ご存じの方も多いと思いますが、クイーンのヴォーカルにして中心となっていたフレディ・マーキュリーは1991年11月に亡くなっていて、その後残された音源やソロ曲の音源などを活用したアルバム「Made in Heaven」（1995年）の収録楽曲が4人が揃った最後の作品群といわれていました。

1997年にフレディを除くメンバーにより「No-One but You (Only the Good Die Young)」という楽曲が発表され、この曲を最後にベースを担当していたジョン・ディーコンが音楽業界から引退してしまい、クイーンとして活動するメンバーは2人となってしまっていました。つまり、仮にフレディの未発表音源が発掘されたとしても、アルバム「Made in Heaven」のようなメンバー「4人」による作品はリリースされることはもう無いと思われていた訳です。

それだけに2022年になってオリジナルメンバーによる楽曲が発表されるというインパクトは大きなものがあったのです。この曲「Face It Alone」のデジタルリリースは10月13日に開始されており、既にYouTubeに公開も開始されていますので、そちらを紹介しておきましょう。

楽曲としては「アルバムの中の1曲」としてはアリかな、という感覚です。「The Miracle」に収録されなかったのが理解出来なくもありませんが、収録されていても良かったかな、という程度の感想です。

「The Miracle」の制作時に、フレディは既にHIVへの感染を自覚していたといわれていますが、この当時はまだ体調はそこまで深刻な状況ではなく、むしろ音楽に没頭した結果として充実した作品となっていました。恐らくこの曲が次作「Innuendo」制作時のものであれば、「Innuendo」か前述の「Made in Heaven」に収録されて発表されていたのではないというくらいにはきちんと作り込まれた楽曲です。楽曲の出来は動画の方でご確認下さい。

さて、7”EPについても少し触れておきますが、さすがに収録曲は「Face It Alone」の1曲のみとなります。

B面には「Face It Alone」のヴォーカル無し版が収録されているのですが…。

「Face It Alone KARAOKE VERSION」と記載されているのです。日本では「Instrumental」「Less Vocal」などと表記され、あまり「カラオケ」と表記されることは多くないのですが、輸入盤で「カラオケ」という表記を目にするのも面白いところです。

なお、このレコードは7インチ45rpmという一般的なドーナッツ盤の仕様なのですが、何故かスピンドル穴は12インチのレコードと同様でEP独特のくり抜きはありません。この形状はレコードスタビライザーを使えるというメリットがある一方で、ちょっと持ちにくいという弱点があります。