■パッケージ
同梱されるものは、
画像下部左から
・SLIブリッジが1つ
・Bluetooth、無線LAN802.11nアダプター、接続ケーブルが1つ
・SATAケーブルが6本
・バックパネルが1つ
・Driver等が収録されたCDが1枚
画像上部左から
・POSTコード表
・ケース内部貼付用シール
・クイックリファレンス
と、他社のOC向けやハイエンドボードと比較すると、USBやFireWire、eSATAの外だしブラケットなどは付属せず添付アイテムは割と簡素である。その代わりなのか、無線LAN、Bluetoothのユニットが付属しているのは意外だった。
その他、例えばSATAケーブルがビニールでパッケージされていないなど、環境性能を向上させようという意図も見られた。最近ではパッケージばかりが豪華になり不要なゴミが多いと感じてしまうマザーボードなどの同梱物であるが、そういった余計なものはほとんどなく、環境に配慮したとてもエコロジーなパッケージであると感じた。
■ハードウェア
ハードウェアを見ていこう。
SLIブリッジで少々残念だったのは、基板タイプのSLIブリッジだったこと。私の使用しているMSI GeForce GTX480 LIGHTNINGは基板タイプのSLIブリッジだと接続することができず、画像左のEVGAのP55SLIに付属してきたようなフレキシブル(フィルム)タイプのSLIブリッジでなければ接続することができなかったのだ。ハイエンド製品という製品の性格上、組み合わされるVGAが様々なものであることを考えると、EVGAの様にフレキシブルタイプのSLIブリッジの方がより様々なデバイスで利用できるのではないだろうか?
マザーボード本体。構成としてはよくあるATXのSLI対応マザーボードといったところだ。しかし利用されている各パーツなどはこだわりを感じさせる点がいくつも散見される。右上部の電源コネクタ付近にケースに組み込まずに利用する場合に便利な電源スイッチボタンとリセットボタンが用意される。またその左側には、POSTコードを表示させる7セグメントLEDが用意され、フロントFAN用のコネクタにもPWM対応のコネクタが用意され細かいFANコントロールが可能。このFrontFAN以外にもRearFAN、FAN_AUX1と、そしてもちろんCPU FANの4つともにPWM対応のコネクタが用意されている。
各種I/O用のチップとして、上からNECのUSB3.0対応チップ、RealtekのALC892サウンドチップ、TIのFireWireコントローラーが利用されていた。
PCI Express x16とSLI等のx8/x8の切り替え時に利用されるであろうPI3PCIE2415 PCI Express対応のSwitchチップが搭載される
チップセットレベルでは、ついに標準の32bitPCIもサポート外となっているために、IDTのPCIブリッジ89HMPEB383ZAがドクロロゴマークの脇に搭載されている。ちなみにこのドクロロゴマークは背面にLEDなどが仕込まれており怪しく光ってくれる。
CPU周りに配置される電源回路のヒートシンクを外してみるとDrMOS内蔵型のVishay製SiC769Aが配置されている。もちろんその他の電源周りに利用されるコンデンサなどは全て個体コンデンサであったり、このSiC769Aにしてもそうなのだが、必要以上とも言いたくなるほどにかなりリッチなパーツが利用されている。
なぜかボード上にシールで目隠しをしている部分があるのではがしてみると…
ボードの型番とおもわしき文字列および謎のロゴが出てきた。なぜ隠されていたのかは不明だ。また、このロゴマークはMSI GeForce GTX 480 LIGHTNINGの基板にもプリントされていたがいったい何のロゴマークなのだろうか?
※友人より、Korea Comminication Commission(大韓民国放送通信委員会)のロゴであることを教えていただいた。米国FCCを元に、韓国で米国FCCと同様の活動をしているとのことだそうだ。このロゴがペーストされているデバイスに関しては、大韓民国放送通信委員会で定められた外部ノイズに関する問題が無いという認証ということだろう。しかしながら、なぜそのロゴが隠されているのか、まだ認証作業中で認証見込みとして印刷していたのだろうか?
