実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
Marion Zimmer Bradley(マリオン・ジマー・ブラッドリー)の手になる連作
ダーコーヴァ年代記、まだ続きます。
和訳第3作めはダーコーヴァ生まれの地球市民、ジェフ・カーウィンの視点で語られる。彼はダーコーヴァの<スペースマンの孤児院>で育った記憶があり、自分の出自がわからないかと、志願してこの星に戻ってきた。手がかりはその孤児院と子どものころから首からかけていた青い水晶の入ったペンダント。酒場でそれが思念を強化する「マトリクス水晶」である事を聞かされ、それを使って目の前でグラスが溶ける幻影を見せられる。
そこを辞し、孤児院に向かう彼の赤毛を見て囁かれる「コミン」という言葉に訝しがりながらも到着した彼を待っていたのは、その孤児院にいたことがない、と告げる記録だった。本部に戻って現地で生まれた地球市民の記録を調べたジェフは、それが極秘ファイルに含まれることを知る。自分はいったいなにものなんだ?
ただひとつの手がかり水晶のペンダントを、水晶を使う占い師に見てもらうことにしたジェフは女占い師にこう言われる。「あんたは幸福を求めてやってきた。だけど、べつのものを手に入れることになるだろう ― 望むものは見つかるが、あんたはそれを破壊し、そして、それを救うことになるだろう・・・」
そのあと水晶の中に浮かび上がった幻影に引き込まれたあと、子供のあげる悲鳴を聞いて現実に引き戻された彼は、目の前で占い師が息絶えているのを発見する。
これをトラブルと見た本部は彼を転属させようとするが、彼は水晶に浮かび上がった少女に導かれ、赤毛のダーコーヴァ人の集まりにたどり着く。そこで彼は、彼がコミンと呼ばれる「ララン=超能力」が使えるダーコーヴァの支配階級のひとりと地球人の間にできた子供であることを聞かされる。もう一人同じ孤児院で育ったオースターに地球側のスパイではないかと疑いをかけられながらも、コミンとしての訓練をはじめたジェフ、彼がその能力を使うのを強いられるのは、意外と早かった。
ダーコーヴァ人の中にも地球の技術を積極的にとり入れて地球帝国の中での立場をかためよう、とする勢力もある。彼らは地球の技術を使って希少鉱物の鉱床を探し出そうとしていた。これはかつてはコミンの環(サークル)が超能力を使って探していた。しかし今はサークルを維持するだけのラランを持つコミンがいない。地球のような「技術の下僕」ではないダーコーヴァ式の道を護りたいコミンたちの要請で、ジェフは訓練なかばでサークルに参加することになる。
そこで得たサークル参加メンバーとのテレパスによる魂の交流!しかしジェフはそのうちメンバーのひとりエロリーを愛するようになる。愛するものを独占したい地球人風の愛し方。魂の交流で「裸」が見えるので独占という考え方が薄いコミンたちの愛。異なる愛に戸惑いながらエロリーはジェフを受け入れるが、それはサークルにとってはその結合を維持する<監視者>と呼ばれる「かなめ」を失うのと同義でもあった。
オースターから、裏切り者、地球側のスパイとののしられ、自分の欠落した少年期の記憶と記録から知らない間にスパイにしたてられたかと、自分が信じられないジェフ。
そんな時、ダーコーヴァの伝統を守ろうとエロリーの代わりに未熟な監視者でサークルによる鉱床探しを再開するコミンたち。地球人に見張られているとも知らないで...ジェフの出生の秘密は?地球人への内通者は誰なのか?エロリーは壊れかけたサークルを維持できるのか?
人生の岐路で自分が選んだわけでもない選択肢で、その後の運命が変わる人々。それでも人は目の前にある選択肢から、よりよいと思うほうを選び取っていく。良かれと思ってした選択が果たして正しかったのか...過ぎてみないと判断はできない。
深い、物語です。
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購入金額
400円
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購入日
1986年頃
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購入場所
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