実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
ここのところ連続してご紹介しているMarion Zimmer Bradley(マリオン・ジマー・ブラッドリー)の連作、ダーコーヴァ年代記。ただこれはダーコーヴァとは直接関係がない。日本での刊行時は「外伝」として紹介されたが、海外での扱いはダーコーヴァ研究家の中に「関連作品に含めることもある」という程度の弱いつながり。ダーコーヴァらしいのは、単語として「オルドーン」というようなダーコーヴァ年代記と同じことばが出てくることと、もう一つの外伝と共通する「トイ・メーカー(おもちゃづくり)」という立場のキャラクターが出てくることなどくらいで、「シエラ山脈」とか「ベートーヴェン」とか「チベットのラマ僧」とか言った単語が出てくるように舞台(の少なくとも一方)は地球。
現代(というか刊行は1964年なので、既に約半世紀前だが)に暮らす無線技術者マイク・ケンスコット。彼は、不思議な幻影に悩まされていた。研究所で事故に巻き込まれてからポルターガイストのような現象が彼のまわりだけ起きたり、彼が触るとラジオ(ラジオの呼び方もハリクラフター(Hallicrafters)と戦前から大戦中を中心に隆盛を極めたメーカー名)がノイズで聞き取れなくなったりしていた。電気のスイッチに手を触れたとたん、異世界に飛ばされた彼。そこは遠い未来なのか?
二つの太陽がある世界-ナラベドラ。彼はそこにいた。正確に言うと彼の精神は。エイドリックというナラベドラの君主の一人の体に閉じ込められたマイクの精神。異世界に突然放り出された彼は、手探りながらも敵味方、思惑入り乱れる中、テレパスらしい「ドリーマー」やトイ(おもちゃ)で他者の精神をあやつる「トイ・メーカー」に囲まれながら、他者に自分が君主ではないことを気取られないようにその世界の情報を周りの人間から得る。
どうやらエイドリックは“黄金の魔女”カラミーの不興をかって「時の楕円」に送り出されたようなのだ。邪悪に美しいカラミー、今まで自分たちが利用していたドリーマーが自由になって自分たちの権力が脅かされようとしているのをエイドリックの力を利用して阻止しようとしている。
ときどき自分の中にわき起こるエイドリックの記憶と支配に翻弄されながらも、人が人の精神を支配するこの世界に疑問を持つマイク。元エイドリックのドリーマー、ナラヤンの妹シナラと知り合い、彼女だけがこの世界で「実在の」人間だと感じたマイクは彼女と行動を共にするが...
マイクはこの狂った世界を変えられるのか?エイドリックの体に宿った自分の立場は?そして彼は元の世界に帰ることができるのか?
たしかにダーコーヴァとは設定も登場人物もかけ離れている。ただ「自分の場所を見つける」というモチーフは「炎の神シャーラ」
や「宿命の赤き太陽」
などダーコーヴァ年代記では繰り返し出てくるモチーフであり、その部分の「肌触り」はとても「近い」。ダーコーヴァへの旅とは自分探しの旅、なのかもしれません。
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購入金額
340円
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購入日
1987年頃
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購入場所
いぐなっちさん
2013/02/20
と間違えた・・・(´・ω・`)
cybercatさん
2013/02/20