所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。洋楽の薫りを邦楽（という呼び方も死語ですが）に持ち込んだアーティストの若き日のアルバムをご紹介します。

山下達郎。夫婦で一線級のアーティスト（妻君は竹内まりや）。以前ご紹介した“RIDE ON TIME”

のあたりで一般には知られるようになったが、ツウの間ではすでにデビュー時点で注目されていた。洋楽、とくにアメリカンポップスをきちんと消化した、バタくさい作風は他のあまたある「フォークソング」とは明らかに異なっていた。

本作はそんな彼の2nd。1stの鮮烈さはそのままに、実力派ミュージシャンのサポートを得て、彼の音世界がさらに広がった作品。支えたのは、ドラムス村上“PONTA”秀一、ベース細野晴臣、キーボード佐藤博・坂本龍一、ギター大村憲司などそうそうたるメンツ。稀代のプロデュース／アレンジ能力を持つ山下の感性と、それをより底上げして実現する凄腕ミュージシャンたち（聞くところによると山下の完璧なスコア譜を、さらにアレンジしてフィードバックするような状態だったらしい）ががっぷり噛み合ったアルバム。今でも山下の初期最高傑作にあげる人も多いアルバムだ。

「LOVE SPACE」は、PONTAのタム回しがメロディアスなリズムパターンとなっているようなドラムパターンではじまり、それへのオマージュのようなパターンで細野のベースが引き継ぐ（ホントは逆なんだろうけど）。伸びのある山下の声が入るが、歌も詩がある部分が少なく♪ラララ♪のところが多い。エンディングの岡崎資夫のなが～いサックスソロもあり、歌ものと言うよりインスト曲のようなイメージもある。

「CANDY」。オルゴールの音から入る名曲。ブルージーなバラードで、パキンとした山下のギターもいいなぁ。あとこの曲はオルガン！！COOOOL！

「アンブレラ」。山下達郎というとポップでアメリカンな曲が思い浮かぶが、こんな叙情的な曲もある。淡々と続くピアノのコードとベース、スネアをなかなか叩かないドラムというリズムに乗せて詩の朗読をしているようなAメロ、雷鳴の音でテンポアップし、COOLなオルガンソロ、ストリングスもピチカートを使いながら荘厳に。ポップな山下しか識らないと、意外に思うかも。

といっても、cybercatの山下との出会いは、前述の“RIDE ON TIME”のEP盤のため、こいつは遡り巡り会ったもの。

ジャケット裏の「RCA」マークがレトロ！！

 

1977年、つまり今より35年前に、このアルバムがなせたのが、山下の才能だね。

【収録曲】
1. LOVE SPACE
2. 翼に乗せて
3. 素敵な午後は
4. CANDY
5. DANCER
6. アンブレラ
7. 言えなかった言葉を
8. 朝の様な夕暮れ
9. きぬずれ
10. SOLID SLIDER

「LOVE SPACE」