今回レビューさせていただくXeon E3-1285L v4は、Haswellマイクロアーキテクチャを
14nmプロセスルールにシュリンクした、Broadwellマイクロアーキテクチャのプロセッサです。
Broadwell世代の製品には、私も含めてあまり馴染みのない方が多いと思います。
これは、当初は2013年登場予定っだったものが歩留りの悪さでかなり遅れてしまい、
ようやく登場したモバイル版からデスクトップ版はさらに遅れ、今年6月にやっと
登場となりましたが、すぐに次世代Skylakeが華々しくデビューしてしまった、
という経緯があったからだそうです。
Broadwell世代の主な製品のラインナップ
Broadwell-H BGA ノートPC向け Core i7-5950HQ Core i5-5350Hなど
Broadwell-R BGA 組み込みMini PC向け Core i7-5775R Core i5-5675Rなど
Broadwell-C LGA デスクトップPC向け Core i7-5775C Core i5-5675Cなど
Xeon E3-12** v4 LGA サーバー・ワークステーション向け E3-1285 v4など
※他のXeon D-15**(iGPU無し)などのBGA 1667製品はここでは省きます。
ノートとサーバー向け一部製品を除きiGPUにGT3eを搭載。
これはIris Pro Graphicsという、128MB eDRAM搭載型のIntel最強内蔵GPUです。
Broadwell世代では、製造プロセスルールのシュリンクで様々な苦労や紆余曲折もあり、
Broadwell-KでDevil's Canyonのような高クロック版の後継品を出すのが難しくなりました。
上記のような事情から、当初デスクトップ向けに予定の無かったGT3e搭載のBroadwell-Rを、
そのままデスクトップ向けとしたようなBroadwell-Cを用意してその代替としたようです。
Xeon E3-1285L v4
プロセッサー・ベース動作周波数 3.4 GHz ターボ・ブースト利用時の最大周波数 3.8 GHz
デスクトップPC向け Core i7-5775Cに近い動作をしますが、Xeonなのでオーバークロックは
出来ません。そのほかにサーバー向けの機能を搭載しています。
LGA 1150ソケットですが、正式な対応チップセットはIntel C220シリーズです。
今回導入予定のPCには、同じLGA 1150ソケットのCPU、Core i5-4690Kを搭載しています。
Haswellマイクロアーキテクチャのリフレッシュ版、 第4世代Coreプロセッサとなります。
このHaswell Refleshの倍率変更可能モデルはDevil's Canyonと呼ばれますが、元来繋ぎ的存在
となるはずだったこちらのほうが、見聞きする機会も多かったのではないかと思います。
上位製品との価格性能比がすごい
上位Xeon E3-1285 v4のプロセッサー・ベース動作周波数は0.1高い3.5 GHz。
ターボ・ブースト利用時の最大周波数は同じ3.8 GHzで、TDPが95 Wになる。
同性能ではないにしろ価格差程に性能差はありません。
海外の比較レビューでは1285L v4のスコアが上回る場面も多数あり、どうやらこの2製品の
微妙な差に、Broadwell世代の開発で直面した高い壁があったことが窺えます。
導入チャレンジ編
マザーボードベンダーのASRockさんは、いち早くXeon E3-1200v4シリーズにZ97/H97
マザーボードでの正式対応を表明しました。
実際にいくつかのメーカーサイトでCPUサポートリストを調べてみると、調べた範囲で
v4シリーズ明記を確認出来たのはASRockさんだけでした。
正式な対応チップセットであるIntel C220シリーズのマザーボードを用意すれば、Xeonの
機能全てを有効に出来て確実です。
しかし、結構なお値段であり、私にはXeonの機能を使いこなすスキルなどありません。
夢のゲーミングPCを構築出来ればよいではないか!
