録音年確認してみましたが、おそらく本録音は58年だと思います。レコードNo.がBLK16108となっており、その後のカンタータより番号が古い事。幻想曲のレコードNo.はDAS ALTE WERKシリーズの(S)AWD9915でパルティータ(S)AWD9913,4より若い事。(パルティータは60年録音）その他、各種ネット情報、野中裕氏の書籍（カール・リヒター論）でも58年となっています。ちなみに幻想曲の録音年は60年5月23日との情報があります。
リヒターはオットーボイレンで複数回演奏しているようですので、調べてみると面白いかもしれません。ちなみにUNITELの演奏は69年録音で、たまたま一昨日iPodに取り込んだのですが、本録音とは異なる別の2種類のオルガンが使われています。マリア・オルガンは最も新しく、57年に建造された近代オルガンのようです。建造の記念として録音されたのでは無いでしょうか？
リヒター・ディスコグラフィー関係情報をロ短調ミサの下部コメントに記載していますので、見てみてください。

よく研究していますね．．．。当方がもうひとつ言いたかったことは、オットーボイレンの録音がもしかしたら２種類あるのではないか、ということです。今となっては確認のしようがないのですが、ノルデンのＤＡＳ　ＡＬＴＥ　ＷＥＲＫ盤を学生の頃、中古の国内盤で入手し、その版権表示が○５８となっていた記憶があること（君の弟さんが持っていた２枚組のリヒター・オルガンデラックスの１枚もそうだったのでは？）、リヒター没年（忘れもしない大学入学のときです）に発売されたテレフンケンのリヒター追悼盤にオットーボイレンの録音があり、その版権表示が○７１になっていたか、１９７０年ごろ録音という表示があったのを見た記憶がある、という２点が気になっています。ＣＤになっているオットーボイレンの録音が１９５８年にしてはやけにみずみずしいのも気がかりです。録音時間からしてコストパフォーマンスが悪かったことと、大学時代にしばらくリヒターの録音から遠ざかっていたこともあり、最後までＬＰは買わずにいたのが間違いだったかもしれません。書いているうちにすごく気になってきました．．．。

追伸：もう少し調べたので書き込みします。１９８２年のレコード芸術誌別冊の推薦盤全記録によると、ノルデンの録音の日本初出は１９６３年、オットーボイレンの録音は同じく１９６９年です。テレフンケンの「リヒターの芸術」シリーズにある２枚組のＣＤは、オットーボイレンの○Ｐマークが１９５８、ノルデンが１９７０となっており、後者の版権発生の時期が日本初出と合いません。私が見た国内ＬＰの表示が、先のコメントにあるとおり、オットーボイレンが１９７０か１９７１だったのは間違いないように思います。オットーボイレンの録音を長いあいだ１９７０年ごろと思い込んでいた理由はここにあります。それにしても、１９５８年録音が正解だとすると、日本では１１年もたってから発売されたことになりますが、私にはどうしてもそうは思えません。なお、野中さんの著書は私も購入し、ディスコグラフィーも重宝していますが、ノルデンの録音が６０年というのも少し納得がいきません（５０年代末期という認識でしたが）。ちなみに、ＢＷＶ７９の録音年も野中さんの著書では１９６０年となっていますが、これは１９５５年ではないかと思っています（テレフンケンのリヒター追悼盤でそうなっています）。

独DECCAによるリヒターの録音年、発売年については中々わからない事が多く、また様々な情報もあって混乱しますが、またそれが逆に想像を膨らます事となりパズルを解くような感じで結構楽しんでいます。これは一つ膝を付き合わせて語り合う必要がありそうですね。
実はチョット気になっている事があります。ここで紹介しているオットーボイレンのレコードはMONOなのですが、いつSTEREOが出たのか、また、そのオリジナルがどれなのかがよく解らないのです。ヒョットするとこの上のコメントのレコードがSTEREO初出かもしれません。（レコードラベル等の写真がありましたので添付します。P1958の表示）そして本当にSTEREO録音なのかもよく解りません。ノルデンのレコードもMONOとＳＴＥＲＥＯが存在するようですが、ネット上で見た再販版の解説の写真にE-STEREOの記載があったのを見たことがあり（これも正しいかどうか不明）録音がSTEREOなのか、例の擬似STEREOか怪しいところです。謎は深まるばかり。