SATAコネクタは横出しタイプ。残念ながらハイエンド系の長めのビデオカードを挿入すると下部に隠れてしまうのでアクセサビリティが良いとは決して言えない。青いコネクタがSATA6.0Gbps対応ポートで黒いコネクタがSATA3.0Gbps対応ポートになり、下側が奇数IDとなっていた。
バックパネルは左からeSATA、FireWire/USB2.0x2、USB2.0x4、GbE/USB2.0x2、USB3.0x2、7.1chサウンド入出力/光出力(TOXLINK)となる。
7.1chのアナログサウンドと光デジタル出力を持つ本機だが、残念ながらDolyb Digital LiveやDTS Liveなどデジタルサラウンド出力には対応していないため、これらのサラウンド出力が必要な場合には、別途デジタルサラウンド出力に対応したサウンドカードが必要とのある。
また、レガシーポートであるPS/2のキーボードやマウスコネクタは用意されておらず、全てUSBタイプのものを用意する必要がある。またeSATAに関してはintelのチップセットが持つものではなく、Marvelの88SE6111-NAA1で駆動される。この88SE6111-NAA1はパラレルATAの機能も有しているのではあるが、パラレルATAに関しては用意されていない。チップセットはもちろんP67チップセット、もちろん不具合を持つB2ステップのSLH84ではなく、不具合修正版のB3ステップであるSLJ4Cが搭載されていた。
今回はCore i7 2600KとMSI GeForce GTX480を2基、SLI構成で組み合わせた。CPUクーラーにはArctic CoolingのFreezer XTREMEを用意。LGA1155はLGA1156対応のCPUクーラーであれば搭載できるため、1156対応のCPUクーラーであれば利用できる。SLIで構成しても2スロットを占有するGeForceGTX480 LIGHTNINGを利用しても1スロット分の空間が開くので冷却に関しても問題は無い。以前利用していたP55SLIの場合、SLI+PhysX SLIに対応ということでSLIで構成されるGeForce GTX 480の間に空間が無く、2枚のうち1枚のバックプレートを泣く泣く外さなければならない上に、エアフローに大きな問題が生じていた。P55SLIの場合は、SLIに加えPhysX用にもう1枚GeForceを組み合わせることが利点ではあるが、冷却という面からすると、水冷であったり、何かしらのオプションが必要となってしまっていたため、DP67BGのこのスロット構成の方がより汎用的かつ実用的だと言えるのではないだろうか?
■実際に利用してみる
もちろんチップセットやオンボード機器はWindows 7発売後に発表されたものであるから、OSのインストール後に各種ドライバのインストールが必要となるのだが、付属するドライバCDを利用すると、始めにセットアップしたいドライバなどを選択し、OKをワンクリックし、ログインユーザーとパスワードの設定をすることで、再起動なども自動で行われ、非常に簡単にドライバの無人でインストールができる。これはとても便利であると感じた。
■オーバークロックについて
DP67BGに組み合わされるファームウェアはEFIではあるが、ユーザーインターフェースはこれまでのBIOSを踏襲したキャラクタ(文字)ベースのものとなる。グラフィカルユーザーインターフェースとなったUEFI製品をいくつか触ったことはあるものの、インターネットブラウザが搭載されていたりするわけでもなく、単なる設定画面としてはあまり使いやすいという印象は無かったため、キャラクタベースのEFIは好感が持てた。
設定自体はかなり細かく設定はできるものの、他社のオーバークロックマザーボードに見られるような、定格倍率を上げられるような設定は存在しなく、あくまでTurbo Boostを利用したオーバークロックが前提という仕様となっている。これは賛否が分かれるとは思うのだが、intelのCPUに対する思想が色濃く表れたものであるという事だろう。
