所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。歌手としてデビューしながら、女優やバラエティタレント、司会者などに転身してしまう人がいる。そんな今は歌わない人が遺した傑作をご紹介します。

秋本奈緒美、元ジャズ歌手？ｗ一般的には「オールナイトフジ」の美人司会としての方が有名か。現在は歌は辞め、女優業がメイン。

もともと歌手としてデビューしたのが、阿川泰子ら美人ジャスシンガーがもてはやされた時期。音程など基本的歌唱力はあったので、10代のアイドルジャズシンガーとしてデビューした。ただジャズを崩して日本語詞をつけた曲調は、ジャズというには「う～ん」で、その後ポップ路線に路線変更する。

本作は彼女の5作目にしてその最高到達点。

装丁もCOOL

関わったメンツがスゴイ。キーボードで笹路正徳、エレピで村松健

シンセサイザーで福山雅治の作品

やMISIAのツアーのバンマスで有名な重実徹、ギターで鳥山雄司

にB'zの松本 孝弘、NAZCA

の土方隆行（NAZCAのベーシスト坂井紀雄はコーラスで参加）、サックスは土岐英史

ドラムスはTHE-SQUAREの長谷部徹．．．．．などなど。プロデュース側としては相当に力が入った作品であったことが判る。

もともとこういった路線の方が合っていたんだろう、彼女の歌も弾んでる！

「TONITE」。未来的なイメージのある音色、音場処理がされている。既に四半世紀（！）経っているにもかかわらず、やはり「未来的」イメージが感じられるのは面白い。8ッ打ちで延々と刻むシンセベースの硬いリズムに乗せて、彼女の確かな音程・リズムのヴォーカルがはじける。エンディングに絡むサックスも奔っている。

「LION IN MY POCKET」は打ち込みのドラム、というより「リズムマシン」という感じのパターンドラムにスラップを模したベースシーケンスが続く。その上でCOOLに彼女が歌う。間奏のギターのみが唯一熱さを感じる、そんな曲。

「AMAZON」。参加ミュージシャンがアルバムクレジット（曲ごとの記載がない）なので確定ではないが音作りが笹路の作品

に通じる感じの幻想的な音場処理。リズムマシンとシーケンスベースラインにのせてふわふわとした音場処理のキーボードが包む。ちょっとレイジーな彼女の声が絡む。

この後彼女はベストを含む2枚のアルバムを出すが、最後の作品のプロデューサーと結婚し歌手としての活動を停止。「10代アイドルジャズシンガー」という企画モノとして登場した彼女が自分の場所を確立したところでもあったため、とても残念。今でも女優業はつづけている彼女、歌手としてつづけていたらどうなっていたのだろう、とそんなことを考えてしまうね。

【収録曲】
1. TONITE
2. MISING YOU
3. THE WAY YOU LOVE ME
4. MY LOVE CAN ONLY GROW
5. LAKE DIMENSION
6. TRICKY
7. LION IN MY POCKET
8. TELEPATHY
9. AUTO CHANGER(SHUT OFF)
10. AMAZON

「LION IN MY POCKET」