レビューメディア「ジグソー」

狭間に産まれたBroadwellの実力は?

インテルのXeonシリーズにラインナップされているXeon E3-1285L v4…といってもピンと来ない人のほうが多いハズ。自分自身店頭で見たことはないし今回レビュー品として紹介されてはじめて存在を意識したレベル。

今回はバルク版ということでCPUそのまま。なんか刻印の文字が手持ちのHaswellより大きくなってるが見た目はごくごく普通のCPU。しかし存在自体がマイナーなCPUなので下になんぞやってのを書き連ねておきました。とっととベンチGoって方は上の見出しから「性能」欄へ飛んでくださいませ。

更新: 2015/12/08

そもそもBroadwellのXeon E3ってなんぞやって話

Xeon E3シリーズはサーバーやWS向けのシリーズで、Sandybridge世代からリリースされているが、同時期のCorei5やi7のスペック違いといった感じなので、コンシューマ向けマザーと組み合わせて自作PCに組み込まれることもある。(自分もSandybridge世代にあたるXeon E3-1260Lを一般的なB75マザーで使っている)

で、v4…4世代目はBroadwell、スペック的にはCore i7 5775Cに近いが若干の違いがある。

まず動作クロックがXeon E3-1285L v4の方が100MHz高い。

そしてグラフィックがXeon向けのP6300になっており、最大グラフィックメモリ割り当て数が大きく異なるが、動作クロック自体に差はない。

Core i7 5775Cは従来のKシリーズに当たるモデルなので倍率可変によるオーバークロックが可能。

メモリの公式対応も異なるがこれはマザーボードに左右される面が大きいのであまり気にならない。

 という訳でグラフィックメモリの最大割り当て数が大きいXeon E3-1285Lv4とアンロックOCが可能なCore i7 5775Cといった区別で本体の性能は似たようなモノと思われる。

 

しかしそもそもデスクトップ向けBroadwell世代の影が薄い。

その原因は発売時期。Core i7 5775Cが発売したのは2015年の6月中旬。そこから2ヶ月もたたない8月上旬に次世代となるSkylakeが発売してしまう。

 

Skylakeからは対応チップセット・ソケットが一新され、DDR4対応や最新SSDを考慮した設計等マザーボード側の強化も魅力的だ。

Broadwellは従来のZ97/H97マザーがそのまま使える(同じ1150でも8X系はダメ)のでコスト重視の存在となれる…と思いきやそうでもない。Haswellの存在だ。

純粋なクロックで言うとBroadwellを上回るクロックを持つ「Devil’s Canyon」、手軽なOCが楽しめるPentium 20thなど魅力的なモデルがあるし、8X系・9X系両方のマザーを使えるのでマザーの選択肢が多い。特にエントリークラスのB85/H81に当たるチップが9X系に無いので、Broadwellを使えるマザーは実質ミドルレンジ以上のモデルしかないのだ。

 

Broadwellの唯一のメリットと言えるのが内蔵GPU。Iris Proブランドを冠するIntel最強クラスの内蔵GPUと128MBのeDRAMを搭載している。確かにインテル最強クラスのグラフィックは魅力的だがそうなってくると同じく強力なオンボードグラフィックを持つAMD APUシリーズの影がちらつく。

 

コスト重視だろうが性能重視だろうがHaswell&Devil’s Canyon・Skylakeで挟み撃ちにされてしまい、GPU方面ではAMD APUが迎え撃つ。そのせいかBroadwellの主役であるCore i7 5775Cですら情報は少ない。ましてやそのXeon版なんていったら…影が薄いどころか影がゼロ。

 

言い方は悪いが「デスクトップ版Broadwellを生かせる構成・場面なんてあるのか?」ってのが以前から思っていた正直な感想で、今回使っていく中でデスクトップ版Broadwellの立場が判ればなあと思っているのだが「立場なんて無かった」って結論になっても怒らないでください。

更新: 2016/02/06
導入難度

動作確認されているマザーは少ないしMEに罠がある場合も

さて、自作PC用としてXeon E3-1285L v4を使う場合は本来の対応マザーであるサーバー・WS向けではなく一般的なZ97/H97マザーを使うのが現実的。ASRockやMSIなど一部のメーカーはXeon E3-1285L v4をCPUサポートリストに掲載しているのでそれらを使うのが安心だ。

