リチウムイオン(Li-ion)バッテリーの直列セル間の電圧差を解消するためのバランサーモジュールです。
#パワーウォール #powerwall
こちらを改造して作りました。
改造のポイント
- 放電用の抵抗を追加。オリジナルは620Ωが1個だったところ100Ωを2個追加。
- 100Ωの内1本は、ジャンパによって切り離し可能とした。
バンクの電圧とバランスのための電流の組み合わせによっては、制御ICによってバランス動作が間欠的になるようなので、そのことを調査したいため。 - いわば発熱させるための装置なので、元のバランサー基板と新設の抵抗はユニバーサル基板から浮かせて実装した。
その効果は気休め程度かも知れないが、少しでも放熱効率アップを期待したい。さらなる放熱が必要な場合はファンの増設を検討する。 - バランス用の電流の経路にLEDを挿入してバランス動作中のバンクでに対応するLEDが点灯できるようにした。LEDとその電流制限抵抗もあわせてバランス放電用の抵抗となる。
- 渡り用のコネクタを設け、市販の簡易電圧モニタを接続できるようにした。
- バランス動作する電圧はオリジナルのモジュールと同じで、並列バンクの電圧が 4.200±0.025Vに達した時バランス動作を開始(4.20V以上で放電抵抗への回路をON)し、 4.190±0.035V になるまで継続します。
期待する効果
バランスのための電流が 暫定的な実測で 約3.7mA → 110mA となり、これでより短時間にバランス動作が完了するようなるはずです。
見かけのバッテリー容量を充実するために
バランサーの目的は、直列につながった並列バンク(複数並列接続したLi-ionセル)どうしの電圧差を解消すること(バランスを取る)です。
バランスが取れるとアレイの論理的な充電終止電圧近くまで充電できるようになります。
具体的には、もしバランスが取れていない場合、充電の過程でバンクのどれかが充電終止電圧に達した時点でBMSがそれを検知して、他のバンクはまだ充電できる余裕があるのに充電が終了します。
放電時にも同様に、最も早く放電終止電圧に達したバンクに合わせてアレイ全体の放電が終了します。アレイ全体として論理的な充電終止電圧よりも低い電圧までしか充電できなかったり、論理的な放電終止電圧よりも高い電圧までしか放電できなかったり、つまり、見かけのバッテリー容量が少なくなるということです。
反対に、バランスが取れていれば、論理的な充電終止電圧近くから放電終止電圧近くまで広い電圧範囲で充放電が可能となり、アレイの見かけのバッテリー容量が増加することになります。
課題
今回バランサーを強化したことで、バランスがよく取れるようになり、みかけのバッテリー容量は増加するはずです。
それは、アレイの充電終止電圧近傍で 満充電→バランス動作 を繰り返すことでしだいに並列バンク間の電圧差が少なくなっていくという動作により実現します。
ところが、いったん充電終止電圧あたりでバランスが取れるようになったアレイも、充電終止電圧と放電終止電圧との間で充放電を繰り返すと、バランスが失われた状態に戻るのではないかと懸念しています。バンクごとに充放電能力が異なるために生じるかもしれない事態ですが、それがどの程度のものか今後の課題として検証していきます。
とはいえ、充電終止電圧と放電終止電圧との両端ギリギリまで使うような使い方はバッテリには優しくないので、バランス動作によって各並列バンクの動作範囲を揃えた上で、残量%で表すと、上下端を避けて、90%~10%くらいの範囲で使用するのが良いような気もします。
部品面
ハンダ面
1回路分をPCBに則して描くとこんな感じです。これが7並列分あります。
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購入金額
0円
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購入日
2017年09月26日
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購入場所
DIY
aPieceOfSomethingさん
2017/09/27
とうとう改造基板の登場ですね。
元のバランス基板を活かしてうまくまとまっているなぁと思いました。
ちばとどさんのレビューを読んで、電圧バランスの崩れはセル間の充電容量のばらつきが蓄積してゆくような感じなのかなと思いました。
今回のようなバランサーを使うことで蓄積した差をリセットするような感じでしょうか?
ちばとどさん
2017/09/28
> 充電容量のばらつきが蓄積してゆくような感じなのか
そのとおりだと思います。
バランサーがなかったらどうなるかということですが・・・
直列接続したセルで、充電したとき電圧が上がりやすいセルはいつも早く満充電に達するのに対して、そうでないセルは充電未了のまま充電フェースが終わります。電力を消費(放電)フェーズでどのセルも一定電圧消費したとして、次に充電フェーズに移る時点で すでに充電したとき電圧が上がりやすいセルの電圧はすでに他より高く、このまま充電を行うと電圧が上がりやすいセルは開始時点での差に加えて自身が早く満充電になるのでセルの差はますます大きくなります。
放電フェーズでも、実は、同じ電力を放電しても電圧の下がりにくいセルとそうでないセルがあって、この場面でもセル間の差は広がります。
良好なセルは 充電したとき電圧が上がりやすく放電したとき電圧が下がりにくく、そうでないセルは逆の傾向(上がりにくい、下がりやすい)なので、セルどうしで打ち消し合うこともありません。
なので、この差は累積していって、いつかアレイは全体として充放電できなくなるのかもしれません。
・・・と考察してみましたが、書くと長くなりますね ww
> リセットするような感じ?
バランサーは差を解消するという意味でリセットと言えるかもしれませんが、ある時点にまとめて動作一発で機能するというものではなくて、日々コツコツ働く感じです。
元の基板の機能をほぼ利用して意図に近いものが実現できたので助かりました。