テレビは製作費を抑えるため、複数のテレビ局で系列を組み、広告収入が少ない地方ローカル局はキー局と呼ばれる大都市圏の放送局が制作した番組を買い取り放送するのが一般的になっている。このうちアニメなどは名古屋テレビ(いわゆるメ〜テレ)の制作のものも多いし、ワイドショーに強い讀賣テレビや情報番組のMBSテレビなど大阪の放送局も全国ネットされる番組を制作するが、なんといっても東京に本社があるいわゆる「在京キー局」がテレビ番組の主な配信元だ。
この「在京キー局」は日本テレビ(AX、NNN系)、テレビ朝日(EX、ANN系)、TBSテレビ(RX、JNN系)、テレビ東京(TX、TXN系)フジテレビジョン(CX、FNN系)の5社がある(デジタル地上波リモコンNo順)。ただ関東にはほかにも多くのテレビ局がある(旧独立UHF放送局)。「saku saku」や「billboard TOP40」などの音楽番組や以前は三木和彦の「新車情報」で名を馳せたテレビ神奈川、「フィッシング倶楽部」のテレ玉ことテレビ埼玉、「チュバチュバワンダーランド」の千葉テレビなどに並んで、東京にはTOKYO MX=東京メトロポリタンテレビジョンがある。
これらの独立系テレビ局は時に連携して独自番組を制作するが、それだけではやって行けず、在京キー局などから番組提供を受けたり、昔の番組の再放送権を買ったりして放送枠を埋めている。エリアも限られ独自番組も少ないので視聴者も少なく、視聴者が少ないということは社会的影響も限られるので、提供企業側もうまみに薄く、売り上げ自体は小規模にとどまる(在京キー局最小のテレビ東京と比べても1/10程度)。
その状況を打破しようと?TOKYO MXが出してきたアプリがコレ。
「エムキャス」
インターネット網を使ってスマホにTOKYO MXの番組を配信しようという試み。
動画共有サイトへの番組投稿やその仕組みを利用した生放送配信(ニコ生など)ではなく、スマホアプリを通した同時配信というのがキモ。曰く『「TOKYO MX」の番組は、地上波では東京都及び 関東圏の一部(約1,430万世帯)で視聴可能ですが、「エムキャス」では、インターネット網を通じて「TOKYO MX」の番組を同時配信するため全国で視聴可能となります。 これにより、全国のスマホ ・ タブレットユーザーが視聴対象となります。 (2015年7月1日同社プレスリリースより抜粋引用)』。
つまり今まで狭い地域に限られていたMXの番組を全国に拡散させようという試み。ただし現在のところCMは流されないので、収入の問題などもあるのか2015年7月1日から1年間の実証実験ということらしい。提供企業としても自分たちの出資した番組を無料で配信される(しかもCMカットで)のはなかなか同意しづらいのか、いまのところ放送番組は非常に限られており、深夜系アニメやショッピング番組、報道系トーク番組など1日数番組がラインアップされているに過ぎない。
ただしこれでcybercatは恩恵を受けた。以前触れた深夜Webラジオ番組「洲崎西」。
洲崎綾と西明日香という仲の良い女性声優2人がゼロ距離で言葉のなぐり合いをする爆笑バラエティラジオ?なのだが、なんとこのラジオ番組発のTV番組が制作されたのだ。その名も「洲崎西 THE ANIMATION」。2015年7月現在100回を超えるラジオ放送で語られたネタを再構成し、高校生(←年齢詐称w)の洲崎綾と西明日香が同じ学校に転校してきたという設定でそれらのネタをちりばめてアニメ化していこうというもの。7月8日に第1回が放送され、それはさきの新月さんの紙(神)芝居動画
でも有名な第8回のトークをアレンジしたものだった。
しかしWebラジオのトークが元ネタのテレビ番組という今までない試み。ラジオは生ではなく録音とはいうものの、その場の雰囲気での話の転がり方や二人の素のトークのやり取りが面白いのであって、それを脚色、脚本化して面白いのかはまた別の問題。5分アニメとはいうものの博打的要素も強く、配信元のMX以外ではネットされるのは二人の実家のある地域のローカル局が深夜枠として、という「全国3局ネット」の状態。...こっこれでは関東圏と兵庫・石川以外では視聴できないではないか!...一応翌日昼にはニコニコチャンネルとビデオマーケットで配信され、前者は無料のため見ること自体は叶うのだが、やはり旬のものは早く味わいたいし、ネット民の反応はリアルタイムで感じたいじゃないか!