他社製マザーボードであれば、かなり無理矢理強引なオーバークロックをおこなうことも可能ではあるが、このDP67BGの場合には、「あくまでintelのTurboboostテクノロジーを利用した枠内でのオーバークロック」というのが前提とされていると言えるだろう。それでもTurboboostを利用したオーバークロックを前提とすれば他社に劣るようなものではないため、それほど悲観するような内容ではないと筆者は感じた。しかしながら、詳細な設定項目が用意されている割には、各項目に対する説明がかなり不足している感が否めず、ちょっと気軽にやってみようという人に対してのアプローチは殆どないと言ってもいい。いちおうWindows上からのユーティリティを使って自動オーバークロックはできるものの、MSIのOC Genieの様にボタン一つである程度安全圏の範囲内でオーバークロックをおこなってくれるような設定は存在しない。どちらかというと、知識を持つ玄人向けであるように感じた。
Core i世代の場合、簡単にオーバークロックとは言っても、消費電力や倍率、温度、消費電流などの各種設定項目が互いに相関関係にあるなど、かなり複雑であり、またSandybridge世代になると、更にここにCPUが低温度である場合にはTDP枠を超えるBoost設定などが追加され、更に複雑となっており、これらを理解してからでなければ、単に倍率を上げただけでは、希望の周波数で動作しなかったりもする。このため、初心者お断り…のように感じられてしまうため、これらの解説本や解説するWebサイトなどが用意して欲しいと強く感じてしまった。
筆者自身も四苦八苦してオーバークロックに挑んだところ、定格電圧のまま4.2GHzで動作させることができた。4.3GHzになると一部ベンチマーク等でエラーが出ることがあるので、定格電圧ではこの程度が安定限界だったのではないだろうか?
ゲーマーとしてみれば限界までオーバークロックをして不安定という状況は許されないので、この設定で利用することに。
さっそくベンチマークとして3D Mark Vantageを実行してみると、9966 3D Marksという結果となった。もう少し細かい設定を詰めれば10000を狙えるところまで来たというのは感慨深い。
■ゲームをプレイしてみる
実際に3D対応ゲームで利用すると…もともとのCore i7 870 4GHzの時でも60fpsを常時維持できるようなかなり快適でプレイできていたためにそれほど大きくは変わらなかった。しかしながら、現状でSLIに非対応のゲームSHIFT2 UnleashedやTEST DRIVE UNLIMITED 2は、CPUをオーバークロックをしなくとも明らかにフレームレートが向上していたのには驚いた。
また、より圧倒的に負荷の高い3D Visionで試してみると、明らかにフレームレートが向上しているのが体感してわかった。が、ここまで高い負荷をかけなければわからないともいえる。
3D Visionや3D Vision Sorroundでより高いフレームレートを、そして大画面TVと組み合わせた3DTV Playユーザーであれば1280x720の3D立体視環境で60fps(左右60fps/120fps)を実現する事も可能だろうと思われる。
しかしながらここまでとなると、かなりコアなユーザーでなければこれほどのパフォーマンスが必要ではないかもしれない。それでも現状でほぼ最強最速の環境でプレイできることになる為、P67チップセット搭載マザーボード+SLIというのはゲーマーにとって有益なものであることは間違いない。
その上、LynfieldからSandybridgeになることで、パフォーマンスが上がったのにもかかわらず消費電力が50W以上も下がり、またCPU温度も10度以上下がったという点は筆者にとってはありがたい福音だった。というよりも、一般のユーザーであれば、より扱いやすくなるであるろう消費電力の低減というのがパフォーマンスの向上よりも一番のトピックであるように感じた。P67チップセットとSLIという組み合わせのパフォーマンス/wの高さは、現状では特筆すべき点があると思われる。
■Sandy Bridgeマザーとしてはオススメだが…
正直言って、現状でLynfieldのCore i7 8xxシリーズを4GHz以上にオーバークロックするなどしてSLIやCross Fireシステムを利用しているコアなユーザーの場合にはそれほど大きなパフォーマンスアップは見込めないかもしれない。
しかしながら、もし定格周波数で利用しているのであれば、Core i7 8xxからCore i7 2x00へのスペックアップは3割程度のパフォーマンスアップが見込めるばかりか、消費電力も下がり良いことづくめである。もちろん、それ以下のCore 2世代のCPUを利用しているのであれば大幅なパフォーマンスブーストができることは間違いないだろう。
