所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。才能と才能が出逢うとき、思いも掛けない煌めきを魅せることがあります。辣腕プロデューサーでもあるギタリストと、超ハイテクニックをもつバンドの出逢いが創り出した奇跡の作品をご紹介します。
Dirty Loops。北欧はスウェーデンのテクニカルバンド。メンバーは歌えるキーボーディストJonah Nilsson、ベーシストのHenrik Linder、ドラマーがAron Mellergårdh。3人は欧州最古の音楽学校ソードラ・ラテン音楽学校から、スウェーデン王立音楽アカデミーに進んだ正統派ではあるが、各メンバーそれぞれ音楽的逸話を持つ。Jonahは、高校生からプロミュージシャンとして活動し、さらに他アーティストのプロデュースも手がける。歌声は故Quincy Jonesから「唯一無二」と絶賛を受けるなど才能のかたまり。Henrikは16歳からセッションを始め、レコーディングにも数多く参加。ピアノや管楽器の経験で培ったメロディアスなプレイが特徴。日本のフュージョンにも精通し、自身も弟でシンガーソングライターのEric Linderと組んでフュージョンアルバムをリリースしている。Aronは、受験した複数の音楽学校の演奏試験の全てで史上最高点を叩き出すという伝説を作ったスーパーテクニシャン。またアイデアマンで、デビュー時に様々な有名曲をリアレンジしカバーして、その曲をネットで流すと言う企画は彼発案らしい(そのうち、Lady Gagaのデビュー作「Just Dance」のカバーで人気に火が付いた)。
寡作なため、2014年のデビューなのにアルバム(EP含む)がまだ3枚。特に近年はライヴ中心になっていて、2024年のEP“Beagle”の前が2020年にデビュー以来6年ぶりにリリースした“Phoenix”という状態。
しかし、実は2021年にもう一枚幻の作品をリリースしている。
それが、アメリカの敏腕プロデューサーで、ファンクバンドVulfpeckにも参加していたギタリストでもあるCory Wongと組んでリリースした本作“Turbo”。
カバー1曲を除いて全てDirty LoopsとCory Wong共作(一部、さらに参加ミュージシャンが作曲陣としてクレジットされた曲もある)。二つの才能(もしくは4人の才能)とバックボーンがぶつかり合った快作となっている。
「Follow The Light」。Jonahの粘りと伸びが両立した美声が聴けるファンキィな曲。共作だが、クレジットはDirty Loops⇒Cory Wongの順なので、きっとDirty Loopsが主となって創った物(他に共作者として、Dave BarnesとTineke Melkebeekが挙げられている)。Jonahのソウルフルな歌声を支えるのは、HenrikとAronの超絶タイトリズムにキレとスピード感あるCoryのカッティングギター。さらにこの作品全曲通して5管のホーン隊が入っているのだが、生管楽器は流石ノリが違う。この曲ではHenrikがライトハンド奏法を駆使してCoryとのハイスピードユニゾンをキメるようなテクニカルファンクなのだが、出色はソロがベースソロな事。ベースとは思えない音色に加工された音での強烈な導入⇒スラップをフレーズ挟んで⇒リズムを崩した変態フレーズと続く。MVでは変態フレーズ部分でバリトンサックスのGrace Kellyが顔をしかめて苦笑いしているカットが挟まれているのが楽しい。
2曲目の「Turbo」もファンキィな曲なのだが、こちらはクレジットがCory Wong⇒Dirty Loopsの順なので(他にホーン隊でトロンボーン吹いているMichael Nelson)、たぶんCory主導の曲。こちらはファンキィというところは同じだが、明るいアメリカンファンク。インストナンバーで、かなりホーン隊フィーチャリング。テーマ終わってフラジオ音域まで使ったテナーサックスソロはPrinceのホーン隊で活躍したKenni Holmen。中間部にAronのドラムビートにCoryのギターのカッティングが加わり、形作られたリズムに載せてソロを執るのはやはりHenrik。ただこちらは「Follow The Light」のように音色や変態フレーズで攻めるのではなく、メロディアスなラインとパーカッシヴなスラップを組み合わせた正統派ソロ。...と言ってもロータリーダブルプル奏法もキメているがw
そして定番の?カバー曲はMichael Jacksonの「Thriller」。パッと聴き、シンベのようなブリブリな音で曲を支えるHenrikのベースラインと、タイトなのに饒舌なAronのドラムフレーズが絡み、Jonahのソウルフルな歌声を支える。Jonah、本当にいい声、Michaelに負けていない。中間部の曲調が暗く不気味になる部分では、ホーン隊の大半が楽器を持ち替え曲調に合わせる。つか、Double Bell Euphoniumが演奏されているところなんか、はじめてみたワw
全7曲ではあるものの、他の曲もみっちりと聴き所が詰まった作品で、飽きさせない..というか烏着る暇がない。
なお本作、現在は配信もしくはダウンロード販売のみ。ただリリース時にごくわずかアナログ盤がつくられており、それを入手したので、登録品はアナログ盤。

かなり希少なアナログ盤。最近DL販売中心で最初だけ盤をプレスするというのも多くなった。

A面4曲、B面に至っては3曲なので、かなり余裕のあるカット。
元々寡作なDirty Loopsなので、Coryとのコラボも現在のところこれっきりなのだが、ぜひもう一度組んで欲しい相性抜群のコラボでした。
【収録曲】
Side A
1. Follow The Light
2. Turbo
3. Ring Of Saturn
4. Hardtop
Side B
1. Hästråtta
2. Thriller
3. Zap
「Follow The Light」
「Turbo」
「Thriller」
曲と演奏のレベルが高い
全体としては「ハイテクニックファンキィチューン」でまとめられるのだが、欧州的な昏いインテリファンクあり、底抜けに明るいフメリカンファンクあり、さらには硬い音のデジタルファンク、クロさ際立つソウルファンクと様々な“ファンキィ”な楽曲が、超絶レベルの演奏で綴られる。必聴。
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購入金額
20,000円
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購入日
2025年11月02日
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購入場所
ヤフオク!
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