実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
ここのところ連続してご紹介しているMarion Zimmer Bradley(マリオン・ジマー・ブラッドリー)の連作、ダーコーヴァ年代記。時系列としては「はるかなる地球帝国」
の直後。地球人が徐々にダーコーヴァに浸透していく時代の話。でも「はるかなる地球帝国」との直接のつながりは薄い。話としては完全に独立している。人生の妙。まったくその土地ともそこの人たちとも関連がなかった人物が、さまざまな要因で人生のレーンを乗り換える。そんな出来事を表した異色の物語。
宇宙港の発着管制官ダン・バロンは燃えるような赤い太陽の照らす土地の幻覚が原因で大事故を引き起こしそうになる。あやうく大惨事にはならなかったが、今まで管制官として築いたキャリアのすべてを失い、中世程度の技術レベル程度にとどまるダーコーヴァでレンズ磨きを教えるという閑職にまわされる。
彼を招聘したのはオルトン家、案内についたのはレリスことラリー・モントレー、すなわち「はるかなる地球帝国」で少年貴族ケナード・オルトンとともに大冒険の末、人外魔境を踏破した地球人の少年。彼は今、オルトン家の養子になっているのだ。
ダンを領地に案内する間にラリーは山の炉の民の禁じられた神、炎の女神シャーラの幻影をダンとともに見ることになる。ダーコーヴァで寄る辺もなく、しかし精神感応力を獲得しつつあるダンに、その状況がよくわかるラリーは友となることを申し出る。
領地についたラリーは、「カーソン」という場所に行かねぱならないという脅迫観念にとりつかれる。ついに、オルトン卿の馬を盗み出してまでそれを実行する。
そのときを遡ること幾日か。山岳地域の地方貴族ストーン家は山賊ブライナット・スカーフェイスの攻撃でその城を落とされた。幼い領主エドリックは負傷して捕えられ、妹のメリッタは幽閉され、姉のアリラは無理矢理ブライナットの妻とされた。ストーン家の精神的支柱、盲目の長男ローランはブライナットも届かないフィールドの向こうで昏睡を続けていた。囚われのメリッタはローランのテレパスによる指示を受け、命がけで脱出し、カーソンに向かう。
果たしてそこにはダンに憑依したローランが待っていた。テレパスを持つものが他人を乗っ取るのは最大の禁忌。兄の犯した罪におびえながら兄弟と領民を解放するため旅を続けるメリッタ。当初縁がある7大貴族のひとつ、アルダランを頼るが、私怨、報復を基礎とするダーコーヴァ式でなく、地球軍による警備をいちはやくとり入れた「裏切り者」のアルダラン家には、ストーン家に貸せる私設の軍備はなかった。しかしラランが血の賜物ではなく、技術であると考えるアルダランによって訓練されたデシデリアからシャーラを信仰する山の民のパワーをたばねてストーン域の城壁を破る提案を受けて、彼女を伴い山の民の力を頼る旅に出ることにしたローランたち。しかしその旅の直前、ローランの憑依が解けてしまった!!
自分を取り戻すダン、そこで彼がした選択は?はたしてストーン城は解放されるのか?禁忌を犯したローランへの処分は?これは愛の物語。兄弟愛、男女の愛、領民への愛。そして自分捜しの物語でもある。ひとの居場所というものは力でなく愛で勝ち取るものである。
そんな当たり前で、でも忘れがちになることを思い出させてくれる物語です。
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購入金額
360円
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購入日
1987年頃
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購入場所
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