このレビューは「intel Core i7 2700K速攻レビュー」のレビューとなります。
圧倒的なパフォーマンスを持つ、モンスター級とも言うべきLGA2011プラットフォームのSandy Bridge-Eが登場したことで、LGA1366で足踏みしていたハイエンドクラスの性能が一気に底上げされました。
今まではハイエンドとメインストリームが性能で逆転するということもあり、コアあたりの性能が突出している2600Kに人気が集中している感がありましたが、Sandy Bridge-Eの登場でハイエンドとの棲み分けが明確になりました。
メインストリームであるLGA1155プラットフォームも、長年ハイエンドをCore i7 2600Kが担ってきましたが、約10カ月ぶりに最上位であるCore i7 2700Kがリリースされました。
Core i7 2700Kは4コア8スレッド、HD3000搭載という点では2600Kとまったく同一ですが、クロックが+100MHzの3.5GHz、TurboBoost時の最大クロックも+100MHzの3.9GHzと少しだけ強化されています。
■パッケージおよび付属品
パッケージは今までのCore i7シリーズと同様のパッケージです。
Core i7 2600Kと比べても差はありません。
付属品もマニュアルとCPU、リテールクーラーとこれも従来通りです。
■Core i7 2700Kスペック
スペックは下記の通りとなります。
定格クロック:3.5GHz
TurboBoost時最大クロック:3.9GHz
GPU:HD3000
GPUクロック:850MHz
GPU最大クロック:1350MHz
キャッシュ:256KB×4 L2 / 8MB L3
ソケット:LGA1155
プロセス:32nm
定格クロックとTuroBoost時最大クロックとも2600Kから+100MHzされている以外はすべて同じスペックとなります。
届いたCPUのロットは3132B800でした。
2600Kは最初がLなどで始まりましたが、頭が数字で始まっています。
■常用空冷5GHzへ挑戦
今回の2700K速攻レビューの大きな目的のひとつが、常用5GHzを達成できるか?というチャレンジです。
現在2600Kを使用していますが、これがハズレ個体ということもあり、4.8GHzの壁を突破出来ません。
マザーボードをGIGABYTEのGA-Z68XP-UD4に変更し、5GHzで起動するところまでは確認出来ましたが安定動作は望めず、4.8GHzまたは4.7GHzが常用するのが限度となってしまっていました。
そこで、最新の最上位CPUを使って、5GHzで常用可能かチャレンジしてみることにします。
目的は下記の通りです。
・動作クロック5GHz
・常用するに問題の無いCPU温度
・OCCT 1時間完走をもって安定動作と判断
今回使用したハードウェアは、下記の通りとなります。
CPU:intel Core i7 2700k(定格)
マザー:asus P8Z68-V PRO/GEN3
メモリ:G. SKILL F3-16000CL9D-4GBRH(DDR3-2000)
ビデオ:RADEON HD 4850 1GB DDR3
■あっさりと5GHzで起動!
