購入店でイロイロ試聴して買ったのだが、その時でさえ耳への収まりの悪さが感じられた。
きちんと収まった時には、美麗な高音とちゃんと必要なだけはある中~低域でとても7000円とは思えないイヤホンだが、耳への収まりが悪く抜け気味になる事があり、そうなるととたんに(当然)スカスカになる。
そこで耳への食い付きが良く遮音性が良いと評判のcomplyイヤーチップも同時購入する事に。購入店で現物合わせでT-400を選択。...なのだが、現在のe☆イヤホンのcomply対応表ではややステムを装着する穴の大きめのT-500が適合サイズとなっている(アレ?。ただT-400でも付かないことはなく(←現物合わせしたのだから当然)、ややキツめだが一度入るとグラグラしなくて良い感じ。これで装着すると密閉性は確かに良くなる。
KC06のデフォルトチップ、Shure掛けの音と、このcomply T-400のSサイズでShure掛けした音とを比べると、例えば吉田賢一ピアノトリオの「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」
ではデフォルトチップではキツ目の高音がリアルなシンバルワークを届けるが、ベースは弱く、途中のベースソロぐらいの音量で聴こえればグルーヴィなのに..と思うのだが、complyの方はその静寂と材質的なまろやかさで、リムショットの刺さりがなくなり、リムの音よりスティックの木の音の方が優勢となり落ち着いた感じに。ライドシンバルの広がりの煌びやかさは少し引くが、ベースラインも芯が出て、この曲のように小編成ジャズのヴィヴィッドな録音はより音楽的になる。
ゲストベーシストの日野'JINO'賢二のベースプレイとラップが際立つ低音域がソリッドなジャパニーズフュージョン、T-SQUAREの「RADIO STAR」
は、キレッキレの坂東クンのバスドラとハイハットワークがファンキィなデフォルトチップに対してcomplyはJINOのベースが上がりグルーヴィに。ただキレという点はデフォルトの方が良いのと、なにより高音が美しいKC06の特性が薄まるのはイマイチ。
complyは高音域がやや過剰目、もしくは低域が少なめで、ライヴな音質の楽曲にはとても合うが、低域が多めの楽曲だとやや過剰目になってしまう感じで万能ではなかった。
シリコンのように耐久性が高ければ曲によって付け替え...というのも考えられるが、complyという素材のイヤーチップ、頻回の付け外しに耐えるようには造られていない。ストローのような穴のあいた硬めの軸(ステム)にふんわり柔らかい低反発性枕のウレタンのような素材の緩衝材がくっついているような造りで、「ストロー」に直接ツメがかかれば良いのだが、外し初めはどうしてもウレタンを「こじる」ことになる。そうなると「ストロー」とその周りの「緩衝材」に接合部にかなり力がかかってしまう。また、cybercatの耳の穴はやや細めなので、complyの大きさ的には「S」となるのだが、特にこのイヤホンに関してはcomplyの良さが活きてこない?
complyの装着法としては、その柔らかさとゆっくりとした復元力を活かして挿入前にチップを外周側から圧迫して「細く」し、挿入後緩やかに復元することを利用して耳道へ密着させる、というのが王道装着法。ただSサイズでチップが小さいと言うことは、外径が小さいと言うことで(イヤホンステムが入る穴は変わらないので)ふわふわの部分が「薄く」なる。そのため、復元力がさほどにないと言うことで、もともとcomplyの利点が活かしづらい。
さらにKC06に関してはステムが太くて短いので、complyの中でもステム穴が大きい(=ステム穴が細いT-100などと外径は変わらないのでふわふわ部分が薄い)ものを選ばなければならないし、ステムの短さで耳に押し込んだ時に「イヤホンのステム部分よりcomplyの硬い『ストロー』部分があたる」感じがして若干不快。
そんなわけで、高音過剰気味の曲では下を支える低音のふくよかさが増すなど良い部分はあるものの、「cybercatにとって」の「高音が美しいKC06の特色をスポイルしない」「イヤホンチップのファイナルアンサー」としては、点が辛くならざるを得なかった....ザンネン....【仕様】
カラー:Sサイズ- プラチナ
高さ:10.67 mm ± 0.65 mm (0.420" ± 0.025")
最大外径:Sサイズ- 10.67 mm ± 0.50 mm (0.420" ± 0.020")
素材:ポリウレタン, サーモプラスティック エラストマー (all RoHS compliant)
※今回楽天市場は「3ペア」に繋いでいますが、購入は購入店によるバラ(1ペア)販売です
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購入金額
500円
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購入日
2015年05月24日
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購入場所
e☆イヤホン秋葉原店
jive9821さん
2016/11/07
高域過多のイヤフォンでは良さが出るものの、元々がフラットバランスの製品に組み合わせても、単に高域方向が不足するだけという場合がほとんどです。強いていえばTは最も高域の落ち方が激しいので、SやTsであればもう少しマシではないかと思います。
cybercatさん
2016/11/07
フォーム系のイヤーチップは他のイヤホンで良好な成績を収めたこともあって試してみましたが、少なくともKC06には合わなかった。明らかに高域>>中低域のイヤホンで、そういう意味では合いそうな気もしたのですが、密着度向上による中低域を持ち上げる効果よりも材質的な?高域をまろやかにする影響の方が大きく、「美味しいところを削ってしまった」印象です。
「Never Let Me Go」のようにグッと聴きやすくなる曲もあるのですが、万能ではありませんでした。