MacBook Pro のポートが Type-C のみになって何年くらい経ったんでしょうね。
MacBook (今あるっけ?)から始まった流れだったように記憶してますが、2021 の MacBook Pro で大幅に I/O の構成が変わるまで、長らく MacBook Pro/Air ともに接続端子が USB Type-C や Thunderbolt 3,4 のみの構成でした。
私は 2018 のモデルからこの構成の mac を使い出しましたが、買った時点で Type-C ハブが必須な状況だったので、色々と試行錯誤して使ってきた記憶があります。
それ以来、仕事用の 2台の MBP と MBA を含め、合計 4台の Type-C のみの MacBook と付き合ってきて、結果的にハブ/ドックとしては OWC Thunderbolt Dock に行き着いたわけです。
が、大きさ的に据え置きになってしまうことと、こちらは DAW/プライベート用の 2021 MacBook Pro 14 インチと組み合わせるので、仕事用の 2020 MacBook Pro 13インチで使うハブを探していました。
と言うわけで、この度 MacBook Pro専用8in1ハブスタンド「J-Cube」をレビューしていきたいと思います。
J-Cube の仕様
まずは J-Cube の仕様から。
「8-in-1ハブスタンド」なので、8つのポートが搭載されているハブです。
入力
4 × USB-C (Thunderbolt 3)
出力
3 × USB-A 3.0(5Gb/s)
1 × USB-C
1 × USB-C (4K解像度、10Gb/s、100W PD急速充電)
1 × USB-C (DATAロゴ入り) データ転送
1 × HDMI (4K/30Hz)
1 × LAN (10/100/1000Mbps)
LR に分かれる製品なので、LR の出力を書くと、下記のような感じ。
L
1 × USB-A 3.0(5Gb/s)
1 × USB-C (4K解像度、10Gb/s、100W PD急速充電)
1 × USB-C (DATAロゴ入り) データ転送
1 × HDMI (4K/30Hz)
R
2 × USB-A 3.0(5Gb/s)
1 × USB-C
1 × LAN (10/100/1000Mbps)
いい感じで左右に別れてるのではないかなと感じつつも、1 in 8 out ではなく 4 in 8 out なので、その辺り、どう使うかで印象が変わる商品かなと思います。
そういったところも含めてレビューしていきます。
おしゃれで機能的
とにかく、すごくおしゃれ。
この手の製品いくつか使ってきましたが、ダントツで良いデザインだと思います。
特に、この製品は「ハブスタンド」なので、ノートパソコンスタンド的な使い方も想定していると思うのですが、その意味でもおしゃれさは重要ではないかと個人的には思います。
LとRの文字が滑り止めにもなっているのがおしゃれ。
こういう機能性を持たせたデザイン好きです。
LRをマグネットでドッキングさせるのも良いです、使いやすい。
接続すると控えめに LED が点灯するのも良いです。
この手の製品の LED は明るすぎるものが多い印象ですが、控えめなので目に優しい。
結構重要。
気になることがあるとすると、この LED は MacBook Pro の蓋を閉じた状態でも点灯し続けます。
バッテリー駆動時にも同様の挙動なので、無給電状態で挿しっぱなしで長時間放置するのは避けたほうが良いかもしれません。(システムを終了すれば消えます。)
という感じで、デザイン面ではほぼ文句なしではないかなと。
かなり良いと思います。
必要なものが十分にあるポート
ポートの種類などは先ほども書きましたが、MacBook Pro専用ということで考えると、こういう製品を求める理由としては Thunderbolt 3 もしくは USB Type-C ではない形状のコネクタが必要になるか、ポート数が足りなくなるからだと思います。
で、多くのケースで必要になるのは Type-A のコネクタだと思うのですが、そういう意味では USB Type-A のポートが 3つあれば通常の用途では十分なのではないかなと。
ちゃんと左右に分散して設定されている点も良いですよね。
分散しているという点で言うと、ディスプレイ接続が可能な Type C ポート(⚡️マークのもの)も左右に一つずつあるのはポイントが高いです。
