私がMacから、自作WindowsPCに乗り換えたのが約10年前のこと。
当時のAppleは、Power Mac G5を、CPUをintel製に変えMacProへと変貌を遂げていたんです。
そのときに初めて聞いたCPUの名前が“Xeon(ジーオン)”。
サーバー用で一般的な用途では使わないCPUらしいのだと。
Core 2 Quadさえも手が届かなかった私は、そんなXeonを横目にCore 2 Duoで一喜一憂してました。
今回、レビューするXeonシリーズのCPUは、私のような“ミドルレンジ志向”には馴染みのない、MacProに使われているような高耐性CPU。
そして、このXeonを使って“初・本格的PCゲームデビュー”を果たします!
※PCゲームなんて本当にやったことのない素人なのでお見苦しい場面がありますがお許しください。
Xeonシリーズは、簡単にいえば、業務用途・サーバ用途に適したCPU。
長時間、長期間の稼働・高負荷時でも安定した運用が求められるようなシーンに適していて、医療や産業用での現場でも使われているようです。
MacProにXeonシリーズが採用されているのは、商業デザインのようなデータ命の現場で安定稼働が求められるからではないでしょうか。
レビュー前に、気になってグラフィックデザイナーの友人の新型Mac Proを触ってきました。
2015年12月現在のMacProは、CPUにXeonE5を採用していて6/8/12コアから選べるんです。
今回レビューさせていただく“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”の製品型番について少しだけ触れてみます。
これをあえて記載するのは、のちに私を悩ませるマザーボード選び。LGA1150・ワークステーション用だけでマザーボードを選んだのが仇となり、対応マザーボードを探すのに苦労したからです。
余談ですが、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”の後継モデル、
“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v5”も発売とのことですが、
2015年12月12日現在、対応マザーボードを見つけられませんでした。
※訂正:ASRockやSuper MicroからV5対応のマザーボードは発売していました。
くろがねッと☆さんに情報をいただきました。(ありがとうございました)
コンシューマ向けCPU(一般的に個人で使うCPU)に比べて、Xeonシリーズを使うメリットを調べてみました。
◎ECCメモリー対応
ECC=“error checking and correction”の略。
メモリに発生したエラーをリアルタイムで修正する機能のこと。
平均的なメモリ数を搭載したシステムだと、年間に150近くのエラーがあるそうです。
メモリのサイズが大きくなるに従い、エラーによるリスクは増加する傾向に。
そのため、より高い信頼性が求められるワークステーションやサーバに搭載されているメモリがECCメモリ。
ECCメモリは、見た目で分かるのですが基板上ににチップが9個搭載されていること。(通常のメモリは8チップ)
+1個分のチップの役割は、エラー補正用データの記録用に使われ、チップセットとメモリ間でやり取りする信号を安定化させるのだそうです。
また、一つのメモリにチップを多く搭載することも可能で一枚で大容量のメモリ(1枚32GBなんてのもあったり)も存在し、
大容量のメモリにより、大規模なシステムでも安定的に使うことが可能です。
◎デュアルプロセッサ構成が可能
複数のCPUを1枚のマザーボード上に使うことで複数のアプリケーションの負荷を分散させ安定して使える。
サーバーなどで、アクセスが集中しても処理が遅くならないメリットがある。
◎RAS機能搭載
RAS=Reliability(信頼性)・Availability(可用性),Serviceability(保守性)に特化した性能を発揮してくれる。
素人考えですが、速度は同じクロック数帯の個人向けCPU(core iシリーズなど)と比較しても体感的に変化はないように思うのですが、
とにかく“ど安定!”これに尽きるのでしょう。
その点もあわせてレビューしていきます。
毎日使う私のメイン機を比較対象に、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”をレビューしていきます。
今回のレビューで、比較用として使う私のメイン機の構成がこちら。
CPU:Corei7-4770K
マザーボード:Z87PLUS(ASUS)
メモリ:AX3U2000GC4G9B-DG2(A-DATA)4GB×2枚=8GB
起動ディスク:intel SSD520 120GB×2台(RAID0にて運用)
グラフィックボード:HD7850(Club 3D)
OS:windows10 Pro
レビューを引き受けた時に、ソケット形状LGA1150ならメイン機のCPU入れ替えで動くじゃないか!
