本の蟲。
実は結構読書家で、特に若い頃は乱読しました。
ジャンル的にはSF~ファンタジー~ミステリなどからコミックまでイロイロ。
3桁では収まらない蔵書の中からトピックをご紹介していきます。
昨日ご紹介したメルヘン・メドヘン
の設定を使って、なろう系を中心とした若手作家が、「ヘクセンナハト」参加の各国魔法学校にフォーカスを当てて書いたスピンオフ作品「メルヘン・メドヘン フェスト ~魔法少女たちの前日譚~」(Amazonではメルヘン・メドヘン「5」となっているけれど、これは間違いで、正伝ではない)。
取り上げられたのはインド校、ドイツ校、イギリス校。正伝では、インド校とイギリス校は魔法のトーナメント戦である「ヘクセンナハト」では日本校とあたらなかった学園で、魅力的なキャラクター(特にリーダー)はお話しに絡んではくるものの、どうしても枝葉となってしまって、あまり「動いて」いなかった。ドイツ校は日本校と決勝戦(第三夜)で対戦するものの、第三夜の話の中心はどちらかと言えばアメリカ校の解き放った魔法獣(フレック)=「暴食(グラー)」との戦闘で、それに取り込まれたアガーテは、深く描かれなかった。また、それまでのストーリーでも「十三人委員会」側の憲兵っぽく描かれていた事もあり、まるで敵のような扱いにもなっていたが、ここでは「そうでない面」が描かれている。
まずインド校の「商人とお姫様」。インド校は、原書「ラーマーヤナ」を持つマハーカーリーがリーダーを勤めるが、彼女はカリスマ性を持つ美少女で、博愛主義。「姫様」はインド校=パドマ魔法学校の空き教室をぶち抜いて自前のサロンを造り、お気に入りの美少女を集め、まるでハーレムのようにしている。そのマハーカーリーに憧れ、一応その「後宮」に名を連ねるのが、原書「千夜一夜」と契約しているやり手商人の娘ラヴェーナ。マハーカーリーに「商人」と呼ばれるラヴェーナは、自分は褒められた容姿でもなければ、歌や踊りで姫様を楽しませることも出来ないので、自分の商人としての物資調達能力が認められて、側に置いてもらえているのだと思っている。そのため、姫様に仕え、有用なヤツだと思ってもらえるように日々励んでいる。
そんな彼女たちが「ヘクセンナハト」に出ることになったが、そのときマハーカーリーの顔によぎるわずかな影をラヴェーナは見逃さなかった。それを払うべく、様々な手法で主を楽しませようとする後宮の少女達。ラヴェーナも、柄にもなく?猫耳メイド衣装で登場し、マハーカーリーを興がらせるが、主人の影を払うことは出来なかった。主人の浮かない顔の原因を問いただすと、ヘクセンナハトの先に深い闇が広がっているのを感じているらしい。「ヘクセンナハトの失敗の後で、妾は破滅するのかもしれん」そうマハーカーリーから発せられた言葉を聴いたラヴェーナは、インド校の中では補佐役に徹っし口外するつもりがなかった秘めていた感情を、想いの丈をマハーカーリーにぶつけてしまう。それに応えたマハーカーリーの言葉は...
著者はなろう系作家伊瀬ネキセ。
第二話は、最強集団ドイツ校の日常を、同じくなろう系作家斧名田マニマニが描く「恋する少女たちとカーネヴァルの夜」。
貧乏な両親から「売られる」形で魔法学校で学ばされることになったヒルデガルド。彼女の願いは、「ヘクセンナハト」に勝って、両親と再び暮らすこと。そのためにはリーダーであるアガーテにしっかりしてもらわなければならない。アガーテの契約する原書は「魔弾の射手」。「第七の魔弾」は一番大切な人を傷つけるという呪いを持つため、親しい友人が出来ない(作らない)アガーテだが、年頃の少女らしく、謝肉祭(カーネヴァル)の仮装ダンスパーティーにも興味がある。自分にはダンスパートナーも友達もいないから...と意気消沈するアガーテに、リーダーとしてしっかりしてもらい、ヘクセンナハトに勝利するため、アガーテはパートナーになる提案をする。共に仮装衣装を作り、パーティに備える過程で、二人の仲は徐々に親密になっていく。完成した衣装を着てカーネヴァルに行こうと約束する二人だが、ちょうど謝肉祭当夜、運悪く郊外で「シミ」が発生して....
