先日開催された、ZenTour2016。
発売前のZenFoneMAXの実機を弄らせてもらったり、ASUS社内における開発体制などの裏話が聞けたりと、中々得難い体験をさせて頂いた訳だが、このTourで全員に配布されたのが、今回のお題である"ZenPad 7.0"だ。
ASUS製Androidタブレット・最小モデルの最新型である。
パッと見の外観は、正直言って他社のタブレットと大差ない。
よーく目を凝らしてみても、液晶と表面ガラスの隙間は殆ど皆無、金具の継ぎ目は殆ど判らないレベルに加工され、液晶画面の質感も中々上等だ。某社のminiあたりと比較しても、特に外観や質感が劣るということはない。
ただし、ZenPad 7.0の価格は実売18000円前後と、見た目に反して信じられないほど安い。
この価格で、価格帯で倍以上の製品と見た目で互角というのは、実は中々に凄いこと。
というのも、パッと見の外観は真似出来ても、液晶の品質や筐体の加工レベルというのは、細かい部分をよく見ていくと速攻でボロが出るものだからだ。
金具のプレス精度が低ければ筐体との隙間がガタガタになるし、パネルと表面ガラスの接合精度は、フィルタの多い安価なパネルを使うと「隙間が大きくなる」ので、すぐに判る。
2万円を切る価格帯にも関わらず、そうした「安っぽさ」が全く見当たらないのは、製品設計の妙と言える。
コスパのため、潔いほど割り切ったスペック
では、なぜこの価格帯で「上質な外観」を実現できたのか?
最初にぶっちゃけてしまうと、それは製品設計の段階で「妥協できる部分で妥協した」からだ。
普及帯の製品に「求められる性能」が何かを突き詰め、要らないと判断した部分はバッサリと切って捨てている。
それ故に、スペックを眺めてみると【えー?】って首をかしげる人も多いはずだ。
OS :AndroidTM 5.0
サイズ :7型(LEDバックライト 1,280×800ドット(WXGA)IPS液晶)
CPU :インテルR Atom x3-C3200
メモリ :2GB
ビデオ :Mali-450 MP4
内臓容量:eMCP(16GB)
無線機能:IEEE 802.11b/g/n Bluetooth V4.0
カメラ :30 万画素Webカメラ(前面)500 万画素Webカメラ(背面)
インターフェース
USBポート : microUSB×1 USB(pogoピン)×1
カードリーダー : microSD(XC.HC対応)
オーディオ : マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック×1
搭載センサー :GPS(GLONASS対応)、加速度センサ、光センサ、電子コンパス、磁気センサ
バッテリー駆動時間: 約8時間
バッテリー充電時間: 約4時間
カラー :ブラック,ホワイト,シルバー
サイズ :189 ×110.9 ×8.7 mm
質量 :272 g
スペックを眺めてみると、多くの人が「今更?」って感じるのはパネルの解像度だろう。
1280x800ドットWXGAというスペックは、今時のスマホでもミドルクラス以下でしか採用されない解像度であり、スマホよりも広い画面を持つ7インチタブでこの解像度というのは、流石に力不足な感が否めない。
ただ、実際に使ってみると判るのだが、実のところこの解像度でも殆ど不満を感じない。
というのも、下手なFull-HDパネル搭載の7インチタブより、ZenPad 7.0のWXGAパネルのほうが、圧倒的に見やすくてキレイだからだ。
私も正直、実機を使ってみるまでWXGAという解像度には懐疑的で、このご時世にFull-HDでないパネルなど安物向けでしかないと考えていたのだが、ASUSがZenPad 7.0でこの解像度を敢えて採用したのには、ちゃんと理由があった。
・解像度が低くても、上質なパネルの採用と画像エンジンの搭載で、必要な画質は確保出来ること。
・解像度が低いほうがCPUやGPUへの負荷が低くなるので、処理性能の低下を防げること。
・上記の理由から、バッテリー消費も少なく出来ること。
・Full-HDパネルと比べ、ローコストで上質なLCDパネルが採用出来ること。
つまり、コスト・画質・性能のバランスを考えると、安物パネルでFull-HDにするより、上等なパネルでWXGAにするほうが、色々とメリットが多いという判断である。
実際、ZenPad 7.0のパネルは同社のFull-HDパネル搭載7インチタブと比べても、高画質である。
なにしろ、ASUS自身が「自社製品との比較写真並べて説明してた」くらいなので、間違いない。
