純米大吟醸というと、日本酒の王様という感じが私はしますが、
こちらの純米大吟醸 積善GINZAはもう少し気構えずに飲むのがいいお酒という印象を受けました。
外箱は濃紺の無地のものでした。その箱から中身を取り出すと…
「積善(せきぜん)銀座」のボトルが現れます。
NAGANOとGINZAがNとZで交わっているのが面白いです。
積善(せきぜん)とは「善行を積む」という意味だそうです。
酒を飲むだけで善行を積むことになるならいいのにな~と思いながら
しばしボトルを眺めていました。
ボトルのリンゴマークが気になりますよね。
なぜリンゴマークがあしらわれているのかはすぐに分かりました。
リンゴマークがなぜ使われているかというと酵母に杜氏が学生時代に分離に成功したりんごの花酵母を使用しているからだと思われます。りんごの花酵母を使用して醸されたお酒を飲むのは初めてです!ワクワクします。
この積善GINZAを醸された西飯田酒造店さんは清流犀川のほとりの善光寺平で江戸末期より酒造りをされている酒蔵だそうです。もともとは「信濃光」という銘柄で有名だったようですが、
杜氏:飯田一基さんが杜氏を務められるようになってから東京農業大学で研究されている花から分離された優良清酒酵母(つるばら、撫子、日々草、など16種類)などの花酵母を使用した酒造りを開始され、純米吟醸「積善せきぜん」として出されているようです。
飯田一基さんはおそらく昭和59年生まれの若い杜氏だと思うのですが、
これからどんどん腕を上げて、おいしい酒を造っていって頂きたいと思います。
花酵母にこだわった酒造りっていうのが面白いですね!!
長野の日本酒ではまだ「コレ、いいな!」と思えるものに出会えていない気がするのですが、
飲みたい日本酒リストに「積善」が加わったことは言うまでもありません。しかもいろいろなパターンの「積善」を飲み比べてみたいですね。
ちなみに…酒米は長野県産米にこだわっているそうですし、使うお米は自社農園のものや契約栽培米を主に使用されているそうです。 貯蔵管理にもこだわっていて特定名称酒はマイナス貯蔵することによって、つまり劣化させることない状態で販売の時にまで維持されることも心掛けているんですね。
素晴らしい取り組みだと思います。
さてさて、積善GINZAのほうに話を戻したいと思います。
ボトルのラベルに「香りはバナナ系、味わいは旨味+リンゴ酸でスッキリ」とあります。
香りも味わいにも期待が持てそうでワクワクします。
銀座とのコラボということですが、これは酒米を稲刈りする際に銀座(=東京)から多くの人が参加したということからのようです。ちなみに去年は稲を刈るだけだったコラボが
今年2017年は田植えのところから関わったということで、ますますこのムーブメントが盛り上がってきていることを感じます。酒造りを通して、いかに日本酒が深い物語の中から生まれてくるかということが分かるとますます日本酒を飲むのが楽しくなりそうですね。
とかく都会と農村は断絶しがちな中、こういったコラボで楽しく交流できるっていいですね。
私も参加してみたい!とても素敵で楽しい取り組みだと思います。
こういったことは受け入れるのもなかなか大変だと思うのですが受け入れた蔵の方々に感謝ですね。
なお、積善GINZAに使われた酒米は長野市大岡地区で育った『ひとごこち』を100%使用し。おいしい蕎麦でも有名な戸隠(とがくし)から流れる清らかな水を使って仕込んだとあります。ひとごこちは山田錦に次いで心白の大きくなる酒米ということで、淡麗で味に幅のあるお酒ができるそうです。
大吟醸だけど…意外と燗酒にした方がうまい!
さぁ、とにかく味わってみないと話は始まりません。
やはり純米吟醸以上のクラスになると吟醸香(ぎんじょうこう)を心ゆくまで楽しむには
冷や~若干常温ぐらいで飲むのが普段の好み。
冷やからいってみましょう。
【冷や】
しかし…この純米大吟醸 積善GINZAについては、私が期待していたほどの香りも味わいもそこまでは冷やだと感じられなかったように思います。
うーん。できれば「冷や」でもう少し個性の感じられる味わいになることを今後期待したいです。
香り強め、旨味多めでお願いします!!
この冷やで飲んだ感じでは純米吟醸クラスの味わいのレベルに思われました。
【常温】
なお、常温は普通の日本酒という感じ。これはオススメしません。
【熱燗】
畏れ多くも純米大吟醸を今まで熱燗などにしてみたことはあまりありません。
でも、やってしまいましょう!!
ええい、熱燗(50度ほど)にしてみてしまえ~と普段なら絶対にやらない飲み方にチャレンジ!!
すると!!ん?!!う、うまくなった。
大吟醸なのに、熱燗が合う!
【上燗】
次、45度程度の上燗(じょうかん)に。
上燗もあり!上燗もこのお酒には合いそうです。
ちなみに燗の方法はとっくりにお酒を入れて湯煎にし、温度計で管理しながら行っています。
【ぬる燗】
ぬる燗も普通においしかったです。
とにかく積善GINZAは燗酒にすると味わいにキレとコクが感じられ、後味も良いです。
食前酒向きとありましたが、食中酒として私は飲めるなと思いました。
また、私には結構辛口に感じられました。
次々に飲みたくなる味とまでは言えませんが、なかなか良いお酒でした。
是非、熱燗・上燗・ぬる燗・冷やでいろいろな味わいの変化を楽しんでみてください。
和食にも合う、エスニックにも合う、汎用性の高い酒
【第1位】松茸ご飯
地物の松茸をゲットできたのでまずは松茸ご飯と一緒に頂いてみました。
上燗の積善GINZAと非常に合います。
酒が主張しすぎず、そしてしなさすぎず。
これからの時期には鍋と合わせるのもよさそうだな~と感じました。
さんまとかとも食べたいですね。
【第2位】ベトナム生春巻き
熱燗にして積善GINZAと頂くと至福の時が過ごせました。
意外と?エスニック料理とも合いました。
チリソースで食べたときも良いのですが、ポン酢と食べると最高です。
【第3位】タコの磯部揚げ
いい地物の蛸をスーパーで発見し、熊本の青海苔を使って揚げてみたものと一緒に頂きました。
(ちなみにタコの横にあるのは「むかご」という野菜です。素揚げにしてこちらも一緒に食べてみました)青海苔の風味に熱燗にした積善GINZAは負けないおいしさで相乗効果でもう一杯飲みたくなります。適度な塩気のあるものと合うので、固めのポテトチップスなんかとも一緒に食べてもおいしそうです。鶏肉のから揚げとかとも合いそうです。
信州つながりで今度は「おやき」をお手製で作って、このお酒と食べてみるのもいいな、と現在鋭意計画中です。
身構えず、気軽に飲もう!
純米大吟醸というと、日本酒の世界の王様という感じがして、私は結構身構えて飲んでいたように思います。でも、意外と気軽に飲んだ方が楽しい酒の世界が広がるのかなと新たな発見がありました。特に純米大吟醸をまさかの熱燗などの燗酒にして楽しむということは今までチャレンジしたくてもできないことでしたので、楽しく飲むことができました。
ただ、香りと味わいについて、もう少し個性を強く出していってもいいように思いました。最初に酸度を感じ、それから旨味が口の中で広がっていくような味わいであれば「りんごの花酵母」を使った酒という能書きに、説得力が加わるような気がしました。どの方向性に味をもっていくかは杜氏さんの気持ち次第なので今後の造りに期待しながら新たな「積善GINZA」が出るのを待ちたいと思います。これだ!という信州を代表する酒に育っていってほしいです。
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