またサポートリストに同じXeonE3のv4世代が載っていれば望みは高いだろう。

一方Core i7 5775CすらサポートリストにのっていないマザーはBroadwell対応UEFIが出ていない可能性が高いので厳しい。

 

今回使用するマザーはSupermicroがリリースしたゲーマー向けマザーC7Z97-M

元々サーバーやWS向けを得意とする基盤メーカーなのでむしろ今回のXeonと相性はよさそうっちゃよさそうなのだけど…Broadwell以上に情報が少なく不安要素が多い。

 

まあ付けてみないと何もはじまらないので装着。クーラーはその辺にあったScythe 侍ZZ(500円)。

 

 

初期版UEFIのままXeon E3-1285L v4を装着した場合とりあえず起動するがマイクロコードが不明。また内蔵GPUが動作せず画面出力が一切されない。

但しこの状態でもグラフィックボードを使えば画面表示してくれるのでUEFIバージョンの確認やDOS起動USBメモリを使用したUEFIのアップデートが可能。やはり2014年の初期版が搭載されている。

UEFIのアップデート(なんと1時間かかった)が終わり、マイクロコードも正しく認識されたものの相変わらず内蔵GPUが動作せず「Haswell」扱いの動作になっている。これはIntel Management Engine(以下ME)のバージョンが古いと起きるようで、1150版Broadwell全体に言えるものらしく、他社マザーでも起きるらしい。

 

先ほどのSSに写っているMEのバージョンは9.1.1.1000。マザーボードのモデルによってUEFIのアップデートされてもMEがアップデートされないものがありこうなるようだ。案の定このC7Z97-Mもそのパターン(DOS画面にでかでかとwithout flash MEってかいてあったもんな)。で、このマザーのMEアップデート方法が判らない。ME自体は汎用でOS上のIntelユーティリティからアップデートできる場合もあるようなのでこの状態でWindows7をインストールしてやってみたができず。

結局ASUS製Z97マザーのBroadwell対応UEFI・MEアップデートキットからMEアップデートプログラムのみを拝借してそれをOS上でコマンドプロンプト操作してアップデートするという荒業に。MEのバージョンは9.1.25.1005になった。

こうしてやっとBroadwell扱いになり内蔵GPUも動作。OS上でのドライバの適応も確認。

とにかくBroadwellで内蔵GPUが動作しない場合IntelMEのバージョンを疑うのがいいだろう。

 

当初このiris P6300の全力を見たかったのでメインメモリもDDR3-2400のものを用意していたのだが、C7Z97-MにXeonを挿した場合CPUのアンロックどころかOC設定全体が設定不能になってしまいメモリも1600どまりとなってしまったので、当初の予定とは異なるDDR3 1600メモリを使っている。これ以降のベンチ等も特記が無い限り下記の構成は固定。

 

・CPU:Xeon E3-1285LV4

・M/B:Supermicro C7Z97-M

・MEM:G.Skill F3-12800CL9D-8GBSR2(DDR3 1600 9-9-9-28動作)

・OS:Windows7 64bit 

 

せっかくなのでケースもおNEWを購入。AerocoolのDS Cubeだ。

内部が広いケースなので冷却力に関しては余裕があり、より巨大なクーラーも搭載できるのだが、侍ZZで冷却力は不足しておらずベンチ中ですら9cmファンの回転数も低く静かだ。

更新: 2015/12/13
性能

しっかりとi7 3770を上回るCPU性能は文句無し

さて性能。一般的な使い方における体感速度は既にi5クラスでオーバースペックになっているので十分すぎるほど速い。じゃあベンチマークでいくとどうなるのか?シングルスレッドとマルチスレッド双方を取得できるCPU-Z 1.74搭載のベンチ機能を使用。あと定番のCINEBENCH R15だ。

 

今回は使用中の環境そのままで取ったPCが大半で、動作OSもWindows7・8.1・10(全て64bit)が混在しているし、他のソフト等影響が出ている可能性もあるのでその辺はご了承頂きたい(Opteron機に至っては何故かCINEBENCHが起動できなかった)。

2世代前になるが、Core i7 3770がクロック・スレッド数共に近いのでちょうどいい比較対象になる。TB時のクロックは3770より0.1GHz劣り、TDPも低いもののしっかりと上回っている。特にシングルスレッドはオーバークロックしたものを除けば今回のCPUの中で堂々のトップだ。但し何故かただ何故かCINEBENCHではi7 3770と逆転している。まあOSも違うし微々たる差ではある。