さて、この高画質をWXGAで達成できた理由としては、パネル自体の性能もそうだが、タブレット機としては余り例がない「画像・映像エンジン」の搭載が大きい。
製品紹介では、"Tru2life"、"TruVivd"という名称で呼ばれている機能がそれだが、このTru2LifeやTruVivd、ソフトウェア補正と共に、ハードウェアとしてTV HDRチップを搭載して実現している。
このTV HDRチップとはいったい何かといえば、ここ最近のハイエンド向けテレビに搭載された、"High Dynamic Range"のデータを『液晶上で出来る限り正確に再現するため』の、最新型画像エンジンの総称である。
『High Dynamic Range』なデータとは、「液晶パネルでは完全に再現出来ないが、カメラでは捉えられる差異」をそのまま含んだ映像・画像データのことをいう。
TV HDRチップは、この『完全再現不可』なデータを、出来る限り液晶上で再現するために「コントラストや色調を自動的に調整」して、疑似的ではあるが「従来以上にハイコントラストで高画質」な映像・画像を再現するチップだ。
そして、このTV HDRは既存データも同様に「高画質」な方向へと自動調整するため、結果的に「液晶の性能以上に、鮮やかな画質」を実現することが出来るという訳である。
テレビを選ぶにおいても、パネルの性能以上に「画像エンジンの質」が良く話題に上るが、要はそれと同じアプローチでASUSは「低コストで高画質」を実現しようとした訳だ。
ある意味、こういう発想は日本企業から出てきそうな物なのだが、どうも2015/06の時点ではASUS以外にこのアプローチをタブレット向けに採用した企業は無いらしい。
何だか、日本人としては非常に複雑な気分であるが「安価に高画質を実現」するため、従来と異なるアプローチに踏み切ったASUS技術陣の発想力を褒めるべきだろう。
次に、コスト低減のために割り切った点は、Wifiの仕様であろう。
"IEEE 802.11b/g/n"という仕様は、性能に目が行きがちな人たちにとっては「11ac」が無いことに不満を覚えるかもしれないが、そもそも「Androidタブレットに11acって必要?」・・・・って考えた場合、多くの人にとっては不要だろう。
ZenPad7.0は入門機という位置づけなので、本機を購入する層と11acルーターをタブレットに使う層は合致しない可能性が高い。
現時点での11acルーターの平均的な価格帯は7000円前後から、高い物なら20000円台。
安価な11acルーターは同時接続時の帯域処理能力が不足気味なので、きっちり11acの帯域をタブレット一台に確保するだけの余裕があるパターンは想定出来ない。
ネット環境の全てをタブレットでどうこうしようという層は、そこまでの高速接続を要求しないし、完全にサブ端末として割り切って購入する層は「再生機」以上の機能を求めない。
「11acを切り捨てて困る層」は、求める性能から考えて上位機を購入する筈であり、ならば入門機たるZenPad7.0はコストが最低でも千円以上は上がる「11acを切り捨てても問題ない」ということだ。
ただ、コスト追求のために切り捨てている部分があると同時に、「切り捨てては駄目な部分」では、きっちり性能を確保している。
特に注目すべき部分は、2GB搭載されたRAM容量だ。
ブラウジングやアプリの同時起動において、このRAM容量はかなり重要となるが、安価な入門機の大半は「1GB」の搭載に留まるものが多い。
一万円以下で販売されている激安タブレットは、ほぼ例外なく1GBだ。
しかし、RAM容量が1GBしか無い場合、ブラウザの起動が精一杯になる事も結構多い。
特に、アドオンと呼ばれるプラグインで機能を追加出来るタイプのブラウザ(CromeやFireFox)を使うと、アドオンの同時起動分だけでRAMが満杯になり、ウェブ閲覧のために必要なキャッシュが全く確保出来ないなんて事もある。
CPUにクァッドコアを搭載していようが、RAM容量が小さければ処理性能はガタ落ちする(CPUとeMMCやSDとの速度差が大き過ぎて、CPUが処理能力をフルに発揮出来なくなる)ため、2GBの搭載は「普通に使う」上では必須の容量となる。
コストを切り詰めても、「必要な部分で妥協はしていない」のだ。
こうした、製品のコンセプト設計段階での「割り切り」が、実売20000円以下という価格を実現出来た理由である。
ただ、実際のところ・・・この「割り切り」は上手く行っているのだろうか?