そういった面で、このDP67BGに関しては、安定したオーバークロックも見据え、そしてSLI対応システムを考えている場合にはオススメできる1枚と言える…のではあるが、1つ気がかりな点も否めない。それは先日発表、発売が開始されたZ68チップセットシリーズの存在だ。
P67チップセットとZ68チップセットには性能的にそれほど大きな差は無い。しかしながら、機能面でいくつかの大きな差が用意されている。例えば大容量のHDDのキャッシュにSSDを利用してアクセスパフォーマンスを上げるというIntel Smart Response Technologyの存在。そしてゲーム等GPU能力をそれほど必要としない通常利用時にはオンボードビデオを利用し、ゲームなどをプレイする時にはGPUを利用することができるというVirtuという2つの機能の存在だ。
前者は5GB~10GBの非常に大きなディスクスペースが必要となるゲームプレイの場合、高価な大容量のSSDを用意しなくとも、HDDと100GB未満の廉価なSSDを利用することで、SSDに近いパフォーマンスが発揮できるわけで、様々なゲームをインストールするゲーマーから見るととても魅力的に映るし、後者は、ゲーム以外でPCを利用する際に、数十ワットという無視できないレベルの省電力化が可能であるため、省電力が叫ばれる昨今としてはとても魅力的な機能だと言える。
しかし、逆に考えてみると、この最上位で定番となるであろうZ68チップセットの登場により、P67チップセット搭載マザーボードの価格が落ちてくる可能性もあり、もし廉価に入手できるのであればP67BGのような高品質タイプのマザーボードを手軽な価格で入手できることも想像できるため、SLI対応でそこそこ遊べるマザーボードとしての存在意義は残るかもしれない。
しかしながら、やはりintelを含む各メーカーはハイエンドボードにZ68チップセットを用意してくることが容易に想像でき、Z68チップセットと市場がかぶるであろうP67チップセット搭載マザーボード自体の出荷が少なくなる可能性も否定はできないため、立場としては微妙なものとなってしまい、不遇のチップセット、マザーボードとなってしまうのではないかと筆者は感じてしまったのは言うまでもないだろう…。
また、年末に控えるIvy Bridgeとその対応マザーボードの事を考えると、あと半年待てるのであればそちらの方を待った方がいいかもしれない…と言わざるを得ない部分もある。IvyBridgeに関しては、22nmのTri Gate トランジスタを採用し、更に消費電力が低減され、より高い周波数を実現し、また発熱も少なく、そしてPCI Express 3.0が採用されるという様々なトピックがある。
Sandy BridgeとIvy Bridgeとでは同一周波数でのパフォーマンスは大差ないものとおもわれるが、消費電力面と発熱の面ではかなり大きな差が出てくるのではないかと想像され、また、発熱、消費電力が減るということは、より高い周波数でリリースされてくることも容易に想像できるため、そこまで待つというのも賢い選択ではあると思う。しかしながら、LGA1155マザーボードはIvy Bridgeに対応できるという情報もあるので、PCI Express 3.0を諦めるのであれば、P67チップセット搭載のこのDP67BGでも利用できるのではないかと推測される。となれば、今すぐにでも欲しいというのであれば、DP67BGをはじめ、intelのロクナナチップセット搭載マザーボードを搭載したPCを用意し、年末にCPUだけIvy Bridgeに換装してしまうというのもアリなのではないだろうか?
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2011/05/12
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2011/05/12
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和屋さん
2011/05/12
GTX480x2は予想以上に圧巻でしたw
anzuさん
2011/05/12
マザーボードのレビューは何を書くべきなのかが難しいところですねー…
GeForce GTX 480 LIGHTNINGは重量でも圧巻ですよー(笑)
kensanさん
2011/05/12
どうもIntelのボードとは縁がないというか、避けています♪
bibirikotetuさん
2011/05/14
知らなかったこといっぱいで楽しかった~ヽ(´ー`)ノ