 

4GHzまでアップさせたCore i7 5960Xにすらシングルスレッド性能で勝利。さすがに4.5GHzまでOCしたPentium G3258には遅れをとってしまっているが、G3258と同じHaswell世代の最強モデル4790KはTB時4.4GHzを叩き出やはりきになる。

 まあライトユーズで使いきれる性能ではない。動画編集はもちろんゲームをしながらのキャプチャにも余裕を持てるレベルの性能だ。 

更新: 2015/12/14
グラフィックス性能

ベンチによってはHD5750に匹敵する

内蔵GPUの性能はBroadwell最大のアッピルポイント。Xeon向けのIris Pro P6300を搭載している。

過去のIntelグラフィックと比べると大幅に性能アップしているというので、まずは比較用としてCPU性能が近いIvy Bridge世代のCore i7 3770(IntelHD4000)を比較対象とするが…まあ結果が見えている。なので内蔵GPUと言えば避けては通れないAPU A10 7850Kも用意。

 

各環境はこちら。尚A10 7850KにはDDR3 2400のオーバークロックメモリが奢られているがまあA10とXeonの価格差を考えたらこれくらいのハンデはあってもいいでしょう?

(本音を言うと全部この2400メモリでデータを取りたかったが、i7 3770もXeon E3-1285Lv4もアンロックモデルではなくそれぞれで使ったマザーの動作もあり1600までしか設定できなかった)

左のMETISがi7 3770機、右のでかいDS CUBEが今回のXeon機。プレステ2がA10機(え)。でかいだけあって動作音は3台の中で一番小さい。

また具体的にグラフィックボードでいうとどの辺りの性能なのか?という訳で比較的性能が近そうなRadeonHD5750をXeon E3-1285L v4に搭載したスコアも計測。

2009年に発売したミドルレンジグラフィックボードだがネットゲーム用として使用していたもの。

 

使用ベンチは3Dmarkとまだまだ古いネトゲに多いDirectX9環境の3Dmark06、軽量級のMMOとしてドラクエベンチ(フルHD最高画質)、重量級としてFF14蒼天のイシュガルド(フルHD最高画質 DX9/DX11)だ。

※グラフにしていないスコアは最初の表参照で。

3Dmarkでは新旧問わずHD5750を超えるスコアを叩き出している。これは正直予想外でもっと低性能のグラボも用意していたくらいなのだが。HD4000とは比べるまでもなく、A10もきっちり押さえ込んでいる。ただなぜか最も重いFireStrikeのみA10がトップ。途中にはCPU性能もモノを言うベンチが入っているのでむしろA10には不利な筈なのだが…メモリクロックの違いだろうか?

 

HD4000ではお話にならなかったFF14の最高画質も見れる程度のスコアになっている。ベンチマークによってはHD4000の3倍程度のスコアを叩き出しているものもあり進化はすさまじい。

FF14ベンチでは最も重い設定にしているので設定を下げれば実プレイもOKだろう。

ただ気になるのは3Dmark系でHD5750を上回っていたのにFF14/DQでは逆転している点。HD5750自体は他のグラボと比較した時に極端に3Dmark系が低くなる等の傾向は無かったのでやはりこれはIrisのスコアが偏っている可能性がある。

 

尚ついでにとったCINEBENCH R15のOpenGLスコアは80fps超という文句無し1位のスコアをたたき出している。Xeon向けだけにその辺は強化しているのだろうか?

 

ひとまずベンチマークを見る限りは「Sandy世代以降の強力かつそれでいて扱いやすい消費電力に収まる4C8TCore i7の正常進化をしたCPU性能と、Radeon HD5750に匹敵する事もある3D性能」となる。このクラスの性能があればグラフィック設定の融通が利くゲームなら大半のものはプレイ可能だろう。

 

●消費電力参考

構成や電源がバラバラなのであくまで参考値だが、今回の4環境のidleとベンチ時の消費電力は下記の通り。idleは低く性能を考えればピークもさほど高くない。

(SSD1台とUSBキーボード・マウスのみ接続、メモリ2枚、BRONZE相当の電源ユニット)

 

E3-1285L v4 (P6300)  idle30W / MAX125W

E3-1285L v4 (HD5750)idle55W / MAX145W

A10 7850K  (R7)         idle38W / MAX117W

i7 3770 (HD4000)     idle35W / MAX 85W

 