私の環境だと机の真ん中に 43インチの 4K ディスプレイ(43UD79T-B)が置いてあり、その両サイドに 2台の MacBook Pro を置いて作業しているのですが、作業のタイミングなどで MBP を右に置いたり左に置いたりするので、どちらからでもディスプレイが接続できるのは便利です。
あと、個人的に、LAN ポートが付いていることが嬉しいなと。
何気に、有線 LAN って使うんですよね。
最近は Wi-Fi も安定してきましたけど、仕事で常時 VPN で接続したりするような環境の場合、やはり有線 LAN だと安心感があったりします。
HDMI 端子に関しては、私はあまり使う機会がないのですが、出先で使うディスプレイが HDMI だったり、会議室のプロジェクターとの接続が HDMI だったり、みたいなのは結構あると思うので、そう言う意味であって損はない端子ではないかと。
逆に、足りないものってあるかなぁ?っと考えてみても、あまりない。
あえてあげるとすれば、SDカードのスロットとかかな?と言う感じですが、なくても良いかなぁ。
使っていることを忘れるくらい非常に安定した使用感
では、実際に使ってみての感想を書いていきます。
まとめを先に書いてしまうと、普通に使う範囲であれば不満点は出てこないのではないかなと感じるレベルの使用感です。
とにかく、安定している。
レビューに使った構成
まず、レビューに使った機器と構成から。
- MacBook Pro:2020 13inch MBP / 2.3 GHz クアッドコアIntel Core i7, 32 GB メモリ, 1TB
- ディスプレイ:LG 43UD79T-B
- トラックボール:Logicool MX Ergo(unifyingレシーバー経由)
- スイッチングハブ:アライドテレシス AT-GS910/5
MacBook Pro に J-Cube を接続し、Type-C ケーブルで LG 43UD79T-B を接続しています。
LG 43UD79T-B には USB ポートがあり、そこに MX Ergo の unifying レシーバーが接続されている、と言う構成。
ここまでは J-Cube を使う前から MBP 本体に直接 LG 43UD79T-B を接続して実現していましたが、J-Cube を使うことで有線LAN接続が可能になったのが大きく異なる点かなと。
J-Cube 経由でアライドテレシスのスイッチングハブと接続しています。
また、ディスプレイからの給電だけでは MBP 消費電力を賄えないので J-Cube の Type-C ポート経由で給電しながら使っています。
ディスプレイとの接続はかなり安定した使い心地
MBP に直接接続していたこれまでの構成から組み替えて全く問題はありません。
Type-C 経由で給電しているのですが、特に不安定になることもなく安定して使えています。
この手の製品は使用中に本体の温度が高温になることがありますが、そこまで高温に感じるようなこともないかなと。
特に、ディスプレイとの接続は不安定になることもなく、非常に快適。
Type-C経由であればちゃんと、4K 60kHz で使えます。
私はゲームはやらないのですが、30kHz だとポインタの軌跡が不自然に感じるので、60kHz で使えるのは結構重要だと思っています。
43UD79T-B に接続した unifyingレシーバー経由で使っている Logicool のトラックボール MX Ergo も全く問題なく快適に使えます。
と言った感じで、ディスプレイを J-Cube 経由で使っても全く問題はありません。
個人的に、仕事・プライベート問わず MacBook Pro と接続する周辺機器として一番頻度が高く、重要なのは外部ディスプレイだったりするので、ここがストレスなく安定して使えるのは、必須。
とても良い。
1週間以上仕事で 9時間ほど連続使用していますが、今の所 J-Cube 経由でディスプレイを使っていて不安定になるなどの症状は一切ないので、この点は安心して利用できると思います。
ちなみに、43UD79T-B の他にも LG の 27MD5KL-B という、Thunderbolt 接続の 5K ディスプレイも使っているのですが、試しに接続してみたのですが、やはり、というか当然というか、Thunderbolt には対応していないので使えませんでした。
ちなみに、Thunderbolt ケーブルで接続した場合には何をやっても認識しませんでしたが、Type-C ケーブルを使うと、R側のポートではディスプレイ出力自体はできました。
