矢野顕子。一言で言い表すのは難しい。一面はYMOのサポートメンバー...ヒットCF曲「春咲小紅」の作者兼歌手...二人のハーモニーでは宮沢和史とのコラボ...ピアニストとしての確かなウデ、かわいらしい歌声、独特の世界観の歌詞...若いのかオトナなのか、幼いのか老成しているのか??
ジャンル的にもポップなのか、テクノなのか、クラシックなのか、サイケなのか、フュージョンなのか、ニューエイジか、分類不能、詳細不明。
これはそんなとらえどころが無い彼女が20周年記念盤として今から15年前にw出したベスト。
まさに“very best”。彼女の曲が20年の歴史が、ぎゅっと詰め込まれている。「春咲小紅」の様なCFソングから、その奇抜なタイトルだけが一人歩きしているような「ラーメンたべたい」...彼女を識るにはとても適している。そしていくつかの曲は再録。このアルバムのバージョンが良いモノもいくつか。
「ひとつだけ」。アルバムタイトル曲でもあるこの曲は再録。名盤「ごはんができたよ」に初出だが、今回のがイイ!!最初現代音楽のような、風変わりなコード展開ではじまり、矢野の不思議ちゃんな声が被さる。Chris Parkerのスネアが入るあたりで、グイグイリズムが引っ張っていく。4つ打ちのハイハットの8ビートに乗せて、ミュートと長音の対比で曲に躍動感を出しているのはベースの名手Will Lee!音符の長さのコントロールが絶妙で「音が始まる位置」ではなく、「終わる位置」でグルーヴィなリズムを作り出している。Willのわずか15分!で仕上げたという(ライナーノーツから)絶妙なベースは必聴。後半は「キーボーディスト矢野顕子」の力強いタッチのピアノが堪能できる。曲の盛り上がりとともに、左手が唸る!!
「在広東少年」。不協和音一歩手前の不思議な調和を見せるディストーションギターとピアノ。ボーカルはヘタウマな魅力。YMOの残滓が見える。キーボードが坂本龍一で、ドラムスが高橋幸宏なんで当然か。
「二人のハーモニー」はTHE BOOM
の宮沢和史とのコラボ。パーカッションが近く、バックビートに長めに入るベースがスルドのようでラテンっぽい。宮沢の深い声と、矢野のフシギカワイイ声が溶け合うハーモニー。宮沢ってホントに上手いな。もう既にこの絢爛豪華なベストから15年がたち、今でも活動している彼女には、実娘の坂本美雨とのコラボ「くまんばちがとんできた」や「モスラ」のサントラなどさらに名曲を積み重ねているけれど、これは多感な彼女の前半生の燦めきと息吹が詰め込まれた、万華鏡のようなアルバムです。
【収録曲】
1. ひとつだけ
2. 気球にのって
3. 電話線
4. 在広東少年
5. 春咲小紅
6. どんなときも どんなときも どんなときも
7. ラーメンたべたい
8. David
9. 自転車でおいで
10. ウォッチング・ユー
11. いいこ いいこ(グッド・ガール)
12. Super Folk Song
13. 中央線
14. すばらしい日々
15. 夢のヒヨコ(DREAMING CHICK)
16. 二人のハーモニー
17. New Song
・「ひとつだけ」(本アルバムのヴァージョンww)
-
購入金額
3,000円
-
購入日
1996年頃
-
購入場所
北のラブリエさん
2013/07/03
天才としか言いようが無い。
もう大好き!
しかしこのアルバム買ってなかったんですw
ベストだからいいかなと。
でもこの「ひとつだけ」のためだけでも価値はありますね。
探してきます。
cybercatさん
2013/07/03
これはWillの躍動感あふれるベースに尽きますね。
音を止める位置の残りの空間で語る、みたいな。
>探してきます
そう言っていただけると、独りよがりのレビュー書いてる甲斐があります。
しかしこのレビュー、今日投稿予定のレビュー関連で、再読したところ誤字を見つけたので直してトップに浮かび上がりました。
なんと言う偶然。ある意味ラブリエさんって強運?www
北のラブリエさん
2013/07/03
強運というべきでしょう!
cybercatさんのレビューは専門的なこともわかりやすく、愛情あふれたものなのでいつも楽しみにしてるのですb
cybercatさん
2013/07/03
それを捕まえるのも運のうちですね。
>いつも楽しみにしてるのですb
そう言っていただけると励みになります!