と思ってました。(Z87マザーボードはLGA1150用マザーボードなんです)
単純にCore i7 4770Kと乗せ替えてみました。
左:Core i7 4770K 右:インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4
単純に乗せ換えてみました。
結果:BIOSでCPUを認識できず、どうやらZ87-Plusマザーでは起動できないことが判明。
実は、WS用のマザーボードとECCメモリも用意していたんです。
せっかくサーバー用のCPUを使うのなら、ECCメモリの恩恵やコンシューマ向けの構成では味わえない信頼性を試したい、、と。
サブ機の中をゴソゴソ入れ替えてみましたが、マザーボードのエラーLEDが消えず。。
結果:BIOSすら立ち上がらず、こちらのマザーでも起動できないことが判明。
以上、ここまでを1stインプレッションとします。
(結局“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”を動かせていませんが。)
第一印象は、“マザーボード選びに苦労するCPU”です。
ちなみに、SUPER MICRO社のワークステーション用マザーボードにも挑戦。
対応CPUリストに“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”はあるのですが、2つのCPUを試してみたのですが、エラーでBIOSが立ち上がらず。
現在、購入先に動作確認を依頼しているところです。
レビュー期限まで間に合いそうもないので、今回はパスしました。
これが一番簡単だと知ってて後回しにした、9系チップセットのマザーで試してみました。
今回4枚目にして辿り着いたマザーボード、ASRock社の“H97M Pro4”
実は、このマザーでも出荷BIOSのバージョンが低くCPUを認識せず、他CPUで一旦起動させてBIOSをバージョンアップしてからの再挑戦・・・と、最後まで苦労させられました。
“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”の起動確認に、誰よりも感動したのは私のはず!(遠回りしすぎでごめんなさい。)
グラフィックドライバーも更新して、Iris Pro Graphics 6300で動作することも確認。
私のメイン機の性能と、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”で組んだPCの比較を行いました。
奥: CPU:Corei7-4770K 手前: CPU:E3-1285L v4
まず、カタログ値で2つのCPUを比較してみました。
“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”のメリットは、低省電力で安定性を狙った製品の印象を受けます。
ただし、内蔵GPUに関しては新しいものを採用しており期待が持てそうです。
次に、エクスペリエンスインデックスですが、ゲーム用グラフィックスコアはwindows10での取得ができませんでした。
左: CPU:Corei7-4770K 右: CPU:E3-1285L v4
グラフィックが6.1→8.1へ向上しました。
左: CPU:Corei7-4770K 右: CPU:E3-1285L v4
思わず約2倍以上ののスコアが出てビックリしました。
それなら・・・と、
私がメイン機で使っているグラフィックカードのHD7850。
CPU内蔵グラフィックは、どこまでグラフィックカードに迫れるのか?
3DMarkで測定してみました。
左: CPU:Corei7-4770K 右: CPU:E3-1285L v4
中:HD7850
E3-1285L v4内蔵GPUは、Corei7-4770K内蔵GPUの約2倍のスコア。
そして内蔵GPUなのに、HD7850に迫るようなスコアが出ました。
ようやく本題のゲームデビューです。
今までにPCゲームは麻雀のネットゲーム程度くらいでしたが、、
今最もタイムリーなゲームで、PCゲームデビューを果たしたい!と息巻いているのですが。
ここまで、タイトルでふってるのでバレバレなのですが、
“Star Wars バトルフロント”に挑戦です!
ゲームってCDやDVDと説明書が箱に入ってて、、と思ってたら、
今どきのゲームは、コード購入でデータはダウンロード形式なんですね。
30GBオーバーのゲームデータを1時間近くかけてダウンロードして、、
いよいよEP7も公開だし、ゲームも始めるぞー!って内心ドキドキです。
ここで、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”の内蔵GPUのすごさを実感する出来事がありました。
なんと、Corei7-4770K内蔵GPUでゲームを起動したら、こんなエラーが。
ドライバーを手動で最新のものに入れ替えてもダメ。
よくよく調べたら、“Star Wars バトルフロント”
最低必要グラフィックカードが、
●nVidia GeForce GTX 660 2GB
●ATI Radeon HD 7850 2GB (←私のメイン機のカードがこれ!)
推奨グラフィックカードが、
●nVidia GeForce GTX 970 4GB
●AMD Radeon R9 290 4GB
になっていました。
恐らくCorei7-4770K内蔵GPUでは動作できないみたいです。
“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”でプレイしてみましたが、
ダースベイダーのヘルメットの質感表示も、動作も問題ありません。
HD7850でもプレイしてみたのですが、ローディング中(左下○印)がスムーズだったり、カメラワークの切り替えが綺麗に感じたりと、
HD7850には敵わないものの、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”でも十分に遊べました。(最低条件を満たしてないのですが。)
環境を整えるのに時間がかかり、プレイ時間はわずかですがワークステーション用のCPUでグラフィックボードなしでゲームができるのは素晴らしいと感じました。
ゲームのほかに、Corei7とのCPUの性能差をもっと知りたくて動画をエンコードした場合の処理速度を検証してみました。
7分弱、879MBの.MTSファイル(ハイビジョン動画ファイル)を、
iPhone用のMp4(480×320)にエンコードした場合の処理時間を比較してみます。
【Corei7-4770Kでの処理】エンコード処理にかかった時間は02:05でした。
【E3-1285L v4での処理】同じくエンコード処理にかかった時間は01:56でした。
Corei7 4770Kも、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”も、
処理能力は互角といったところ。
CPU使用30%程度なら、そこまで能力差に変わりがないことが分かりました。
軽い処理なら能力差はない・・・
それなら、、と、RAW画像からJpg画像への現像をまとめてバッチ処理してみました。
使用したのは、NIKONのフリーソフト“Capture NX-D”
まとめて処理をしてくれるのは便利なのですが、Corei7 4770Kとどれだけ差がでるのか、検証してみました。
1枚あたり30MB弱の合計130枚の.NEFファイルを一括でJpgファイルに変換してみます。(解像度6000×4000→650×433へ)
【Corei7-4770Kでの処理】130枚のRAW現像にかかった時間は5:16でした。
【E3-1285L v4での処理】
同じRAW現像にかかった時間は6:13でした。
CPU使用率は同じくらいなのに、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”では、メモリの使用率が半分くらいに抑えられています。1枚あたりの処理時間は0.5秒程度なので、そこまで変わらないのですが。
もっと重い処理をさせてみたい!
