カトリックの総本山・バチカンと、その最高指導者たる教皇。
彼らがいかにして、策謀と暴力の渦巻く近現代の荒波を乗り越えてきたか?
宗教的な側面を出来る限り廃した視点から、日本人には馴染みのないバチカンという存在を近現代史から掘り下げた良著。
ナポレオン・ボナパルトによる教皇虜囚や、普仏という欧州二大強国の狭間での生き残り戦略、イタリア統一におけるバチカンの関与と受難など、殆どの日本人が知らないであろう歴史を取り上げつつ、その教皇たちが如何にしてカトリックという教義と、現実との間で決断を下していったか等、
欧州におけるキリスト教・カトリックと政治との関わりや、バチカンがいかなる形で旧態依然とした宗教組織から、国際外交において一定の権威を持つに至ったのか?
「なんでこいつら、今時バチカンみたいな宗教組織に頼るんだろ?」っていう、日本人的な疑問の解消に答える内容となっている。
また、タブー的な扱いと思われている「ナチとの関係」についての歴史にも触れ、実は元々タブーでも何でもなく、これらがタブー化したのは「史実に基づかない」一冊の本がきっかけとなったことなど、カトリック側からは滅多に聞くことが出来ないこれらへの反論は、非常に興味深い。
まぁ、宗教が絡む話は、何であれ怪しい感じがするもので、著者からしてカトリックなので「カトリックの立場から書いてある時点で、その内容についての真実味は疑わしい」と言えなくもない。
ただ、少なくとも著者はバチカンの秘密文書に公式なアクセスを行い、史実か否かを別角度からの資料も用いて検証しており、新興宗教にハマってる狂信者が書くような駄文と比べれば、遙かに冷静であり緻密。
知られざる歴史の一視点として見た場合、かなり興味深い内容だったと思う。
ちなみに、私自身は割と熱狂的なFSM(空飛ぶスパゲッティモンスター教)教徒であり、あらゆる宗教は偉大なる知性であるスパモン様を知らずに拝んでいる下僕としか思ってないので、念のため(苦笑)
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購入金額
903円
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購入日
2013年06月29日
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購入場所
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