てか5年前は手持ち最高性能だったHD5750を内蔵GPUと比較することになろうとは…

更新: 2015/12/14

パンヤはもちろんTERAも十分プレイ可能

という訳で実際のゲームプレイを他環境と比較しつつ見てみる。

対戦…じゃなくて比較相手はIntel内蔵グラフィック同士としてCPU性能が近いi7 3770。ゲームは…

 

(c)2004 Ntreev Soft Co.,Ltd. All Rights Reserved. Pangya is registered trademark of Ntreev Soft Co.,Ltd. (c)2004 GMO Gamepot Inc. All Rights Reserved.


ゴルフゲームの「スカっとゴルフパンヤ」。2004年の開始から11年を迎えたということは根本的な部分は10年以上前のハードでも動くということ(さすがに途中で動作要件の引き上げが行われているが自分は昔Pentium4にMATROX Parheliaでプレイしていた)。しかし2014年に視覚効果エフェクトが追加され、また最近キャラクターのモデリング一新などもされて侮れない重さになっている。

ログイン後のメニュー画面が実プレイ時に近い負荷かつ同条件再現が容易なので計測ポイントに。

 

パンヤメニュー画面 フルHD解像度
Core i7 3770 (HD4000)      視覚効果無 63fps / 視覚効果有 12fps
Xeon 1285L v4 (iris pro p6300) 視覚効果無 161fps / 視覚効果有 29fps

 

視覚効果無しならHD4000でも60fpsオーバーで滑らか。しかし視覚効果を有りにするとなんと12fpsまで落ち込む。
一方iris pro P6300は視覚効果無ならオーバー、視覚効果ありだとギリギリ30fpsに届かない結果となったがプレイは自然にできる。視覚効果無しならHD4000でも全く構わないが視覚効果有りならIris Pro P6300との性能差が如実に現れる。


逆を言えば「パンヤを遊ぶだけなら視覚効果を切ったHD4000で十分」となってしまう。そこでもう1タイトル…TERA The Exiled Realm of Arboreaだ。

(C) Bluehole, Inc. All rights reserved.  (C)GameOn Co., Ltd. All rights reserved.


こちらは2011年にサービスを開始したMMORPGで、特に高画質設定の場合、グラフィックの作りこみと広大なマップから当時のMMORPGの中では重量級。今でも比較的重い部類のMMOだろう。

MMORPGは同じ条件を再現するのが難しいので、自キャラが高画質で10人同時表示されて負荷がかかるキャラクター選択画面(上記画像)で、特定ポイントでのfpsを計測。


また実プレイとして天候エフェクト等が無い「太陽の庭園」マップで同じモンスター(ゴリラ)を相手にした60秒間の平均・Min・Maxのfpsを計測。これは比較的軽いシチュエーションなのでこれでモタつくようでは実用は難しいといったレベル。

さすがにオンボードになので0~6まである画質プリセットから設定3を使用。設定3でも自キャラのモデリング等は結構細かく出るので綺麗なグラフィックは堪能できるが、よく見ると影やテクスチャ解像度が軽量化される。

ちなみに最低設定の0は「同じゲームなのか」ってくらいグラフィックの質が下がるので今回設定した3くらいは欲しいところ。

 

Core i7 3770 (HD4000) TERA設定3
選択画面 6fps / 戦闘中Min 8fps / Max14fps / Avg 11fps

 

Xeon 1285L v4 (iris pro6300) TERA設定3
選択画面 17fps / 戦闘中Min 19fps / Max56fps / Avg 40.5fps

 

はっきりいってHD4000はお話にならない。画質設定3でプレイしていたらカクカクで攻撃を避けるとかそういうレベルではなく、棒立ちしてても早々死なないレベル差だったのにゴリラにボコられた。

 

しかしiris Pro P6300は設定3ならプレイにほぼ支障はなく瞬間的に20fpsまで落ち込む事はあったが30fps以上をほぼ維持していたのでゴリラも安心。平均40fpsが出ているので雨のジャングルのゴリラ等、重めのマップでもプレイに支障はなさそうだ。

 

では双方にグラフィックボード…GTX750Tiを追加した構成のスコアを見てみよう。

TERAの計測条件は同じだが画質設定を最高の6にする。

 