...と思っていたら!この番組、「エムキャス」の配信番組一覧に入っていた(大歓喜w
で、その「エムキャス」。予約も可能で、開始時間の少し前に通知が来る。
優秀なのは受信感度により画質を自動調節できること(5段階。マニュアル設定もできる)。
もちろん全画面対応なので、受信感度のいいところやWi-fi環境下で、AirPlayなどでTVに飛ばせば大画面でも見ることができ、まさにMXエリア内のよう。
©洲崎西 シーサイド・コミュニケーションズ/洲崎西製作委員会 ↑iPhoneでの全画面表示
現在のところ配信可能になるまで1分ほどのタイムラグがあることと、CMがカットされているので本放送とは完全に同じものではないが、「テレビの放送エリアの概念をなくすもの」として面白いアプリ。
このあとすぐ開始されたが、55分からのハズが1分と少し遅延。
ただ、現在の提供企業の出資によって番組の制作や会社の運営をしている民放のスキームを完全破壊する新たな試みでもあり、どう収益を上げていくかが難しい試みでもある。ヘタをすると地元企業から少額のスポンサー料をかき集めてキー局の放送をただ中継するだけのローカル局はその存在価値を問われる試みでもある。ただこのインターネット時代に新聞など旧来の「マスコミ」はさまざまなトライアルをして生き残りを図っている。そんな試みの一つがこの地方テレビ番組全国配信アプリ「エムキャス」。前述の番組の件は置いておいても、うまくいくと面白いな、と感じているアプリです。
PS.そうそうこれで見た問題の番組自体は「洲崎西入門編」かな。元ネタ知ってたら、あぁあのネタとニヤリとできるけれど、元を知らない人が見たらどうなんだろ。
第1話の核になっているのは第8回オープニングのあやっぺ(洲崎綾)が中学時代の話。
一人でテニスの朝練してたら車から人が下りてきて近づいてきたので、(中二病らしくw)「スカウトか?」と思ったら実は露出狂だったという出来事。これを校長先生に報告に行ったらその校長が言ったのが...という話。脚色・創作としては、事実はあやっぺひとりが遭遇したのだが、同級生役のあすか(西明日香)も同時に被害にあう設定になっているとか、変質者が某有名テニスマンガ、「エースをねr...なにするこらヤメr
...あと遅刻しそうになって髪を乾かし切らないまま走ってきて自然乾燥させたとか、人との距離の詰め方が異常な半端ないとかあやっぺ中心のネタがちりばめてあった。
とりあえずワンクール(12回)予定なので残りを見てから判断かな。ただ第1回目から「全裸テニス」というクライマックスぶっこんだんだったら、あとめぼしいネタは...?...残るは「乳比べスパ」か「まいこのパンツ」か「クレイジーヤンデレズ」か「スナック『ぺ』」か「音姫」か「ぺったんこぺったんこの殴り合い」か「浮気釈明会見」か「入浴剤」か「ひどいことを」か「今日もシャワーが私の身体を包む...これがあの人n..なんだまだまだネタあるぢゃんw
ニコニコ動画公式チャンネル←最新回配信あり
同時性のシ・ア・ワ・セ
動画サイトに正式配信があるとわかっていてもそれは翌日。twitterなどでの即時反応が展開される現在では周回遅れ。「ほぼ」同時の配信は「乗り遅れない」。
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購入金額
0円
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購入日
2015年07月02日
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購入場所
App Store
いぐなっちさん
2015/07/13
いい時代です。
乗せてくれるかはわからないけど^^;
cybercatさん
2015/07/13
そういうビジネスもありかな..