1992年にModel1基盤で稼働した業務用レースゲーム「バーチャレーシング」のアレンジ移植版。原作はもともとModel1基盤のテスト用として開発されたものの、完成度が高かったことからそのまま製品としてリリースされた経緯を持ち、のちのデイトナUSAシリーズやスカッドレースといったAM2研のレースゲームに採用された視点切り替えシステム「V.Rボタン」や3Dフルポリゴンで描かれたフォーミュラーカーのリアルな挙動で人気となった作品で、この時の技術がこれまた名作「バーチャファイター」に受け継がれたのは有名な話です。
バーチャレーシング自体はセガハードに何度か移植されており
AM2研自ら移植、カードリッジに3Dチップを組み込み見た目は荒かったもののプレイ感覚は業務用を完全移植したVirtua Racing MD
同じくメガドライブ用に移植、今度は32bitモジュールSuper 32X専用になり、グラフィックも大幅に向上。いまだに評価が高いVirtua Racing Deluxe
なぜか移植もとがタイムワーナーになり、サターンなのに32X版を超えられなかったバーチャレーシング・セガサターン
と3回にわたって移植されており、本作で4回目の移植となります。一応原作プロデューサーの鈴木裕氏による監修が入っており、モードとしては
業務用を再現した「アーケード」
本作用の追加コースも含めた全6コースをF-1カー、70's F-1カー、プロトタイプカー、クーペ、クラシック(ロータス・スーパー7そのまんまな車)の5車種で転戦していく「グランプリ」モード
画面2分割で対戦できる「2人対戦モード」
を収録。これだけ見ると2500円の低廉なシリーズとしては選べるモードは豊富に見えます。
見た目もフラットシェーディング処理がなされ、車のモデリングもハードウェアの向上により細かい部分まで書き込まれるようになったものの原作を踏襲したデザインとなっており、「ついにアーケードの完全移植が実現したか!!」と期待はしたのですが…
”見た目”だけはアーケードに近いが…
当時のSEGA AGESシリーズはオリジナルを変にアレンジして収録し、原作ファンから非難されていた記憶があります。(例:中途半端に3D化し、車種もテスタロッサからよくわからないスポーツカーに変更されたOutrunなど)
本作は前述のとおりオリジナルのModel1基盤からPS2になったことで車のモデリングがより細かく書き込まれるようになり、フレームレートが30fpsから60fpsに変更されたりはしているものの、基本的にはテクスチャーマッピングを張っていない生ポリゴンなのはそのままです。(というかテクスチャを張ったらもはや”バーチャレーシング”ではなくなってしまうので…)
ただまず起動してすぐわかるこれ
右下でぐるぐる回ってるロゴは本来「SEGA」ロゴだったのですが、本作では開発元の「3DAGES」ロゴに指し替わってしまっており、この時点でかなり残念な感じになっているのですが、追い打ちをかけるように
このやる気のないタイトル画面。原作通り青画面にV.Rロゴだけでいいのに「SEGA AGES 2500シリーズ Vol.8」の文字が微妙感を漂わせます。これならFREEPLAY表示もいらな(ry
アーケードモードのセレクト画面はアーケードそのまま。「ボタンでシートを調整してください」のアナウンスも業務用同様でここまではテンションが上がります!!
が、実際にレースを開始してみるとまず挙動がアーケードと違うのに気づくのですが、それ以前に
接触=即スピン
敵車と接触すると即スピンという意味不明な仕様に変更されています。オリジナルも敵車と接触するとスピンすることはあったものの、「接触即スピン」という仕様ではなかっただけになんでこんな仕様に変更したのか意味不明。
それ以外に業務用は各コース5ラップ設定だったのがなぜか一周へって4ラップ設定になっていたり、挙句の果てにはコース1位をとるとみられるエンディングが完全削除されてしまっているなど、とても「完全移植+α」な出来とはいえない完成度になってしまっています。残念ながらV.Rの移植作として完成度が高いのはやっぱりSuper32X版ということになりそうです。
これはひどい。あんまりだ。
実際のプレイ動画はこんな感じです。
参考までに業務用
Super 32X版
今だからこそModel1の完全移植版を
SEGA AGESシリーズのアレンジに関しては本作だけでなく全体的に不評で後期シリーズ(バーチャファイター2、バーチャロン、ファイティング・バイパーズ)は開発元(アーケードの移植で評価が高いM2)を変えて「Model2基盤のものをそのまま移植+α」という方向性にシフトしていくことになります。
本作に関して言えば60fps化やフラットシェーディング程度のアレンジで挙動がアーケードそのままであればとくに問題がなかったものの、挙動やゲーム性まで大幅に変えてしまったことで「やっぱり微妙」な移植作にになってしまっているのが非常に残念なところ。
期待して中古ショップで取り寄せてもらっただけに起動してがっかりした記憶があります。
当時はModel1のエミュレーションも難しかった部分はあるのでしょうが、今であれば家庭用ゲーム機のハードウェアスペックが高くなっているのでModei1基盤のエミュレーションも可能なはず。配信という形でもいいので今だからこそアーケード版”そのもの”の移植を望みたいところです。それとSuper32X版の配信も…
ということでV.Rをプレイしたいのであればハードウェア環境をそろえるのが今となっては難しい点がありますがSuper32X版のプレイをお勧めします。メガドライブでアーケードのプレイ感覚を忠実に移植した当時のセガ/AM2研は
や
ふくめ改めてすごかったなぁと思います…
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購入金額
980円
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購入日
2009年頃
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購入場所
Visco 朝霞店
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