英B&W(Bowers&Wilkins)製ブックシェルフタイプコンパクトモニターCM1のMaple仕様です.2006年の発売以来,ロングセラーを続けていましたが,2014年にCM1 S2にバージョンアップしました.でも,そのおかげで,旧モデルの英国製を,手の届く価格で入手できました.
ユニットは,25mmアルミニウムドームツィーター(Nautilus Tube)と130mmウォーブンケブラーコーンミッドバスの2Wayリアバスレフ方式です.
再生周波数帯域は45-50kHz,クロスオーバー周波数4kHz,インピーダンス8Ω,感度84dBです.最近の高能率スピーカーと比較すると,鳴らしにくい面がありますが,大口径ではないので,ある程度のアンプでも大丈夫だと思います.
大きさは,W165×D260mm×H280mmで,重さは6.7kgとブックシェルフ型に分類されていますが,普通のブックシェルフと同じようには扱えません.セッティングがとても難しいです.
ターミナルは,金メッキの大型バイワイヤリング対応で,ショートバータイプです.
バスレフポートは,ディンプル加工されており,コントロールされていることが伺えます.ここに,中空スポンジを入れて,低域をコントロールします.
デザイン面の大きな特徴として,マグネットキャッチグリルがあります.バッフル面に穴がないのに,ネットグリルを装着できます.このため,グリルを外したときの印象がとてもいいです.
しっかり,Made in Englandです.
音質は,レビューの視点を見てください.
透明感,S/Nの良さ,癖の無さ,手軽さ(置いただけでOK)は,パイオニアのS-77TwinSDのほうが好印象ですが,バランスとリアリティでCM1の圧勝です.
CM1は,雑音部分にも音の拡がりを感じることが出来る不思議なスピーカーです.
最後に,ヘッドフォンとの比較を少し.
CM1を聴いた後,HD650を聴くと,やはりそこには違う世界があります.どちらがいいとかの話ではなく,別の世界の良さがあります.
同様に,Q701を聴くと,似た印象がありますが,スピーカーとヘッドフォンの音場の違いが浮き彫りになります.
HD650もQ701も素晴らしいですが,リアリティの面でCM1には勝てません.逆に,CM1が負けている部分,不足している部分がはっきりわかります.
コストパフォーマンスで見れば,スピーカーはヘッドフォンには勝てないと思います.
しかし,ヘッドフォンでは得られない世界がスピーカーにはあります.
仮セッティングでの視聴は,S-77TwinSDの上に,スパイク+スパイク受け+人工大理石板です.後ろの壁からは40cmくらいなので,バスレフポートに中空スポンジを入れています.再生環境は,SACD(RCA)⇒パワーアンプ(Bi-Amp)⇒スピーカーの構成です.
SACD:DV-S858Ai
パワーアンプ:M-70
比較スピーカー:S-77TwinSD
小型ホームモニターの頂点
このCM1は,小型ブックシェルフスピーカーの扱いですが,B&Wがコンパクトモニターと謳うだけの音が出ます.明確な定位と音場の拡がり,そして音の厚みが普通ではないです.
まず,この大きさからは想像も出来ない低音の量にびっくりします.大口径ウーファーとは違い,沈み込む様な力強い低音ではないけれど,キレとスピード感があり,十分な音量です.
中高域も綺麗で,小型モニター特有のキンキンした感じは一切ありません.解像度が高く,クリアーで,とてもリアルです.特に高域はアルミドームのせいか,金属的なキラキラした感じですが,そんなに強く主張してこないので,サ行も気にならず刺さる感じはありません.
中域はとてもしっかりしていて,ぼけたり籠もったりする感じはありません.130mmミッドレンジの良さが良く出ていると思います.
あえて高域を抑えている感じはしますが,全体的なバランスが絶妙で,小音量から実使用域までバランスが崩れず,非常にリニアリティーが高いです.
ただ,セッティングが非常に難しいです.とてもシビアに反応します.
コレはセッティング沼か?と思い知らされました.
いつも,ピアノ音源で行っているのですが,難しくてギブアップし,今回は,ホワイトノイズで行いました.
距離,角度,スパイク,ケーブル,アンプ構成など,すべてにおいて変化が大きいです.
このスピーカー,どんなジャンルでも大丈夫だと思います.ただ,音源の悪いものは,それがはっきり出ますので,CDでも大丈夫ですが,実力発揮には真のハイレゾ音源が必要です.圧縮音源を聴いてはいけない(聴きたくない)スピーカーです.
クラシック,ジャズ,ポップス,ロックなど,最適かどうかは別にして,密度の高いモニター的な音質で,圧倒されます.ボーカルや弦楽器など,生音が良いと思います..
ただ,ジャズのベースライン,ボーカルの艶の部分に,不足もあります.B&Wでは低価格帯の部類ですし,ペアで10万円強のスピーカーの限界もありますが,色づけしないモニタースピーカーの良さを十分発揮していると思います.
ロングセラーで評価の高いスピーカーは,やっぱりそれなりの価値のあるものでした.
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購入金額
0円
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購入日
2014年12月頃
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購入場所
退会したユーザーさん
2015/02/16
面白いですよね、オーディオって。
このスピーカーはモノとしての佇まいが綺麗ですね。
見た目通りの音が鳴るのかな??
今はイヤホン・ヘッドホンが面白くて止まらないけれど
いつかはスピーカーも・・・・・・と思います(笑)
harmankardonさん
2015/02/16
今回改めて,イヤフォン/ヘッドフォンの良さもわかりましたが,スピーカーも別世界の良さがありました.
臨場感と音場-リアリティ感-は,スピーカーでないと表現できないと思います.
でも,ヘッドフォンのコスパは最高です.
普段はヘッドフォンになってしまいます.
cybercatさん
2015/02/17
湿度のない厚さ、というか...
でも
>ただ,セッティングが非常に難しいです.とてもシビアに反応します.
>距離,角度,スパイク,ケーブル,アンプ構成など,すべてにおいて変化が大きいです.
そうなんですね!
自分は販売店の壁置き(きちんと試聴用に別室にセッティングされているものではなくて、さまざまなスピーカーを壁一面に並べていて、単にセレクターで出力を選べるようにしてあるだけのもの)しか聞いたことがないので、真の実力を知らないのかなー。
harmankardonさん
2015/02/17
B&Wは,JBL派には否定されそうな音ですね.
ブックシェルフ型ですが,スピーカーの周りは大きく空間を取らなければ,本来の音が出ないようです.
北のラブリエさん
2015/02/17
私の知人が鳴らしていたのは素晴らしかったですが、それくらいいい音のでているB&Wのスピーカは未だに巡りあえていません。
harmankardonさん
2015/02/17
やはり,セッティング沼の様ですね.
もう,後は自己満足で妥協するしか無さそうです.