ということで、まずは既存環境への導入にチャレンジしてみました。
PCの構成
【CPU】Core i5-4690K
【CPUクーラー】 EK-Supremacy MX
【リザーバーポンプ】Pacific PT20
【ラジエター】Black Ice SR1 280 CoolingLab Edition
【マザーボード】ASUS SABERTOOTH Z97 MARK S
【メモリ】AX3U1600GC4G9-2G
【SSD】HyperX Savage SSD SHSS37A/240G
【ビデオカード】GF PGTX970/4GD5 HOF
【サウンドカード】Sound Blaster Audigy Rx SB-AGY-RX
【電源】AURUM 92+ 550 PT-550M
【ケース】SOURCE340-WT
【OS】Windows7 Home64bit
ASUSさんのマザーボードです。
Xeon E3-1200v4シリーズが動作するか否かは、このマザーボード次第です。
Xeon E3-1200v4シリーズと姉妹製品とも言えるCore i7-5775Cには対応済みなので、
期待が高まります。
前準備として製品サポートページで各種ドライバを最新に更新しておきましょう。
入れていいのか迷ったものはとりあえず入れてみましょう。
①まず最初にBIOSを最新の2702に更新しました。
②次にデバイスマネージャーのシステムデバイスを確認すると、
Intel(R) Xeon(R) processor E3-1200 v3/4th Gen Core processor PCI Express x16 ・・
v3/4th とありますね。どうやらXeon E3v4向けの機能も用意されているようです。
③次にCore i5-4690KからE3-1285L v4に換装します。
ビデオカードをお使いなら、まずはそこからの起動確認をおこないましょう。
dGPU側からのほうが確認が取れ易いです。
④いよいよ起動です、 ぽちり とりあえずDelキー連打しておきました。
・・・モニターに信号が来ません。 ですが、まずは様子をみます。
BIOS側では認識できているかもしれません。ここでiGPU側にも挿し替えてみます。
何度か挿し替えて、5分ほど経過しても状況に変化はありません。一旦電源を切ります。
リセットスイッチのないケースなので、起動スイッチを押すと即電源断となりました。
OS起動まではいっていなかったと思われます。
⑤再度起動を試みます。Delキー連打です。
スペックも仕様通りです
BIOSでの設定が初期化されたので再設定し、無事Windows7起動までいけました。
OS起動1回目
⑥デバイスマネージャーの再確認。
Intel(R) Xeon(R) processor E3-1200 v3/4th…PCI Express x16 Controllerと
Intel(R) 4th Gen Core processor DRAM Controller - 0C00 が消えました。
Xeon E3 v2 v3世代ではiGPUの無しの製品ラインナップが豊富です。その場合、
この様になるのかと思われます。
自動でドライバーインストールを完了したらしいので再起動してみます
⑦OS起動2回目 デバイスマネージャーの再々確認。
とりあえず標準 VGA グラフィック アダプターと認識出来ました
⑧4Gamerさん経由で、Intel Graphics Driverを用意してインストールしました。
Intel® Iris™ Pro Graphics P6300と出ています
最初は矢印のexe.ファイルではじかれたので、その下zipファイルでいきました。
この段階でやっと安心することができました。
iGPUを有効に出来なければ、結局それを可能にする別製品を用意する必要があります。
動作する確証がないものが動いてくれると、喜びも大きいですね。
想定外が連続したり大変苦労する場面もありますが、これも自作の醍醐味です。
今回は大変に恵まれていました、皆様に感謝です。
ASRockさん以外でXeon E3-1200v3シリーズを明記しないのは、細かい所で未対応だったり、
大人の事情などの何かしらの理由があるのでしょうか? そこはモヤモヤがスッキリしません。
基本性能確認 dGPU編
これが真の実力だったのか Hall of Fameが化けた!
今まで我が家では最新CPUであったCore i5-4690K。
Hall of Fameの力を充分出せていると思っていましたが、違いました。
発売まもなく前世代となった不遇のXeon E3-1285L v4ですが、実力は最新です。
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
GTX970ファイナルファンタジーXIV蒼天のイシュガルド ベンチマーク
ポセプラ超えたったお
POSEIDON-GTX980-P-4GD5環境では第3世代Core i7-3770Tなのでハンデがありますが、
GTX970がGTX980を超える場面はめったにありません。Xeon E3-1285L v4様様です。
3DMark/3DMark11ともにこのように誤表記されます
最大周波数、製造プロセス、TDPを間違えています
換装前のCore i5-4690Kでのスコアは9885でした。700以上の向上です。
Core i5-4690Kでは出せなかったHall of Fameの実力が、しっかりと数値に表れています。
Xeon E3-1285L v4は、ハイスペックゲーミングPC構築にも適した実力の持ち主でした。
hidechanさんのレビュー観てやりたかったゲームWorld of Warshipsに挑戦したよ
hidechanさん PGTX980TI/6GD5 HOFのレビュー
基本性能確認 iGPU編
*
目安としてGTX460の768MB版相当の性能です。かつてのミドルクラスの性能です。
4Gamerさん過去記事参照すると、Core i7-975EEとGTX460 768MBでscore3063、
消費電力は259Wattでした。
