくTVのエンディングテーマ「ねぐせ(first demo)」は、ボカロがメロディをとるのが新鮮だが、こちらは途中から入る4つ打ちのバスドラや小節頭に"タタタ"と8分音符3つが入るベースパターンなど雰囲気としては完成形にかなり近い。でもこれもAメロの一部の節回しが異なり、製品版の方が「練られている」ことが分かる。
「Pre “もっと楽しいたまこ” with DONCA MATIC (PV用音楽)」はCMやPVのバックに使われたもの。作曲者の片岡知子が完成時には消す前提で納品時に入れたドンカマの音を山田監督が気に入り、そのまま使ったと言うことらしい。ドンカマのチープなピッポッポという音に、かろやかな小粋なピアノが載るアンマッチさ加減がいい感じ。
作曲者のひとり山口優がこの企画に寄せて「通常、作曲家が製作の過程やフィニッシュ前のデモバージョンを公開することはありません。僕らにとってそれは着替え室のカーテンを開けられてしまうようなものですから。」と書いているが、そんな曲には磨かれていない原石のような鈍く光る魅力がある。完成度は製品版に比べると及ぶべくもないので、音楽に興味がある人以外には価値はないかも知れないけれど、その原石がどう輝きをまとっていったかを知りたい向きにはとても面白く、レアな資料。また音楽製作の過程が分かる貴重な資料(DISC1の特典オーディオコメンタリーでは今度は歌詞の変遷が語られているのので、やっぱり「歌」って「練り上げて」行くモンなんだなぁと)。
また、ここに収められた曲のいくつかはあやっぺが歌い直すことになるのだけれど、その声の魅力もまた曲そのものの価値を上げているんだなぁ..と感じた次第。
普通は外に出ない音源達を送り出したプロデューサー(音楽プロデューサー兼務)の中村伸一がタイトルを一枚一枚手書きしたというこの手作りのCD-Rの持つぬくもりは、「たまこまーけっと」の持つ暖かさと同じ根源なのかもしれないね。
【収録内容】
全12話収録(Blu-ray 2枚)
<DISC1>
第1話 あの娘はかわいいもち屋の娘
第2話 恋の花咲くバレンタイン
第3話 クールなあの子にあっちっち
第4話 小さな恋、咲いちゃった
第5話 一夜を共に過ごしたぜ
第6話 俺の背筋も凍ったぜ
映像特典 ぺったんこアニメ「デラ’s BAR」
映像特典 今だから語れる「たまこまーけっと」Myセレクトたまこ~山田尚子 Ver.~
・第1話オーディオコメンタリー(山田監督×洲崎綾)
<DISC2>
第7話 あの子がお嫁に行っちゃった
第8話 ニワトリだとは言わせねぇ
第9話 歌っちゃうんだ、恋の歌
第10話 あの子のバトンに花が咲く
第11話 まさかあの娘がプリンセス
最終回 今年もまた暮れてった
映像特典 ぺったんこアニメ「おっちょこチョイちゃん」
映像特典 今だから語れる「たまこまーけっと」Myセレクトたまこ~洲崎綾 Ver.~
・第9話オーディオコメンタリー(洲崎綾×山田監督)
<特典ドラマCD>
・書けよ捜せよ設計図
<封入特典>
・絵コンテ集(2話&9話)
・オールカラーブックレット
・描きおろしフォトカード - 大路もち蔵コレクション -
「たまこまーけっと~ストーリームービー~ 」
昔はこういう商店街ってそこかしこにありました
人情味溢れる商店街。そこの店主達はライバルであり、仲間であり、運命共同体でもある。みんなが家族のようなほっこりする関係性
レア度絶品
音楽をやったことがある人間にとってはものすごくためになる。まさに「着替え室の中を覗いた」お化粧前の鈍い輝きを放つ曲達の「核(コア)」を聴くことができる。
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購入金額
27,000円
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購入日
2015年06月22日
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購入場所
きゃにめ.jp
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