Core i7 3770 (GeForce GTX750Ti) TERA設定6
選択画面 27fps / 戦闘中Min 32fps / Max63fps / Avg 48.8fps

 

Xeon 1285L v4 (GeForce GTX750Ti) TERA設定6
選択画面 32fps / 戦闘中Min 35fps / Max81fps / Avg 64.6fps

 

Xeonが明確な差をつけてfpsをあげている。MAXは81fpsでリミットがかかっているので実際はもっと余力を残しているようだ。正直CPUベンチでは極端な差が出ていなかったのでこの差は予想外。

クロック・コア数がほぼ同等ながら、着実に2世代分のパワーアップはしているということだ。

 

今回のは同じ電源ユニットを使用し、それ以外のパーツはバラバラだが構成数を近づけていたので参考だが消費電力の比較。idleとTERAキャラクター選択画面をワットモニターで計測してみた。

 

Core i7 3770 / Intel DH77DF                   / idle32.5W / TERA 70W

Xeon E3-1285L v4 / Supermicro C7Z97-M / idle33.2W / TERA 130W

Core i7 3770 / GeForce 750Ti                  / idle51.1W / TERA 153W

Xeon E3-1285L v4/ GeForce 750Ti            / idle50.0W / TERA 150W

 

i7 3770と E3-1285L v4はアイドルはほぼ同等だが、負荷がかかるとiris分で明確な差がつく。一方750Tiを挿すとirisが無効になり純粋にCPUだけの消費電力になるせいか、僅かながら3770より低い値になっているのが面白い。性能はあがって消費電力は抑えめと安定した進化だ。

 

ただこの結果をみるとよりCPU性能が期待できるSkylakeに750Ti挿せば最強じゃね?という予想をしてしまうのがBroadwellの悲しい立ち位置だ。

 

さて次はPentiumG3258。同じ1150ソケットの廉価モデルだがOC可能。当初これをXeonと同じマザーと環境+OCで比較しようかとしていたのだが、C7Z97-MのOC設定がうまくいかなかったので自分が普段このPentium G3258を使っている常用4.5GHzOC環境そのままで迎え撃つことにしよう。

グラフィックボードがささっていたりメモリが大容量だったりするが、 現在の秋葉原価格で言うとPentiumG3258は8000円、一方Xeon E3-1285L v4に近いCore i7 5775Cの価格は48000円。その価格差は4万円なのでちょっとくらい贅沢な構成でもハンデだハンデ。

Xeon「ふざけんな」

 明らかに4万円どころじゃないオプション数でPentiumG 3258がミラージュキャッスル。

まあ今回のfps計測にかかわる部分はGeForceGTX680OC(中古25000円、新品なら実売3万円くらいのGTX960+αくらいの性能か?)と、それに伴う電源・冷却系の強化なので4万円コースの武装だと言えなくもない。無理がある?ハイ。

 

TERAの設定は最高の6。まずはIrisでどこまでのフレームが出るか。

 

Xeon 1285L v4 (iris pro6300) TERA設定6
選択画面 13fps / 戦闘中Min 14fps / Max37fps / Avg 27.1fps

 

最高画質となる画質設定6の場合さすがに平均が30を切ってしまっているが、MOBをソロ狩りする程度だったら問題ないので、きれいなキャラクターやゴリラを見たい時は上げてみても大丈夫。

 

PentiumG3258 4.5GHzOC  (GeForce GTX680 OC) TERA設定6
選択画面 37fps / 戦闘中Min 32fps / Max57fps / Avg 44.17fps

 

そりゃGTX680ぶちこまれりゃPentiumGでも勝てるだろ。ただいくらグラフィックボードで引っ張っても先ほどの1285L v4+750Ti環境に高負荷時以外はリードされている。

 

さすがにいぢめが酷いのでXeonにもGTX680を搭載したスコアも計測しようとしたが、まずこの8pin x2のGTX680を動かせる電源が手元に1個しかなかったのでPentiumGから電源まで移植するハメに。

というか使ったケースに電源が入らなかったしグラボもでかすぎて3.5インチベイをはずした。

 

Xeon 1285L v4 (GeForce GTX680 OC) TERA設定6
選択画面 54fps / 戦闘中Min 40fps / Max81fps / Avg 76.3fps

 

