レビューメディア「ジグソー」

「あけぼの=DAWN」というが、まだ、明けていない。

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。「売れることが当たり前」となってしまうアーティストがいます。売れ続けることと、自己の表現と。絶え間ない新譜の要求と作品のクオリティ。決して同じベクトルでない要素を上手く両立するのは至難の業です。20世紀末にニューミュージック(←知ってる?)の女王と呼ばれたアーティストの、販売的な絶頂期の作品をご紹介します。

 

松任谷由実(ユーミン)は結婚前の荒井由実時代

から良質な音楽を継続的に届けている日本を代表するシンガーソングライターのひとり。(2015年1月現在)活動期間は42年で、オリジナルアルバム37枚、シングルも40枚を超え、その多くが大ヒット作なので世代を超えて支持を受けるヒットメイカーでもある。

 

ただ、セールス的なピークは、彼女の楽曲と時代の要求が合致しており、プロモーション的にも大型タイアップが多く、「CD(アナログレコード含む)」という「モノ」が売れた時代である1990年前後の「8連続ミリオン」。以前ご紹介した1988年発売の“Delight Slight Light KISS”

から1995年発売の“KATHMANDU”までの8作がそう(最高売上は1994年の“THE DANCING SUN”)。

 

彼女はこの時期11月末か12月頭に年1作のペースでオリジナルアルバムをリリースしていたが、特別仕様盤が店頭に並ぶと、その時期の映画やCMとのタイアップというプロモーションも含めて、「冬の風物詩」的な社会現象にもなっていた。この定期的リリースに加えてこの時期他アーティストへの楽曲提供も多かったので、まさに安打製造機ならぬヒット曲製造機の様相を呈していたが、そんな活動が一番派手だった時期に出された作品。

 

コンセプトとしては「セカンドバースデイ」..つまり人生半ばでの生まれ変わりを意味する。そのためアルバムタイトルも“DAWN PURPLE”=明け方の空の紫ということで、「変化」を感じさせるものだが..中身的には従前のラインに、派手な音、派手なミックス、豪華なゲストで物量を投入して勝ち取った品質?と感じさせてしまうのが惜しい。

 

トップの「Happy Birthday to You~ヴィーナスの誕生」はその名の通り、誕生の歌で♪もうすぐ激しい痛みが来るわ/呼吸を整え立ち向かって♪と生誕をイメージしたような、でも♪前へ/前へ/前へ進むのよ/勇気出して/あなただけの歴史切り拓く♪と新たなチャレンジとも取れる内容。Jerry Hey率いるブラス隊の豪華なオブリでかなりのイケイケソング。ただこの曲は間奏の部分からアウトロにかけて、久保田利伸のコーラス&オブリが聴ける。ちょうど久保田はソウル調J-POPでジャンルを創り、でもまだアメリカ進出などが具体的にはなっていないころの、日本での活動が一番厚かった時期。彼の唯一無二の歌声が聞こえる(つか、間奏は完全にユーミンブランドではなくてクボタワールドになってしまっているアクの強さw)。

 

プロデューサーでもある松任谷正隆のオルガン(音色)と生のラッパ隊のオブリ、松原正樹のまるでCarltonのような音階の切り取り方のソロ、Abraham Laboriel

の絶妙にハネるベース、現在まで半世紀近く活動しているコーラスグループ、タイムファイブのアカペラのラインが洋楽している「誰かがあなたを探してる」。スローシャッフルですごくリズムが難しい。そこに「日本語のまま」詞を乗せているのが、ユーミンらしいと言えばユーミンらしい?

 

「9月の蝉しぐれ」は突然昔のユーミンに戻ったかのような曲。バブルの勢いとともにグングン来ていた彼女が、その崩壊を受けて過去を振り返ったような風合いの曲。他とはかなり手触りが違う。でもコレこそ元祖ユーミン節?♪おしえて/おとなになるっていうのは/もう/平気になる心/死にたい程傷ついても/なつかしいこと♪

 

全体の質としては悪くない。ただ、曲単体として強い印象を残すものがないのも事実(ひょっとしたらこの時期のユーミンは「アルバムアーティスト」になっていて、CF曲などはあれどそれらがシングル化されなかったのもあるかもしれないけれど)。

 

購入当時は「時代の音」「街でよく流れているCF曲」という感じで悪い感じではなかったけれど、振り返って聴いてみると「荒井由美時代」の尖り方が懐かしい。

初回盤はレンズ様のブラ板が入ったつくり。
初回盤はレンズ様のブラ板が入ったつくり。

歌詞カードとディスクを取り去った後も考えられている。
歌詞カードとディスクを取り去った後のことも考えられている。

 

「セカンドバースデイ」と自分を変えるテーマに取り組んだが、ちょっと行ききれず、このあとちょっと模索の時代に入るユーミン。そういう意味では「夜明け」を目指した作品だったが、ちょっと明け切らなかった??そんな感じをうける作品です。

 

【収録曲】

1. Happy Birthday to You~ヴィーナスの誕生
2. 情熱に届かない~Don’t Let Me Go
3. 遠雷
4. DAWN PURPLE

5. インカの花嫁
6. 千一夜物語
7. 誰かがあなたを探してる
8. タイム リミット
9. サンド キャッスル
10. 9月の蝉しぐれ

 

「Happy Birthday to You~ヴィーナスの誕生」(SPOT)

↓彼女は著作権にうるさく、アップされたものを片っ端から削除するのでフルサイズはありません

更新: 2015/01/15
クオリティ感

8連続ミリオンの中間、4発目は物量を投入したことによる高品質

荒井由実時代から数えて通算15枚目のアルバム“VOYAGER”から27枚目の“KATHMANDU”まで、12年間にわたって11月終わりから12月はじめにかけてオリジナルアルバムをリリースし、「冬の風物詩」となったユーミンの絶頂期のクオリティ、ぱねぇ。しかし、個々の曲のメロディラインや詞のセンス、アレンジや演奏までの曲トータルとしての出来が良い、というよりは物量突っ込んでお化粧しましたと感じてしまうのはザンネン。

  • 購入金額

    3,000円

  • 購入日

    1991年頃

  • 購入場所

16人がこのレビューをCOOLしました!

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