実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
小説家谷甲州のSF連作“航空宇宙軍史”シリーズ番外編。
といってもこれは前回の「惑星CB-8越冬隊」
と同じく、設定を流用しているだけで、本筋とはまったく関係がない。CB-8が汎銀河連合と航空宇宙軍の戦いで航空宇宙軍が敗れた後の遙か未来の話とすると、本作はまだ地球と言う惑星に航空宇宙軍の本拠があった時代の話。
で出てきた「作業体K」と同じくサイボーグの話。ただKが複数の人間から作られた合成人間を示唆しているのとは異なり、タイプV戦闘員こと「ヴォルテ」は遺伝子工学によって作られたサイボーグ亜人種。プロトタイプであるヴォルテは性能試験を行われ、結果良好であればクローニングされて外惑星の戦線に送られる。その性能試験とは厳寒の冬山で包囲する軍隊を突破すると言うこと。なんのために戦うのか、なぜ逃げているのかそれも判らず、逃げる。記憶はなく、でも教官であり上官である後藤大尉に対する絶対的な服従のみが強く暗示で埋め込まれている。追跡を振り切り逃げたヴォルテを追う後藤大尉はヴァイズと呼ばれるテレパスの女性を通じてコンタクトを取っていた。しかしヴァィズは、特異な能力を発見されたことで軍に徴用され薬漬けにより植物人間化された自分には手に入らない「自由」を渇望していた。衰弱していたヴォルテにコンタクトをとり、後藤大尉からの独立を説いた。そこからヴォルテの孤独な逃避行が始まった。
ヴォルテの性能が良いことは判ったのでクローニングの種として死体さえ手に入れれば良いと追ってくる後藤大尉。薬漬けの状態ながらヴォルテを造ったレオノフ博士を絞め殺し自身も殺されたヴァイズから造られた心のないクローン、ヴァイズⅡ。さらに次々送り込まれる追跡者(ハンター)...
6話に分かれたエピソードは、それでもなんの解決も見せないまま逃げつづけるヴォルデのことを語る。現在続編が書かれている気配はないが、彼に安楽が訪れることはあるのだろうか...造られた命、自分と同じ顔をした兵士が戦い続ける夢を見る男。彼に安らぎが訪れんことを...
長くご紹介してきた“航空宇宙軍史”シリーズもついにおおラス。次はまったく違った系統をご紹介しますw
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購入金額
680円
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購入日
2000年頃
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購入場所
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