三島屋変調百物語シリーズ八巻目。
聞き手を引き継いで、遂に三巻目になります。
ネタバレになる可能性もありますので、気になる方は、そっと閉じて頂けると幸いです。
今回収録されているのは、三つのお話。
実は、皆さんが良く知っているような設定を用いているのですけれども、そこは宮部みゆきさんの筆力によって、オリジナリティがある上で、それぞれ趣が異なっているのが興味深いです。
一話目は、千と千尋の神隠しのような舞台立てです。
あちらとは違って、メインが賭場と宿場という筋立て。
小さな村落の氏神の賽子の神様が、他の神々をもてなす事で、小さな社の神様にも関わらず、御利益を齎してくれる。
そんな村では社に間借りするように虻の神様が密かに祀られ、妬みや恨みなどを引き受けてくれると信じられ、というお話。
呪われた姉を救いたくて此岸にあるという神様の賭場へと連れ去られてしまう語り手。
そこは、千と千尋の神隠しのような雰囲気ではありますけれども、もう少しドロドロとした雰囲気ですし、語り手を連れ去った呪いも、あっちの表現と違ってグロテスクです。
食事前に読むのは厳しいかもw
二話目は、日本昔話のようなお話です。
気立ても良く、腕もよい渡し守は、川に棲む水神様に気に入られます。
見初めた水神は土鍋の中の女房となって渡し守の家にやってきて、そして、彼にまつわる女性に嫉妬して、ついには棲み処の川へと連れ去ってしまいます。
遠い昔の例の番組のナレーションが似合いそうなお話。
三話目は、うって変わってバイオハザードのようなお話。
東北の小藩の山深くの村で、古くから言い伝えられる、冬に極端な寒気とともに現れる「ひとでなし」なる化け物。
身体は朽ち、腐り、目も白濁して、もはや動く屍と化して、人間を喰おうと襲い、喰われた人も「ひとでなし」となる怪異。
村の外れにある池が発生源だと思っていたら……。
「ひとでなし」は、怪異ではなく、被害者で元凶は別の化け物、という展開。
元凶と対峙するも、逃げ出すしかなかった人々は、更に、逃げた故の代償を払って寿命を減らす。
なんとも、救いの少ないお話かもしれません。
三つのお話自体は、割と映画やアニメ、ゲームなどで取り上げられている題材を元にしてはいますけれども。
宮部みゆきさんの世界観で読むと、新鮮で怖い、という不思議。
続刊が待たれますね。
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購入金額
1,035円
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購入日
2024年06月頃
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購入場所
楽天ブックス
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