Adobe Photoshop CC6を使い、重い処理に対して“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”の処理能力を再度検証してみました。
1枚約10MBのjpgファイルを20枚=計161MBにバッチ処理で重いフィルター加工
(ぼかし→放射線状→最大・高画質)を行い処理時間を計測してみました。
これが、結構重いんです。
【Corei7-4770Kでの処理】20枚フィルター処理にかかった時間は10:17でした。
【E3-1285L v4での処理】
上記同様に写真20枚のフィルター処理にかかった時間は13:46でした。
“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”の方が、
1枚あたり平均で10秒程度多くの処理時間を要していますが、タスクマネージャーで見る限りメモリへの負担を少なくしているようにも感じます。
速さのCorei7-4770K、安定性のE3-1285L v4といった印象を受けました。
普段の処理の中では気にならない処理スピードです。
今回、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”を使いGameデビュー(にわか)を果たしたのだが、ちゃんと3Dゲームまで楽しめる内蔵GPUの進化に驚いた。
PCGameといえば、お気に入りのグラフィックボードを選びオーバークロックもしたいユーザーも多いはずだ。
しかし、パーツやシステムの安定性を求めながら速さも兼ね備えて欲しいと思うユーザーもいるだろう。
今回、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”とCore i7 4770Kと比較して感じたのは短距離走者と長距離走者の関係ではないかということだ。
“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”は、
サーバー用として、WS用のマザーボード・ECCメモリを使い24時間運用にも耐えうる性能を発揮する本来の使い方を行いながら、一方でグラフィックカードを使わない最小構成でもゲームまでこなせる環境にすることができるというのは素晴らしいと思われる。
残念ながらレビュー期限内では、“インテル(R) Xeon(R) プロセッサー E3-1285L v4”の素晴らしさを内蔵GPUでしか感じれなかったが、まだまだ秘められた素晴らしさがあるのではないかと思う。
※SUPER MICRO製のマザーボードで使えるようになれば、再度更新・報告いたします。
くろがねッと☆さん
2015/12/13
P9DWSはBroadwell対応のBIOS自体が出てないので、残念ながら今のところは無理かも?
せっかくのXeonだし DDR3 ECC UDIMM も活用したい!とのことなら
http://www.asrockrack.com/general/productdetail.jp.asp?Mo...
辺りも良いかもしれません。
Xeon E3-1200 v5用のマザボですが、やはり一応ASRockから出てますよ~ 今回のv4は使えないけど。
http://www.asrockrack.com/general/productdetail.jp.asp?Mo...
http://www.asrockrack.com/general/productdetail.jp.asp?Mo...
http://www.asrockrack.com/general/productdetail.jp.asp?Mo...
鯖&WS用ASRockマザボは日本国内だと取扱店的に入手難易度がやや高めなのが問題ですが
アストロマンティック☆さん
2015/12/13
コメントありがとうございます☆
マザーボードの情報、ありがとうございました。
せっかくの機会なので、ECCメモリを使ってみたいなぁ、なんて背伸びしたのが大間違い。
いろいろと物色中なのですが、、あっても在庫がなかったりして大慌て中です。(汗)
そうなんです!
Xeon E3-1200 v5用のマザーボード、今日いろいろ探してたら他にもSurer Microというメーカーからも発売してました。(早々に記事修正しておきます。)
いろいろとお優しいアドバイスありがとうございました☆
後半、頑張ってレビューします!
くろがねッと☆さん
2015/12/13
ぜひレビュー見てみたいです!
●マザボでBIOSアップデートする際は念のためビデオカード等を外すなど必要最低限構成でやった方が良いです。私はこれで刺さってたGTX TITAN上のファームウェアを吹っ飛ばしました(滝汗
アストロマンティック☆さん
2015/12/13
いろいろマザーボードを探しているのですが、数件問い合わせて在庫がなかったり見つけたマザーボードがCPUに対応しているのか分からない型番だったりして、レビュー期限の問題もあるし、、てんやわんや状態です。(笑)
BIOSアップデートは、毎回冷や汗かきながらやってます。
(プツンと停電したらどうしよう?とか考える自作初心者なんです)
そ、そんな高価なものまで犠牲になるなんて、、怖いですね。
承知しました、気をつけます!
いろいろとアドバイス、ありがとうございます。
暗礁に乗り上げ気味なレビュー、なんとか立て直します!