ここからは、実際に運用してみて「上手く行っている」「行っていない」部分を検証してみる。
目的次第で変わってくるが、必要十分。
画面は十分見やすい。映像再生、画像再生では必要十分。
低解像度ながら、TV HDRの搭載で「従来のFullHD機を超える画質を確保した」とASUSが断言するZenPad7.0の画面表示は、実際にかなり見易い部類に入る。
Tru2lifeによる、ハード・ソフトのツープラトン...タッグ補正により、WXGAとは思えないレベルの映像・画像表示能力が確保されているのは本当だ。
これは上掲の、QloudMediaによる映像再生を一部拡大したものだ。
映像にざらつきや妙なノイズが入ることも無く、フルHDと同等クラスの画質を確保出来ている。
再生が基本的にもたつく傾向はなく、QloudMediaのようなストリーミング系の映像再生アプリでも、2560kbps転送で問題なく再生出来るし、microSDに入れたデータでも形式次第だが再生中にガタつくような事も無い。
ただ、ストレージの性能次第なところもある(最初にテストした、鈍足の8GB microSDHCではきっちりガタついた)ので、映像ソースを突っ込むならS社EvoくらいのmicroSDを使う方がいい。
内臓ストレージからの再生なら問題ないが、こちらの総容量は16GBと普及帯らしい容量しかなく、空きは10GBちょっとなので「アプリを入れ込む」ための容量として使うほうが建設的である。
画像閲覧についても補正が効いているのか、コントラストがはっきり・くっきりとして見やすい。
但し、WXGAという解像度の悪影響として、FullHDサイズに適正化したJpegデータ(私の場合は自炊本)の表示縮小による「モワレ」が生じることがある。
これは「拡大では生じないが、縮小だと生じる」現象なので、「コストダウンの弊害回避が完全ではない」部分もあるという証左であろう。
Wifiについても、必要十分な速度と受信感度が確保されている。
ブラウジング時、タブを複数(8以上)開くと流石にガタツキが出始めるが、これはWifiよりもCPUやメモリの性能によるものと考えたほうがいい。
私は、ブラウザをFireFox+AdBlockの組み合わせで使っているが、特にダウンロードが遅いとか表示に時間がかかる印象はなく、普通に使う分には十分快適である。
QloudMediaでのストリーミング再生でも、2560kbps転送で問題になるのは「映像を飛ばすときのシーク操作」くらいで、これも待ち時間は長くて10秒前後なので、転送速度は十分に確保出来ていると言っていいだろう。
受信感度については、コンクリ壁の3LDKマンション全体でアンテナがフルに立つので、これまた十分に良好。
ただ、我が家のルーターは「スマホでも、マンション隣の喫茶店で自宅のWifiをギリ掴める」くらいの出力がある代物なので、受信感度のテスト環境としては少々不向きな気がしないでもない。
なお、ZenPad7.0を隣の喫茶店に持ち込んでテストしてみたところ、スマホ同様にギリでWifiを掴む事が出来た。
途切れる傾向があるので実用性は皆無だが、隣といっても「上層階から、斜め隣に見越し距離60m以上」の屋内で掴んでいるのだから、十分な感度は確保出来ていると言っていいだろう。
ただ、個人的に不満な点もある。それは、「5G帯・非対応」という点だ。
2.5G帯の受信感度が良好なのは判るが、マンション居住の場合「Wifiのチャンネル数不足」が結構な問題になる。
既に「あって当たり前」になりつつあるホームWifi環境が「数十世帯集中」するマンションにおいて、透過能力が比較的高い2.5G帯はチャンネルが飽和しがちだ。
しかし、見越し距離や透過能力などに問題はあるが、5G帯は普及率の問題から利用者が少ない。
我が家のWifi機器は、その5G帯に逃げる事でこの問題を回避してきたのだが、飽和状態の2.5G帯でしか運用出来ないZenPad7.0は、時折だが「受信感度にふらつきが起きる」ことを確認している。
個人的には、11aで良いから5G帯に対応して欲しかった。(そういうチップが現行製品に無いんだろうけども)
さて、次は使ってみての不満点。
使っていて気になった部分のうち、映像再生やブラウジングにおいてもそうなのだが、ZenPad7.0最大の問題点は「処理性能」が本当に「ギリギリのところ」を突いていることにあると言える。
確かに「普通に使う」分には過不足無い性能なのだが、CPUにしてもメモリにしても「アプリ一本起動した状態」でその性能の大半を使い切ってしまうことがあるため、その状態から「何かしようとする」と、何に付けてもモッサリ動作なのだ。
特に強烈なストレスとなったのが、映像再生を中断してホーム画面に戻す操作。