が、解像度が 3360 × 1890 までしか選べなかったり頻繁にブラックアウトするなど、かなり不安定な状態だったので、映りはするけど実際に使えるレベルではないと言う印象です。
有線LANも安心して使える品質
有線LAN はドライバ不要で接続すれば使えます。
LAN 端子が硬い印象はあり、LANケーブルの抜き差しは結構大変です。
が、まぁ、緩いよりは硬いほうが良いと思うので、良いかなと。
速度も特に問題なさそうです。
LAN と WiFi で BlackMagic Disk Speed Test を使って、NAS(QNAP TS-453D-4G)に対してベンチマークした結果を貼り付けておきます。
Wi-Fi
こうして計測してみると圧倒的に有線の方が早いですね。
一応 WiFi 6 対応のルーターをアクセスポイントとして使ってるのですが、全然違いました。。。
安定度も悪くありません。
USB Type-C ハブに付属している LANポートは、Zoom や Webex などのオンラインミーティングで大量のパケットをやりとりしていたりすると本体(ハブ)が熱を持って不安定になる印象が強く、Wi-Fi を使ったほうがむしろ通信が安定するので、結果的に有線 LAN を使うこと自体をやめる、と言う経験が何度もあるのですが、J-Cube の場合には 1週間以上仕事で使ってみて通信が不安定な印象は全くないので、非常に優秀だと思います。
外付けのストレージとの接続も(ほぼ)問題なし
では次は Type-C 接続の SSD、SanDisk PortableSSD 2TB を同じく、BlackMagic Disk Speed Test を使って速度を計測した結果を見てみます。
L の映像出力可能なポートに SSD を接続しても認識しなかった点がちょっと気になりますが、そのほかに関しては、誤差の範囲で、ほぼ同じと言う結果になりました。
ディスプレイの時にも L と R の USB C ポートの挙動が違いましたが、何やら LR で仕様が異なるのでしょうか?
いずれにせよ L側にはデータ転送用の Type-C のポートがあり、そちらを使えば問題なく動作します。
その他の使用感
構造上仕方がないのですが、2つのポートをしっかりと接続する必要があります。
これは MBP 側の問題かもしれないので何とも言えない(いくつか甘くなってきているポートがあると感じるので。)のですが、若干接触が甘いというか、うまく認識しないことがあります。
ちなみに、端子が甘く入ってても LED が点灯して接続しているように見える気がするので、この辺り、もう少しシビアに判定してくれたらなぁっと。
スタンドとしての使い勝手に関しては、角度調整できるタイプではないので、あまり期待せずに、と言うのが正直なところです。
個人的にはこのくらいの浅い角度が好きですが、用途によってはもっと角度をつけたいと感じる人もいると思うので。
ただ、スタンドを全く使わない状態と比較したら圧倒的に使いやすいので、ハブのついでにスタンドも試してみたいのであれば最適かなと。
個人的にはこのくらい傾斜がキツくないほうが、MBP のキーボードやトラックパッドを使って操作するのであれば使いやすいと思います。
他製品と毛色は違うが用途と合致すれば非常に魅力的な製品
今手元にある MacBook Pro で使える Type-C ハブや変換ケーブル、Thunderbolt のドッキングステーションは下記の通り。
過去に使った事があるものや、使っていたものも含めると下記のような感じ。
大きく分けて、Thunderbolt 接続のものと、Type-C のものがあります。
私が現時点でメインで使っているのは OWC の Thunderbolt Dock なので、本来はこの製品と J-Cube を比較するべきだと思いますが、Thunderbolt ドックと USB C ハブは価格帯も大きさも異なり、そもそもターゲットが異なると思うので、直接比較してもあまり意味ないかなと。
ただ、これも含めてですが、Thunderbolt の製品と USB Type-C の製品を比較した際に最も違うと思うのは、安定性です。
例えば、ディスプレイ出力や有線 LAN など、大量のデータを常時やりとりするようなものを接続していると USB Type-C ハブ自体が高温で不安定な状態になり、結果として MacBook の動作に影響が出たりする事が多いのですが、Thunderbolt の製品はそういった事がありません。
なので、私は過去に使ってきた USB Type-C のハブに関しては、ディスプレイ出力や有線LAN接続はできるだけ使わないようにしてきました。
