実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
ここのところ連続してご紹介しているMarion Zimmer Bradley(マリオン・ジマー・ブラッドリー)の連作、ダーコーヴァ年代記。以前「はるかなる地球帝国」
という地球人の少年とダーコーヴァ貴族の少年が、ふいの襲撃からの逃避行でお互いへの理解を深め大人へ成長していく物語を紹介したが、こちらはその大人版ともいうべきもの(余談だが前述の逃避行のときの少年貴族ケナード・オルトンが地球への親愛のあまり慣習に逆らって地球人の妻をめとり、混血の嫡子ルー・オルトンをもうけ、彼が「シャーラの反乱」を起こし追放されたことはこの年代記終盤の大きなエピソードだし、さらにその後始末の話とも言うべき「オルドーンの剣」
でルーは星を救い、その後永遠に去って行くというふうにこの緩い年代記のあちこちに結び目があるのがおもしろいところ)。
このエピソードは、地球人アンドリュー・カーがダーコーヴァの山岳地帯に飛行機が墜落して遭難しそうになっている場面から始まる。他の乗員・乗客はすべて死に、飛行機は残骸となっている。アンドリューも足を挟まれうめいていた。そこに現れた少女の幻影。少女は彼を勇気付け飛行機から脱出させる。食料品など必要なものを運び出し、最後に身分証などを取りに戻ったアンドリューの前に立ちふさがった少女!足を止めたアンドリューの目の前で飛行機は渓谷に滑り落ちていった。
なんとか避難できる場所を見つけた彼はなぜ異星の厳しい冬に山岳地帯にくるハメになったのか思い出していた。それはオールドタウンで占い師にみせられた水晶に浮かび上がった少女の姿に魅せられて。彼女は彼に援けを求めていた...自分のほうが助けられる境遇だと自嘲する彼の元にまた少女の幻影が現れた。
少女の名はカリスタ。彼女は今閉じ込められているらしい。そして精神を飛ばすことができる彼女は同朋を捜して彷徨ったが、なぜかコンタクトできたのは異邦人であるアンドリューだけだったのだ。「ほんとうにひとりぼっちなの、見知らぬ人でも話し相手がいないよりはいいわ」
見知らぬ不安な世界で寒さと孤独にさらされているアンドリューにはその思いがよくわかった。「もし生きてここから出られたら、一生かけても彼女を捜そう」...
一方、いとこのエレミアからの救援要請を受けて山道を駆けたデーモン・ライドナウは、山で襲撃を受けて命からがらエレミアのいるアーミダにたどり着いた。普段は組織立った襲撃をしないキャットマンの行動に不審をいだくデーモン。そしてエレミアからは、姉であり「監視者」であるカリスタがさらわれたことが告げられる。彼は封じていた超能力=ラランの力を解き放ち上界からカリスタの姿を捜すが、カリスタの痕跡を見つける事ができない。
そんなときアーミダにアンドリューがたどり着く。彼から話を聞いて、最初は半信半疑ながらその詳細な描写からカリスタがアンドリューとだけ交信できることを確信するデーモン。アンドリューの力を借りて、カリスタとエレミアの父、優れた剣士で当主のドム・エステバンとともにカリスタを探そうと考えていたデーモンだったが、デーモンと同じく襲撃を受けたエステバン卿の帰宅は、部下を護るべく闘い、二度と立てなくなった状態の卿との対面という結果になる。
剣士である自分より劣る腕のデーモンと異邦人であるアンドリューに依存したカリスタの探索に賛成できない卿も、ベッドから起きられない自分はいかんともしがたい。結局彼の剣とデーモンと自己のラランの力を利用して、剣士である自分がいざというときはデーモンの体を通して剣を振るうことでその救出の旅を許可するエステバン。
ー方カリスタと交感出来るというだけでなんの訓練も受けていないアンドリューはデーモンにラランの使い方の手ほどきを受ける。カリスタのスターストーンを使ってデーモン、エレミアと深い交感に入るアンドリュー、そこで経験した魂の交流でアンドリューはデーモンたちに親愛の情を覚えてゆく。
はたして、女ならば監視者にもなれたというほどつよいラランを持つデーモンと、寝床から起き上がることもできない「剣士」エステバン、カリスタと精神界で接触し、デーモンたち救出部隊を導くアンドリューという不思議なパーティはキャットマンの巣窟にむかう。
デーモンはアンドリューの案内とエステバンの剣技で襲いくるキャットマンを斃し敵の中枢に達し、最後の敵に囲まれていたが、そのときエステバンとの交感が切れてしまう!先行していたアンドリューは精神体で案内していたが悪しきものがカリスタの肉体に迫ったことを感じる。
エステバンの技量がなければ平凡な腕前であるデーモンの運命は?肉体を持たないアンドリューは、目前のカリスタに襲い掛かる敵から彼女を救うことができるのか?
地球人とダーコーヴァ人の新たな関係、2つの種族の相似性、ラランを強化するスターストーン...その後の物語にとって、色々なキーワードがかたられるエピソード。そしてデーモンとエレミア、アンドリューとカリスタという2つの愛のかたちの物語でもある。2つの異民族をつなぐ架け橋も、無関係だった少女を救おうという行動も、考え方のちがう舅との和解もすべて根っこは「愛」だというお話です。
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購入金額
430円
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購入日
1987年頃
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購入場所
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