「六一○ハップ」と書いてそう呼ぶ。
簡単に言えば、硫黄と石灰が主成分の入浴剤である。
入浴剤とはいえ「医薬品」扱いであり、ドラッグストアなどの入浴剤コーナーで買うことができた。風呂のお湯に少量の原液を混ぜるだけで、硫黄の香りがする白濁したお湯となり、本格的な温泉の気分が味わえる。また、非常に強い殺菌力を持つため、水虫やタムシ、湿疹、あせもなど、様々な皮膚症状に絶大な効果があり、湿布剤として使うこともできる。その効果の高さゆえ、何十年も使い続けている根強いファンも多い。
私も子供の頃からかなり酷いアトピー性皮膚炎に悩まされており、元々敏感肌なため、あせもや湿疹ができやすい。皮膚科に行ってステロイド軟膏を初めとして色々な薬を試したが、一時的には良くなってもすぐに再発してますます症状が悪化する、そんな悪循環を繰り返していた。そのため、入浴剤に突破口を見いだせないかとドラッグストアで物色していたとき、偶然これを見つけて試すことにしたのである。
効果は絶大だった。一度ムトウハップのお湯に入ると、あせもや湿疹といった軽い症状はすぐになくなり、アトピー特有のかゆみも、しばらくの間は劇的に和らぐのである。再び症状が出ても、少し濃いめに作った溶液を患部に塗っていたら、ほとんど症状が出なくなってしまった。今までどんな薬でも、使うのをやめた途端にすぐに再発していたのに、ムトウハップの場合は1度の処置で2週間~1ヶ月は症状が再発しないのである。毎日掻き続けて象の肌のように分厚くなってしまった首や背中の皮膚がみるみる改善し、気が付いたら全く普通のきれいな肌に戻っていた。
当然、アトピーの治療や予防のために、定期的にムトウハップのお湯に入ることになった。
また、裏技として、皮膚が分厚く硬くなり、ひび割れしてしまったような「かかと」も、風呂上がりにムトウハップの原液を付けた軽石でこすることによって、まるで消しゴムのカスのようにボロボロと角質が剥がれ落ち、きれいなつるっとしたかかとになるのである。
しかし、このムトウハップを使った硫化水素自殺が多発し社会問題になったことで、日本チェーンドラッグストア協会がムトウハップの販売を自粛するよう呼びかけたため、全国の店頭からムトウハップが消えてしまった。
騒動が一段落した後、協会は自粛要請を解除したのだが、その通達が全国のドラッグストアに上手く伝わらなかったため、販売再開がなされないままとなった。その結果、メーカーである武藤鉦製薬は全国から返品された在庫を抱えることとなり、製造中止を余儀なくされた。そのため、現在は入手が非常に困難となっている。
一部の心ない人間のために、ムトウハップの恩恵を受けていた多くの人たちが被害を被ることになった一連の経緯については憤りを禁じ得ない。現在、製造販売再開を望む愛用者たちを中心に署名活動などが行われているが、先行きは不透明なままである。
何とか復活して欲しい。今はまだ買い置きしていた分が残っているので何とかしのいでいるが、底を突いたらまたアトピーが悪化してしまう。最悪の場合は湯の素や湯ノ花などで代用してみようかと思うが、効果の程は不明だ。やっぱりムトウハップが欲しい・・・・。
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購入金額
472円
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購入日
不明
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購入場所
近くのドラッグストア
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