森高千里はCMタレントから女優、シンガー、シンガーソングライターと階段を登ってきたアーティスト。当初はその恵まれた容姿とスタイルでアイドル的な扱いだったが、「ミーハー」や「ストレス」
といった独特の感性の歌詞で当時同世代のハートをつかみ、1992年には♪私がオバさんになっても/本当に変わらない?/とても心配だわ/あなたが/若い子が好きだから♪と歌う「私がオバさんになっても」のシングルカットで同性の支持も得た。
これはその「私がオバさんになっても」のシングルと同じ年に出された7thオリジナルアルバムで、かなり挑戦してきた作品。4枚目のアルバムからカバー曲以外は全ての曲の作詞をしてきた彼女だが、作曲も1曲、編曲にも手を出し、さらにほとんどの楽器も自ら演奏し、ほとんどの曲は1~2人のバックアップミュージシャンがフォローするのみという入れ込みよう。また今まで歌詞カードにはコスプレ写真を多く使い男性ファンにアピールしてきた彼女だが、相変わらず写真は多いもののそれまでの代名詞のミニスカートはステージショットの2枚だけとなり、あとはモノクロやセピア調に彩度を落としたシックな写真が中心となっている。
今までの「若さで押す」「派手に目をひきつける」という売り方から、中身で勝負しようと「直球で来た」作品。
「頭が痛い」は♪頭が痛いわ/痛い/頭痛いわ♪と不協和音一歩手前...というより先?wwのピアノのワンコードに不気味な音程関係のベースが絡む不条理ソング。途中のプロデューサー瀬戸由紀男自ら弾くぶっちぎれギターソロもサイケ。
「ロックンロール県庁所在地」は彼女の作詞・作編曲でさらに全楽器を自身で演奏する独り舞台。曲としては王道のロックンロールコード進行(I/I/I/I、IV7/IV7/I/I、V7/IV7/I/V7)で、特に目新しさはないんだけれど、歌詞が秀逸!ww県名と県庁所在地が違う場合は♪茨城の水戸に栃木は宇都宮♪とつづけ、同じ場合は♪佐賀に長崎/熊本/宮崎♪と県名を羅列する、というだけの言葉遊びソングなんだけれど、すごく覚えやすく当時の受験生の必聴ソングに?wこのアルバムのヴァージョンでは♪埼玉は浦和♪となっているところが時代を感じる(←現在は「さいたま」に変更)。
「ごきげんな朝」は森高節のラブソング。♪スカートにしようかな/Gパンもいい/ジャケットにしようかな/これとあれとあれと迷うわ♪と初めてのデートに行く気持ちを歌う。終わりが♪じゃあいってきます/遅くなるから/夕食はいらないわ/友達と映画観てくるから♪というのがww
いろんな楽器に挑戦している。ドラムは決して上手くはないけれど、意外なところでシンバル入ったり、むしろ正規のレッスン受けたり、「定型」を知ってからヤルのではない?自由さを感じる。
音楽もちょっとオールディっぽいスタンダードな、あまり奇をてらわない曲(悪く言えばありきたり)が多いけれど、それが彼女の詩の世界と独特のリズム感、カワイイ声を強調していておもしろい。個性派アイドルからアーティストに「一歩」踏み出した作品です。
【収録曲】
1. ペパーランド
2. どっちもどっち
3. 頭が痛い
4. サンライズ
5. ロックンロール県庁所在地
6. 雨の朝
7. 常夏のパラダイス
8. Uターン(我が家)
9. ごきげんな朝
10. ROCK ALARM CLOCK
11. 青い海
「ロックンロール県庁所在地」
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購入金額
2,900円
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購入日
1992年頃
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購入場所
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