オーバークロックの設定方法として、まずは許容範囲内上限の電圧で5GHzにチャレンジし、その後安定動作する範囲内まで電圧を下げて調整するという方法を採りました。
CPU電圧を1.45Vに設定、Load-line CalibrationをUltra Highにして倍率を50倍に設定して起動してみたところ、なんら問題無くあっさりとWindowsが起動しました。
OCCTによるCPU負荷テストを実施したところ、エラーで落ちることもありませんでした。
手持ちの2600Kではこのクロックでの安定動作は無理でしたので、私の持っている個体については、2700Kの方が耐性が高いといえます。
ただし、CPU電圧1.45VではCPUクーラーのCoolIT ECO A.L.C.の冷却が間に合わず、80℃弱までCPU温度が上昇してしまっています。
そこで安定動作する状況を確認しつつ電圧を下げていったところ、
CPU電圧:1.425V
Load-line Calibration:Ultra High
CPU Current Capability:110%
DIGI+ VRM Frequency:AUTO
DIGI+ VRM Phase Control:Extreme
で安定動作することを確認しました。
電圧を少しずつ変更しながら動作確認を行う際に、P8Z68-V PRO/GEN3のTPUがとても便利でした。
毎回再起動する必要がなく、その場で電圧やLoad-line Calibrationなどの値を変更することが可能なため、OC時の確認がとても楽になります。
設定変更のたびに毎回再起動することを考えると、この機能はとてもありがたいです。
上限を調べてみましたが、5.2GHzでOSの起動とCPU-Zのスクリーンショットを撮ることができましたが、全コアに負荷をかけると落ちてしまいました。
もう少し電圧を盛らないと安定動作しなさそうです。
■5GHz時のベンチマーク
Cinebench 11.5で定格動作時と5GHz時のベンチマークを測定してみました。
3.5GHz設定では7.50ptsでしたが、5GHzではなんと9.68ptsとスコアは一気に30%増しの圧倒的なスコアになりました。
■Intel Media SDKによるエンコードテスト
TMPGEnc Authoring Works 5を利用して、Intel Media SDKによるエンコードテストを実施しました。
テストに用いたのは15分30秒の地上波デジタルを録画したMPEG-2TSファイルです。
出力はTMPGEnc Authoring Works 5のMPEG4デフォルト設定(MPEG4 AVC 1920x1080 29.97fps)、エンコードは1パスCBR、ビットレート4000Kbpsに設定しています。
フィルタもデフォルトの状態で、設定は行っていません。
下記のパターンでエンコード時間を測定しました。
・Core i7 2700K 定格(3.5GHz)
・Core i7 2700K 5GHzオーバークロック
・Core i7 2700K HD3000によるハードウェアエンコード(定格クロック1350MHz)
・Core i7 2700K HD3000によるハードウェアエンコード(オーバークロック1900MHz)
結果は下記の通りでした。
CPUによるエンコードは5GHzで17:38ともう一息で等速エンコードが可能な域まで近づきました。
CPUによるエンコードでフルハイビジョン画質のMPEG4がここまで高速化されるのはやはり驚きです。
Intel Media SDKによるエンコードはHD3000のクロックによる差は認められませんでした。
エンコード中のHD3000の動作クロックですが、1200MHzや1350MHz程度を行ったり来たりしており、1900MHzまでクロックが上がることはあまりなかったことが原因と思われます。
動きが複雑なシーンなどはエンコード負荷がかかるためHD3000のクロックも上がると思われますので、今回はテストに使ったサンプルがあまり差が出にくいものだった可能性があります。
■付属のクーラー比較
2700Kと2600Kに付属するCPUクーラーを比べてみました。
メーカーがNIDECとFOXCONNなのでヒートシンクの形状など差がありますが、ヒートシンクの厚みなどは同一ですので、性能もほぼ同等かと思います。
■Core i7 2600Kとの差について
Core i7 2700Kの登場でやはり気になるのが、100MHz差でラインナップされている2600Kとの差です。
2600Kはロットにもよりますが、5GHzであっさり動くものもあり、倍率アンロックCPUとしてはとても似ているポジションの製品かと思います。
12/21現在の価格差は約3,000円(AKIBA PC Hotline調べ)ですので、100MHzの差がこの価格差に見合うだけの性能差かというと、微妙な気がします。
実際のところは不明ですが、2700Kが2600Kからの選別品であるという可能性を考えると、2600Kは今までのような大幅なオーバークロックがしにくい個体が多いという可能性があります。
最初からオーバークロック目的で購入するのであれば、差額3,000円を払っても2700Kを選択するメリットはあると思います。
オーバークロックはCPUの個体差があるためどうしても当たりはずれがありますが、2700Kと2600Kの価格差は「当たりやすい」という可能性に対するプライスと考えるとわかりやすそうです。
コメント (2)
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2011/12/25
当たりやすいっていうのはいいですね(^^
ちょもさん
2011/12/25
あっさり5GHz超えてしまいましたね…
発熱を考えると、かなり電圧を落としても動作する4.8GHzあたりが良さそうです。
4.8GHzだと1.4Vで動きますが、5GHzだと1.45V近く印加しないといけないので、微妙なところ。
5.2GHzを拝めただけでも良しとします(^^