最強校のリーダーでさらに最終戦での日本校の相手、「十三人委員会」の意志を遂行する側として静が査問を受ける際の警備をしたり、第三夜では魔法獣に取り込まれ、メドヘンたちの最大の敵になったりと、どちらかと言えば「敵ポジション」で描かれたアガーテの、「人としての側面」を描いた作品。
第三話は、 イギリス校のエピソード「円卓ティータイムは剣と魔法の後で」。著者は慶野由志。
イギリス校のリーダー、アーサー・ペンドラゴンは人間と妖精のハーフで、10歳まで森の中でずっと動物と暮らしていた。そのため、浮き世離れしていて、動物と心を通わせ合う事ができたり、すぐ裸になったりする。ただ原書「アーサー王伝説(ブリタニア列王史)」の力は絶大で、メンバーからは「王」と呼ばれている。
そのアーサーのお世話をするのが、「マザーグース」と契約するマーリン。アーサーは森で発見され、ペンドラゴン家の養子になったので、マーリンは義姉でもあるのだが、伝説により王を扶ける魔術師として期待される「マーリン」の重圧に押しつぶされそうな心をアーサーが瞬時に理解し、解放したため彼女に心酔している。強力ながらも癖の強い他のイギリス校のメンバーをまとめ上げ、王を勝利に導くのが自分のつとめだと思っている。
(能力的にも感覚的にも)人間離れしているアーサーにメンバーはなかなか従わない。アーサーも特にそれを解決しようともしないため、バラバラになっているイギリス校。そのうち、(人間的な意味で)空気が読めないアーサーの言動に感情を逆なでされたメンバーと、ついに対決することになるアーサー。なぜか自分も戦うことになっていて頭を抱えるマーリン。
対戦の時がやってきたが、アーサーはメンバーを次々と撃破し心酔させて従わせていく。最後に残ったマーリンも、今はアーサーに想いの丈全てをぶつけてみようと思っている。ついに始まった死力を尽くした戦い。その果てにアーサーがマーリンにかけた言葉とは...?
ラストの日本校のお話し、「月で逢いましょう」だけが、本編原作の創作集団Story Worksに属する門田祐一の筆で、他とはニュアンスが異なる(尺も短い)。メルヘン・メドヘン第1巻の直前、静が葉月に逢うまでの様子が描かれる。どのような予言を受け、「こちらの世界」でメンバーを探していたのか、葉月との関わり(伏線)も明かされる。
あ、あとなぜ静がハンバーガー店に(ry
いずれのお話しもメルヘン・メドヘン本編の前日譚の形だが、あくまで枝葉のストーリーなので、読む順序としてはこちらが後が良い。そして読後もう一度本編に戻れば、登場人物に立体感が出てくる...そんな効果のあるスピンオフ作品です。
あ、あとカントク画伯の絵は相変わらずエr...尊い。
第一章:インド校「商人とお姫様」(伊藤ネキセ)
第二章:ドイツ校「恋する少女たちとカーネヴァルの夜」(斧名田マニマニ)
第三章:イギリス校「円卓ティータイムは剣と魔法の後で」(慶野由志)
エピローグ:日本校「月で逢いましょう」(門田祐一-Story Works-)
このお話、登場人物9割以上女性なので「高い」
最後の「月で逢いましょう」以外は、全て各校のリーダーとサブポジションの娘の物語。どうしても日本校の対戦相手としての描写が多くなり、日常回でもリーダーくらいしか詳細な描写がない各校の日常を掘り下げたサブストーリー。
そんで、全て女子校なので....
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購入金額
3,100円
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購入日
2018年02月26日
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購入場所
ヤフオク!
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