これはAndroidタブ全般の仕様による問題であるが、ホームボタンが物理的に存在しない(画面スワイプで出す)仕様のせいで、映像再生のように「全画面表示」状態からホームに戻す操作が、かなりやりづらい。
アプリの仕様にもよるが、映像再生アプリの大半は「画面のスワイプ」で操作する形式なので、ホームボタンを出す操作とアプリ自体の操作が一部被る上、映像再生時に「処理性能の大半が持って行かれる」状態になるため、ホームボタンが上手いこと出てくれない事が多い。
ホームボタンが物理的に別になっているZenFone2Laserなどでは、単にホームボタンかメニューボタンを押してアプリを閉じれば済む操作だが、 ZenPad7.0は画面スワイプしない限りそれらの表示が出来ないため、ただでさえ「操作が被ってやりにくいのに、処理がもたつくから余計に苦痛」なのだ。
「一度電源ボタンを押して画面を閉じ、開きなおす」ことでホームに戻せる事は解っているのだが、タブレットの電源ボタンは側面だし、画面ロックをかけていたら「再度ロック解除」しなければならないなど、正直言えば面倒臭い。
また、この「ギリギリの性能」はあくまで「メディアプレイヤーとしてギリギリ」なので、3D処理が必要なスマホゲームなどは大半の動作がガッタガタである。
ゴチャキャラ系の沢山キャラが動くゲームも、性能的に処理が追い付かず、プレイに耐えない。
パズル系ならそこそこ動くが、連鎖表示などでもたつく傾向もあり、快適に遊べるかと言われると微妙。
次に、装備されているカメラの性能が、「まあ、使えなくはないけども」ってレベル。
私はタブレットにカメラの性能を求めていないので、正直言えば「別に付いてりゃいいんじゃないかな」って程度の認識でしかないのだが、「タブレットのカメラは、スマホよりカメラの性能が上」だと思っている人が使ったら、正直面食らうはず。
背面500万画素というと何か凄そうだが、これ「iPhone4無印と画素数同じ」だ。
世代的に「6年前の標準レベルと同等」くらいの性能、と思ったほうがいい。
前面に至っては30万画素と「付いているだけ」レベルなので、こちらは事実上使う機会がほぼ無いだろう。
こちらは、ZenPad7.0とZenFone2Laserの双方で同一条件下で撮影した写真の比較。
なお、左がZenFone2Laser、右がZenPad7.0での撮影となる。
ZenFone2Laserは「カメラ性能を強化」したモデルだとはいえ、同じメーカー、普及帯の製品だ。
にも拘わらず、これだけの差異が生じるということは、即ち「カメラの性能」もまた、コストカットのための「切り捨ての対象」となっているということ。
撮影時の持ち易さなどを考慮しても、素直にスマホで撮影したほうが良さそうだ。
そして、ASUS Zenシリーズ全般で問題視される、硬いカバーの爪も健在。
特に後述するAudioCover装着時の硬さは、下手をすれば破損に至る危険性がある。
個人的にお勧めの方法は、このエーモンこと車内装はがしを使う方法。
これだと指も痛くなり難いし、力加減もしやすい。
こいつをカバー開閉用の隙間に突っ込み、少し力をかけて横にスライドさせつつ、ツメを外周に沿ってゆっくり進めていくと、割と簡単に外す事が出来る。
全周外すと、こんな感じで背面部にアクセス出来る。
後述するオプション品は、TriCoverを除いてこの作業が必須となる(取り外したカバー部分に装着する)ので、爪での開閉で痛い目を見た人は、内装はがしを一本用意しておくとラクだ。
なお、microSDカードスロットもこの位置にあるので、購入後最低でも一度はこのカバー剥がしを体験する羽目になる。
無理かもしれないと思ったら、迷うことなく車用品店でコイツを探すことを強くお勧めする。
オプション品は個性豊かで、実用性も高い。
今回のレビューでは、ZenPad7.0のオプション装備のうち、一つを除いてセットで提供されている。
詳しい内容は別途、オプション装備ごとにレビューを行うが、簡単にそのオプション装備についても紹介しておこう。
まず、最も高額だが非常に面白いコンセプトのオプションが、この"AudioCover"だ。
dts-HD対応のポータブル・スピーカーが、そのまま本体カバー兼スタンドとなる製品で、スピーカー再生時の電池消費量増大をカバーするためのバッテリーも内臓されている。
音質については、正直「この大きさで、この音量と音質なら十分に合格」と言える出来。
薄型故の不利(低音が出ない)はあれど、面積だけは大きく取ったこと、5.1chを出すために数を載せたことが幸いしたのか、下手なノートPCよりも音量・サラウンド効果共に良好。
出先での映像再生などでは、このカバーの有無で快適さはかなり変わってくるだろう。
ただ、重さが211gと本体の八割弱もあるので、完全に「据え置き再生専用」と割り切る必要がある。
次なるオプション装備は、追加バッテリーとなる"PowerCase"。
