レビューメディア「ジグソー」

ただ音が良いだけではない、随所にこだわりが見えてくる満足度の非常に高い一本

 

Audiosharp様で取り扱われている「AS1158」こと、SUR S520です。

 

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あまり聞かないメーカーなのに、なぜこんなに評価が高いのか。

手に取ってみて、その理由がよくわかりました。

 

 

音質の前にまず触れて置きたいのが、他社には見られない付属品や品質へのこだわりです。

まずこの価格でありながらケーブルが交換可能で、さらに断線時のことを考えてケーブルが2本付属していることに驚きました。イヤホンの1番の故障原因に対して、購入者に追加の出費をさせない形で対策を講じているという点は、他社には見られない姿勢です。イヤーピースはS/M/Lの3種類が付属し、中でも最もオーソドックスなMサイズは無くしても大丈夫なように、2組入っています。価格を考えればこれだけでも十分なように思えますが、他にもキャリングケースが付属しているなど、本当にこれひとつ買えば、他に必要になるものがありません。

 

ケースは丈夫なハードケース。

手のひらサイズの大きさで、荷物にならないところにも好感が持てます。

 

また、これは小さなことかもしれませんが、ケーブルのプラグに保護カバーが付けられた状態で梱包されていました。何万円もする高級なイヤホンでも、ここまでしているのは珍しいことです。こうした細かなところまでを含めた品質や利便性の追求から、このメーカーの物造りの精神を随所に感じられます。

 

他社の製品より1歩前に進み、使う人のことをよく考えて作られた品であると言えると思います。

 

 

【音質】
視聴環境:DPX1

音の傾向はドンシャリ。
深くまで沈み込み、およそこの価格帯では比類なきアタック感のある重低音と、音場の広さ、そして明瞭な音像定位が最大の特徴です。

 

ドンシャリ系の本分であるEDMなどのクラブミュージックや、ロックはもちろんのこと、音場が広大で音像定位も優れていますので、クラシックやジャズなどを聴いても十二分に楽しめるかと思います。

 

中低域~重低音までを満遍なくブーミーに鳴らすタイプではなく、低音の質は比較的タイトで、特に重低音に比重を置いた音作りです。不快なボワつきを抑えつつ、深くまで沈み込む低音は爽快そのもので、特筆に値する質と言えます。

 

中低域は適度な量感で抑えられており、質の悪いドンシャリ系のイヤホンによく見られる「低域と一緒に中低域まで一緒に持ち上がってボーカルが太ってしまい、不自然に聴こえる」という現象が起こらず、特にカンタータやジャズ、EDM系の楽曲に置いては、「主張するべきところではしっかりと鳴らし、主張しなくていいところでは大人しい。」という、低域から中低域にかけて、スピーカーのような広大なダイナミックレンジを感じることができ、他のイヤホンと比較しても特別メリハリのある音を楽しめるように感じました。

 

中域の質は繊細なタイプではなく、線の太い音です。
ヴァイオリンなどの繊細さを重視したい弦楽器では多少の物足りなさを感じる部分もありますが、サックスやトランペットなど、音の線が太い方がより魅力的に感じられる楽器との相性は非常にいいです。ボーカルは中高域の伸びがもう少し欲しいところで、比較的タイトという質も相成り、女性ボーカルになると少し艶やかさに欠くような印象です。しかしその分、音階がもう少し低い男性ボーカルとの相性は抜群によく、一転して素晴らしい質感であるように感じます。

 

高域も繊細というより、しっかりと線を感じられる質感で、量も出ています。伸びや抜け感はあまり良くないものの、この価格帯のドンシャリ系イヤホンとしては及第点であると思います。また、他の方の評価にもあるように、曲によっては刺さるものがあるのは事実ですが、エッジの尖ったキツい高音ではないので、強く不快に感じるものではありません。

 

解像度は全体を通してやや低めに感じられますが、あくまで”やや”であることと、ドンシャリ系イヤホンで主に聴かれるであろう楽曲を考えれば取り分け問題は無いかと思います。

音場は特筆すべき点で、広大です。


さらに音像定位も優れており、まるで広い空間の中に音に包まれたような感覚に陥ることができ、「ライブ会場のような臨場感がある」と評される方が居ることにも大変納得がいきます。また、この音場の広さや定位の素晴らしさは、高域や中域の繊細な表現力で空間を彩るクラシックなどよりも、もう少しシンプルで、このイヤホンが得意とする中域より下の音階が活きるジャズなどで、持ち味を最大に発揮します。

 

総合的に見ても大変満足度の高い1本で、価格を忘れされる出音です。
特にEDMやジャズなどをよく聴く方に、強くおすすめ致します。

ちなみに、こちらは各音域毎のピンクノイズを、ほぼ最大音量でそれぞれ10時間ほど鳴らし込んだあとのレビューになります。エージングによっての変化が著しいイヤホンで、当初はショップ側がエージングを推奨する案内を出していたほどと言いますから、ある程度鳴らしこんでから視聴されるのが良いでしょう。

 

【遮音性】
外での使用にも十分耐え得る遮音性を実現しているように感じます。標準の状態ではタッチノイズはそれなりに大きいですが、ケーブルに付属のクリップを付けるか、Shure掛けをすることで大幅に軽減可能ですので、この点は特に問題ないでしょう。

 

 

【使い心地】
まず音量の取りやすさについて。こちらはDAPのみならず、一般的なスマートフォンやタブレット端末、またPC直挿しと言った環境でも難なく十分な音量を確保することが可能です。

ケーブルに付いているリモコンは少々難ありに感じます。こちらの機能については、正常に動作するかどうかは端末に大きく左右されるようです。説明書に対応品の一例として記載されていたASUSブランドのタブレット端末では正常に動作せず、一時停止と次の曲へスキップする機能のみが動きました。後ろの曲に戻ることができません。端末を変えて無名ブランドのスマートフォンで試すと、説明書にある曲送りは機能せず、ボリューム調整ボタンとして機能しました。

また、一部のレビューで指摘されていた「リモコン付近の根本でケーブルが曲がると誤動作をする。」という点について複数端末(すべてandroid環境)で検証してみましたが、音楽再生中に根本から曲げてみても特に誤った操作が行われるということはありませんでした。ひとまず、正常品であればAndroid環境下に置いては誤動作が起こるということは無さそうです。

 

 

【音質のアップグレード】
イヤーピースを変更することで音質が大きく変化します。
複数試した中では、JVCのスパイラルドットが本製品との相性が非常に良いように感じられました。重低音の量感が僅かに減退する代わりに、高域や中高域の伸びが改善し、より音場に広がりを感じられるようになります。大体1,000円前後で購入できますので、気になった方は是非お試しください。

 

 

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  • 購入金額

    3,999円

  • 購入日

    2016年01月30日

  • 購入場所

    Audiosharp

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