その甲斐あって文句無しのfpsを叩き出し、ゴリラの攻撃も実に滑らか。

リミットが81fpsなので常時それに近いフレームレートが出ている。CPUもGPUもパワーですよ。

TERAの計測結果をまとめたグラフがこちら。Xeon E3 1285L v4はやはりGTX680と組み合わせても順調にスコアを伸ばす。

画質設定3でプレイアブルなfpsを出せるようになったiris Pro P6300の性能は十分価値があるし、グラフィックボードと組み合わせれば文句なしのゲームマシンになってくれる。

更新: 2015/12/13
安定性

長時間のプレイでも安心の発熱量だがゲームの安定性は…

軽いマップなら画質設定6でもある程度のfpsを維持するというのは予想以上。しかもプレイ中は冷却力に余裕のあるCPUクーラーでまとめて冷却できるので、冷却・静音性でも有利だ。

今回テスト中は小柄な侍ZZを搭載しているがそれですらTERAのプレイ中に不安を感じる事は無い。

また昔Intelグラフィックで3Dゲームをやるとエフェクトが正しく表示されないなどグラフィック乱れがある事があったが…

今回750Tiと比べても見る限りではそういう現象は無い。Intelドライバも進化した。

プレイ中はインテル内蔵グラフィックだと忘れそうなくらいいい意味で普通にゲームができる。

ただ残念な事が。特にフルスクリーンモードにおいてプレイ中のクライアントクラッシュが何度かあった。元々TERA自体あまり安定しているソフトではないが、手持ちの他PCに比べて明らかに頻度が多い。PCゲームはGeForceやRadeonにあわせて開発されておりIntelグラフィックは動作環境外というのが多いので、ゲームをするなら定番2社に対してソフトウェア面で分が悪い。

 

 

で、このXeon E3-1285L v4…というかBroadwellを生かせる環境というのは何なのか。特徴は余裕のあるCPUパワーと画質設定次第で大抵のネトゲがプレイできる性能をグラボ無しで実現できるということ。となると普段CPUパワーを必要とする画像・動画編集に使い、ゲームはネットゲームがメインという人にちょうどいい。

 

もちろんグラフィックボード無しでしいからITXの小型ケースを使うのもありだが、内部スペースに余裕のあるケースと大型のクーラーで静音マシンを狙うのもいい。グラフィックボードの発熱を考えないですむのは静音マシンにとって有利だ。そして追々もっと重たいゲームをプレイしたくなったのならグラフィックボードを追加すれば長く使えるだろう。

 

 

でも結局コスト重視なら旧型HaswellやAMD APU、性能重視ならSkylakeにグラボという周囲を囲まれた現状に違いは無い。

モノはいいけどリリース時期で損をして、僅か2ヶ月間だけIntelデスクトップ向け最新CPUとして君臨したBroadwell。このままあまり話題にならず消えてしまうのはもったいない性能だ。

使用者が増えればドライバの更新やゲーム側の動作保障、動作マザーの情報共有等も進むのだろうが、2ヶ月という期間はその好循環に向かうにはあまりに短すぎた。

コメント (7)

  • カーリーさん

    2015/12/09

    内蔵最強なれど価格的にいうとpenG3258とGTX980が買えてしまいますからねぇ
  • mkamaさん

    2015/12/09

    下小川さん

    やっぱりBroadwellって皆さんパスしてますよね。
    Core i7 5775Cをメインマシンに使っているのはZigsowで私だけですかね?

    Core i7 5775C OC 4GHz
    CPU-Z 1.74搭載のベンチ結果を貼ってみました。

    Xeon E3-1285L v4は、Core i7 5775CとQSV性能ちがうんでしょうか?
  • 下小川さん

    2015/12/09

    そうなんですよ、単体ではいいんですけど値段考えると(さすがにXeon価格はかわいそうなのでi7 5775C価格でも)Pentium G3258にハイエンドといわずそれなりのグラボとそれ相応の電源ユニット増設してお釣りくるんですよ…

    あとDevilさんが1150系としては最高クロック出してるんでそういう意味でもインパクトが少ないんですよね。ほんと単体でみると結構すごいんですが。

    5775C 4GHzのベンチありがとうございます!やはりOCできるのは強いなあ…クロック当たりの性能はやはり高そうですね。QSVは調べてないんですが、GPU周りはクロック同じでVRAM設定の違いっぽいんで殆ど差は無さそうにみえますねえ。
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