とはいえ、ディスプレイに関しては HDMI に変換しないとダメな環境もあったので使ってはいましたが、有線LAN に関しては特に負荷が高い印象があるのと、Wi-Fi が使える環境がほとんどだったので、これまでの全ての USB C ハブでは使ってきませんでした。
なので、USB Type-C ハブに関して言うと、USB Type-C to Type-A が主な用途で、それ以外のポートに関しては一時的に使う事ができる(出来ればいいな)くらいに考えていたんです。
手元にある DesertWest のハブなんかはまさに、Fireface UCX と MBP を接続したり、Steinberg Key とか Waves の USB ドングルを挿すために使っていて、このハブにも有線 LAN のポートはあるので有線 LANのアダプタとして使っても良いのですが、数時間つかていると不安定になるので、結局使っていません。
J-Cube に関して言うと、L側で USB Type-C 接続で 4K 60kHz で接続しつつ、R側で有線 LAN を接続していても、全く問題なく使い続けれられます。
MacBook もハブも世代が違うと言うのはあると思いますが、これは凄い進化だなと感じます。
Thunderbolt のドッキングステーションは、外部電源を必要とするものがほとんどですが、J-Cube も含め Type-C ハブは MacBook からの電源供給だけで動作する事も大きなメリットだと思います。
これは持ち運びを考えた時はもちろんですが、電源由来のノイズを考えなくてもいいので DACやオーディオインターフェースとの接続を考えている人にとっても大きな利点です。
MacBook への充電に R側の USB-C を使ったとしたら、L側のポートを使えばいい訳なので、物理的に二つに分かれていることの最大のメリットだと個人的に思います。
MBP のポートを全て使うことをどう考えるか次第
で、J-Cube を語る上で避けては通れないのがこの話題かなと。
J-Cube の最大の弱点は、Thunderbolt ポートを 4つ使い切ってしまうことだと思うんです。
もっと言えば、Thunderbolt 4つ使った結果として下記の出力しかないこと。
- 3 × USB-A 3.0(5Gb/s)
- 1 × USB-C
- 1 × USB-C (4K解像度、10Gb/s、100W PD急速充電)
- 1 × USB-C (DATAロゴ入り) データ転送
- 1 × HDMI (4K/30Hz)
- 1 × LAN (10/100/1000Mbps)
結果として、Thunderbolt の選択肢は消えるので、Thunderbolt で接続するものがある場合には選択肢には入らないと思います。
例えば、Thunderbolt 接続のディスプレイと一緒に使う、Thunderbolt ドックと一緒に使う、Thunderbolt 接続のオーディオインターフェースを使う、といった使い方を想定しているなら J-Cube は残念ながら使えません。
ここが、他のポートを一つしか使わない Type-C ハブとの決定的な違いです。
苦肉の策で、片側は MBP と接続せず、スタンドとしてのみ使う、なんてこともできなくはないですが、こういう使い方を想定しているスタンドではないので、色々と不安定なのでおすすめはできません。
まぁ、Thunderbolt はレアなケースかもしれませんが、要は MBP 本体の端子全てを使い切るので、これ以上の拡張性は期待しないほうが無難です。
なので、2020 MBP を使う際の私のように「Type-C で 4K ディスプレイと接続して、有線LANも使いたい、でたまに Type-A 使う機器と接続できると嬉しい」みたいな使い方の人には向いていますが、さまざまな USB 接続のデバイスを多数接続して使いたい、みたいな使い方の人には向いていないかもしれません。
用途が合致すれば最高のハブ
ポートを4つ使う、スタンド兼用、と言う、少し攻めた仕様のハブだと思います。
攻めた仕様ですが、非常に実用性が高く、しかも非常に洗練されたデザインの製品だなと。
なので、MacBook Pro と接続する機器や用途が J-Cube のポートや仕様と合致していれば非常に満足度の高い商品だと感じます。
ひとまず私は毎日仕事で使ってますが、有線LANになってくれたことで非常に快適に仕事ができて助かっています。
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