こちらは、ZenPad7.0の駆動時間を最大6時間延長する事が出来る追加バッテリーとして機能する。
重量は142.5gと、SoundCoverよりは軽い。
ただ、見たら判ると思うが、本体カバーやスタンドとしての機能がないので、保護手段が別途必要。
面白いのは「本体側バッテリーが一定量減った」ことを検知したら、PowerCaseが「本体側バッテリーを充電する」という動作を行うこと。
多少変則的ではあるが、「サブバッテリーから優先的に使い切る」仕様なので、使い切ったら別のカバーに付け替えるという使い方も出来る。
最後に、スタンド機能を持つ本体カバーの上位版たる"ZenClutch"。
クラッチバッグを彷彿とさせる外見、本体をぐるりと覆うカバーとしての強度、スタンドとしての機能と、見た目も機能も個人的に最も気に入ったのがこれ。
重さもPowerCaseやAudioCoverほど「重い」感じはないし、見た目については言う事無しだ。
問題は「単体入手って本当に出来るの?」ってくらい、単体販売しているのを見かけないこと。
価格についても、同じくカバー機能を提供する"TriCover"(今回唯一提供されていない)の倍額と、見た目だけの為に投じるコストとしては、結構痛いのが難点だろうか。
スマホと一緒に持ち歩け。表示端末としてはかなり優秀。
さて、そろそろ総括に入る。
使ってみた限りにおいて、ZenPad7.0という製品のコンセプトは「データ再生専用の表示端末」だ。
「やれること」と「やれないこと」が、恐ろしいまでにはっきりとしている。
ウェブの閲覧や、映像や画像の再生においては、殆ど不満を生じない・・・というか、かなり快適に使えるよう作られているが、それ以外の部分については「一切の期待を捨てて下さい」と言わんばかりに、徹底的にコストカットされている。
本製品を「スマホより大画面でゲームを遊びたい」という目的のために買うのは、はっきり言えば愚の骨頂だ。
これは、そういうコンセプトの製品ではない。
ウェブや電子図書の閲覧、映像の再生、そうしたものの「出先における表示端末」として割り切って使う製品だ。
これは、製品のスペックやコンセプトだけでなく、オプション品のコンセプトからも明らかである。
再生機として「いい音で聞きたい」ためのAudioCoverであり、出先でも長時間使いたいがためのPowerCoverであり、スマートに持ち歩くためのZenClutchだ。
個人的に言わせてもらえば、この価格帯で「割り切った製品コンセプト」を持っている事にこそ、ZenPad7.0という製品の良さがあると感じる。
その「高級機に匹敵する見た目」といい、オプション品のコンセプトや質感といい、本製品は「スペックを気にする人」へのアプローチを最初っから捨てている。
だからこそ、この割り切った製品コンセプトが生きるのだ。
タブレットに「表示端末」以上の役割を求めないユーザーというのは、それなりに多くいる。
ゲーム端末やカメラは「キャリア提供の高級スマホ」にお任せし、スマホより大きな画面が生きる「電子図書や映像再生」にステータスを全振りすることで、顧客にコストと見た目の両面で高い満足度を提供することに成功している。
そりゃ勿論「ギリギリの性能」故の不満点も多々あるが、電子図書をスマホより大きな画面で読みたいとか、出先で映像再生するための小さな端末が欲しい、という層とっては、必要十分だ。
これ以下の性能、これ以下の品質だと「不満ばかりが鼻につく」状態になるところの、ギリギリ上を狙った性能を持たせ、高級感のあるデザインで纏めるというコンセプトは、私としては大いにアリだと思う。
「全てがハイスペック」であるに越したことはないが、それでは気軽に購入出来ない。
入門機の価格で、それなりに使える製品というものを作るのは、割と難度が高いものだ。
ましてや、見た目を上位機並みのレベルに仕上げるというオマケ要素が付けば、より難度は上がる。
ZenPad7.0は、そういう「難度の高い」製品コンセプトを「完成」させた製品である。
この割り切った製品コンセプトは、割と多くの人にとって「はまり込む」筈だ。
何も好き好んで高い製品を買わなくても、ZenPad7.0で「事足りる」人は結構いるはず。
少なくとも、私が「事足りた」人だったことだけは確かだ。
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購入金額
0円
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購入日
2016年04月11日
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購入場所
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