CPU単体でもここまできたと思うと、感慨深いものがあります。
MSI N460GTX Cyclone OC (768MB) 過去のメインマシンより
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
標準品質 1980x1080 フルスクリーン
ファイナルファンタジーXIV蒼天のイシュガルド ベンチマーク
標準品質 1980x1080 フルスクリーン DirectX9
最高品質 1980x1080 フルスクリーン
ライトゲーマーであれば、いよいよグラフィックボード無しでの運用を考えるときかも
しれません。姉妹製品のCore i7-5775Cならオーバクロックで不足を補うことも可能です。
もちろんWorld of Warshipsも1度も設定をいじっていませんが、iGPUで普通に遊べています。
ゲーマーの皆様は既にご活用していると思いますが、私は今回初めて利用させていただきました。
ShadowPlayを利用できないiGPU環境で便利ですね。
Mini-ITXからATX本格ゲーミングマシンまで幅広く使える
今回のプレミアムレビュー募集を見るまでは Xeon E3-1200v4シリーズについての知識も
無く、Core i7-5775C相当品でIris Pro Graphicsなら消費電力もそれなりに高いだろうとの
イメージがありました。
実際に検証して思ったのは、ハイエンドゲーミングノート向きの電力効率に優れる特性を
持ったCPUであること。デビュー当初のCore i7-3770T以上のインパクトを感じました。
Core i7-3770TではMini-ITXにサウンドカードで長く使用しましたが、たいへん使い勝手がよい
のでATXマザーに戻し、現在もメインマシンとして常用しています。
Xeon E3-1285L v4もMini-ITXで使いたいところですが、検証結果のとおりHall of Fameの
パフォーマンスを引き出せる我が家では唯一のCPUなので、このままいくつもりです。
アイドル時の電力比較
GF PGTX970/4GD5 HOF 搭載 iGPU側利用時
いきなりピンボケすみません
GF PGTX970/4GD5 HOF 搭載 dGPU側利用時
キツキツでケース外に出すのが厳しいのでこのままです・・・
Xeon E3-1285L v4 1WattあたりのScore 30.85
Core i5-4690K 1WattあたりのScore 18.26
Score比較で2倍以上、1WattあたりのScore比較で1.69倍となっていて電力効率が大きく向上
していることが判ります。
1WattあたりのScore比較で2倍以上にならないのは、iGPU性能向上によるCPU側の処理量の増加
によるもので、CPU側消費電力で相殺された分の影響だと思われます。
使い方しだいで遊べます
オーバークロックできないXeonですが、BCLKをいじれば僅かに速度向上を確認できました。
BCLKを102にしたせいか、37倍までしか上がりません。
実際には上がっているかもしれませんが不明です。
Super PI mod 1.5 左定格 右右ベースクロック102
誤差程度ですが効果はあるようです。しかし、クロック次第のベンチなので、
軽くオーバークロックしたCore i7-3770TやE8500にも負けます。
パーツ全てのOC耐性が良く、BCLK105まであげたとしても105x38で4GHz程度。
大事なパーツを壊さないために、無茶は禁物ですね。
プレミア度MAX
Broadwell世代そのものにプレミア感がありますが、Xeon E3-1200v4シリーズは前世代に比べ
入手性が悪く、さらに今後はXeonシリーズをデスクトップ向けマザーボードで利用できる機会も
減りそうです。
FFゲーム機として親類宅に渡ったE3-1225 v2に代わって、再びXeonが我が家に来てくれました。
なんという幸運でしょうか。今Core i7-3770T以上のワクワク感をE3-1285L v4に感じています。
それでは感謝の気持ち込めて、ジーク Xeon!
ちょもさん
2015/12/08
レビューお疲れ様でした。XEONは昔Socket603の頃に使っていましたが、CoreシリーズやPentiumシリーズと違ってプレミア感あっていいですよね。
りゅうやんさん
2015/12/08
私にとってXeonは、Coreシリーズ買うお金が無い人の救世主的な存在でしたが、
本当は過酷な条件でも正確無比な仕事をする、プロフェッショナルな製品なんですね。
今回は幸運に恵まれてレビューさせていただきました。本当に嬉しかったです。
hidechanさん
2015/12/08
CPU単体でもなかなかのスコアーが出てますね~
XeonはBCLKをいじってのオーバークロックはできるのでしょうか?
不勉強なもんで、よくわからないのですが、特に意味はなくてもOCしてしまう私的には興味深々ですw
りゅうやんさん
2015/12/08
私も超不勉強で間違っているかもですが、Xeonは基本無理だと思います。
今回初めてIntel® Processor Diagnostic Toolなるものを使ったんですが、
必ずBase Clockでコケてしまいます。Quick Testしか完走できず困っています。
vuronさん
2015/12/08
BIOSはフラッシュメモリを挿して認識できてる状態で
F12キーを押下するとSSが撮れた気がします。
(ご存じだとは思いますが・・・)
しかしきれいに組まれたPCでいつもうらやましく見ていますw
りゅうやんさん
2015/12/08
私はイジリー専門なので、使いこなしはまるでダメおやじです。
助かりました。うまくいったら後でコッソリ差し替えますw
カーリーさん
2015/12/08
りゅうやんさん
2015/12/08
勿論それが言いたいがためにダッシュしたんですw
りゅうやんさん
2015/12/09
すばらしいネタをありがとうございます
詳細はレビューの方に追記させていただきます
hidechanさん
2015/12/09
さらにパワーアップできそうですね^^