東京の神楽坂。
ここに、人知れず、郵便局があるという。
どうやら猫の郵便局というらしぃ。
猫が手紙でも運んでくれるのか？・・・そんなわけがない。
だけど面白そうだから行ってみよう。
そんな思いつきで探してみた。

しかし、探せど探せど郵便局は見つからない。

そこへ一匹の猫が現れた。
こちらをジッと見つめた後、ついて来いといわんばかりに踵を返して歩いていった。

仕方ない・・・どのみち分からないんだ。
ついていってやるよ。

あっちにいったり。

そっちにいったり。

気づけば辺りは暗くなってきた。

自分はこの猫に遊ばれてるのか？
もう諦めるか・・・そう思った時、月の光りに照らされ、まるでイルミネーションの用に輝く建物が現れた。

その建物の名は「ねこの郵便局」

あった！・・・あったぞ！
ここが求めていた郵便局だ。

そうだ。
さっきの猫にお礼を・・・

すでにそこに姿はなく、気にせず楽しんでいけよと言われたようだ。

じゃあ遠慮なく楽しむか・・・楽しむ？

郵便局で楽しむって変な感覚だなと思いながら辺りを見渡す。

ポストがあって、バス停まであるぞ！
ねこバスでも来るのかな？（笑）
一度、あのふっかふかなバスに乗ってみたいものだ。

外ばかりでは分からない。
とりあえず中へ入ってみよう。

ガチャッ。。。ギーッ。。。

「いらっしゃい」

その建物の中には主人と思われる「人」がいた。
はは・・・そうだろうそうだろう。
猫はしゃべらない。

そんな事を思ったのも束の間、建物の中一面に広がる猫ワールドに言葉を失った。

あっちを見ても

こっちを見ても

そっちを見ても

さらに郵便ポストもあった。

もう猫グッズだらけ！
良くまぁ集めたもんだと感心するばかりだ。

感心しているのが分かったのか、主人はにこにこと微笑みを浮かべながらこちらを伺っているように思えた。

辺り一面の猫ネコねこグッズに目を輝かせながら見ていると、あちらこちらで目に入る子達がいた。

こちらでは黒猫が何かに捕まっているように見える。

こちらではトラ猫達がひっしにしがみついているように見える。

にゃんだこれ～　かっかわいい(///▽///)

この必死な感じがたまらない。
このぶらさがっている感じがたまらない。
このしがみついている感じがたまらない。
ああ・・・愛おしい。

こっこれは・・・この出会いは無視してはいけないっ
そう思った瞬間に主人にお願いをしていた。

大切にするから・・・どうか譲ってほしい。

・・・いいよ。

拍子抜けするぐらいあっさりと了承を得てしまった。
さすがに不安になった自分は、そんなにあっさり了承して大丈夫なのか？と聞いてみた。

主人曰く、
ここにはネコ好きの人しか来ないから大丈夫だよ。
それに、あいつが連れて来たんだろう？
なら何も問題ない。

あいつ・・・とは、自分を連れてきてくれたネコの事だろうか？
あいつも信用されているんだな。
そして自分も信用してくれる。
それだけでも心が満たされた。

満たされた心と託された心。
その両方の想いを胸に建物を後にする。

最後に１枚、主人から渡されたものがある。
猫が手紙を運んでいる絵が描かれたものだった。

いつかこの幸せな心を他の誰かに届けられたらいいな。
そんな事を思える１枚だった。

※かなりフィクションも盛り込まれていますのでご注意下さい。