実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
さらに引き続き小説家谷甲州のSF連作“航空宇宙軍史”シリーズ。
これは完全な短編集。時系列的には「航空宇宙軍」と「外惑星連合」の開戦時点のあたりの話。
表題作の「火星鉄道一九」。標高二万五千メートルという途方もない巨峰である火星のオリンポス山のカルデラ部にある宇宙港から伸びる射出・着陸するための軌条、通称「オリンピア鉄道」は貨物打ち上げには加速度が低すぎ、旅客用には加速度がきつすぎるという中途半端な初期の設備。ただ火星に豊富にある氷は、いざ戦争となれば水素と酸素の重要な供給源になる。ここを「外惑星連合」が開戦時に攻撃しようとする。これを阻止するために通常の逆方向に射出され爆弾の進路をそらす男の話。この男は軌道上から宙港への輸送船の操縦士だが、オリンポス山を軌道上から見たいという希望を持っていた。爆弾の進路をそらせるのに成功した男がよこした通信はオリンポス山を間近に見られた喜びの声だった。
「ドン亀野郎ども」。外惑星から射出される重水素タンカー。それを水星軌道上でキャッチする作業を行う男。パニック症のケがあると自分を卑下し、「欠陥兵の俺には似合いか」と自嘲する。それを「必要なのは自信を持つことと場数をふむことだ」と諭す父親ほど年の離れた先任士官。ミスで漂流した自分を救助に来たその先任士官の事故に大胆な推理と行動で対応し、成長していく兵士の物語。
「土砂降り戦隊」。外惑星連合ただ一隻の虎の子のフリゲート艦が小惑星帯に潜み輸送船団を撃破する。輸送団から離れ推力が上がらない輸送船を護衛して別行動を取っていた特設砲艦レニー・ルーク。その戦いのあと、痕跡を消して闇に潜んだ敵フリゲート艦の至近に刻々と近づいていく。加速度では勝負にならない。敵の位置がつかめるのか。その方法を考案し、追跡に入る特設砲艦の活躍を描く。
いずれも短編のため、話のはこびそのものは若干尻切れトンボ感がある。「火星鉄道一九」で軌道修正させた爆弾はどうなった?「土砂降り戦隊」の追跡は成功したのか?などなど。
しかしこれら作品の面白いところは、“航空宇宙軍史”という構築された架空史の上できちんと計算されたSFが展開されるところ。「ドン亀野郎ども」のタンカー射出の経路。「土砂降り戦隊」では敵フリゲート艦とレニー・ルーク、輸送艦G-19の相対距離が綿密に計算されている。これらの考察には地図を書いて電卓で計算したwのだそうだ。そのうち「表計算」ソフトなどという便利なモノができた、と本人が後書きに記している。
緻密な計算に裏打ちされているので、リアリティがある。その構築された世界はホンモノだと感じられる。
そういう肌触りの小説、です。
【収録作品】
・火星鉄道一九(マーシャン・レイルロード)
・ドン亀野郎ども(タートル・ギャング)
・水星遊撃隊(マーキュリー・スカウト)
・小惑星急行(アステロイド・エクスプレス)
・タイタン航空隊(フライング・タイタンズ)
・土砂降り戦隊(cats'n dogs fighters)
・ソクラテスの孤独(ロンリー・ソクラテス)
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購入金額
470円
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購入日
1988年頃
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購入場所
makibisiさん
2011/09/01
そういえば、先日ダイヤモンドでできた星があったとか記事ありましたね。^^
宇宙はロマンですねー。
cybercatさん
2011/09/01
>SFものはいいですねー。w
想像力・創造力が膨らみますね。
自分がいるところからの脱却というか。
kazさん
2011/09/03
3大SF作家(アシモフ、クラーク、ハインライン)の作品を読んで、見事にはまりました。
ほんと面白いですよね。(^^)
cybercatさん
2011/09/03
>私もSFものは大好きで、乱読してるクチですね。(笑)
kazさんとは趣味が良く重なりますねぇ..w
3大SF作家のものも当然あります。
それは後ほど...
kazさん
2011/09/03
ほんとですね、笑っちゃうくらい似てます。(^^)