レビューメディア「ジグソー」

ありがたくもお送りいただいたバッテリーパックからも 回収は続く

atsuo@tokyoさん がご提供くださったバッテリーパックです。

さっそく中身の18650セルを利用すべく取り出しました。

 

 

分解前

 

 

事前に頂いた情報では、このパックは、自転車本体が不調となって自転車を処分した際にパックだけ保管してあったもので、充電残量も3/4あるとのことでした。

また、自転車の使用頻度は週に数回近所乗り、充電は数週間に1回ほどとのことなので、ほぼ劣化はなくまだバッテリーパックとして十分使用できる状態ではないかと思われました。

 

このバッテリーパックは、[押] ボタンの押し方と4個のLEDの表示で状態を知ることができます。試したところ、こんな結果でした。

  • 1回押す → バッテリー残量:3つ点灯 = 75% の残量あり
  • 長押し20秒 → 既実施の充電回数: 1つ点灯 = 51~100回
  • 離さずもう10秒押し → 実力容量:4つ点灯 = 100~75パーセント

パックの底面に自転車や充電器と接続するコネクターがあります。

5極のうち両端が電力線となっていて、中の基板が正常な場合、電池部分と直結の状態となっています。

(基板が故障しているとか、ヒューズが切れているとか、なんらかのトラブル経緯がある場合は、コネクターとバッテリーセルの接続は遮断されていることがあるので外部からは測定できません。)

 

 

実測したところ、26.6Vありました。

パックの型番や定格表示から、中身は18650セル 4並列 x 7直列ということはわかっています。

直列1段分にすると、3.8V 充電されていることになります。

 

リチウムイオン(Li-ion)バッテリーは、放電する際3.0Vを下限とし(放電終止電圧)、充電する際4.2Vを上限とする(充電終止電圧)ことになっています。3.8Vは、その中間よりも少し高い電圧なので、パックとして26.6Vという測定結果と、LEDの表示とはおよそ合っています。

しかも、Li-ion バッテリーは、満充電や空状態で長期間保管すると劣化が進むことが知られていて、このパックは程よく充電されている理想的な保管状態であったことがわかります。

 

 

分解

 

こんな道具立てで分解していきます。

 

 

ネジを外し、

 

爪を外すと、

 

 

プラ素材の袋にくるまれた 塊が現れます。

 

 

袋を外すとこんな感じです。

 

 

基板のユニットを外します。

 

基板からはバッテリーパックの外部へ接続される線が5本出ていてそのうちの2本が電力線です。

あと3本はおそらく通信用の線で、パック内のマイコンと自転車や充電器のコントローラとが通信しているようです。

基板は基本的にBMS(各セル(直列各段)の電圧を常時監視して、充放電の規制をするしくみ)の機能を持つようですが、独自に残量や回数の管理なども行っているようです。

 

また、温度センサーが2個、温度ヒューズが1個、電流ヒューズが1個あったり、基板全体がシリコン材(?)で覆われていて安全対策がよく行われているという印象です。

 

 

 

セルの電極を外します。ココが一番たいへんです。

 

 

触れて感電するような電圧ではありませんがそれでもちょっと怖いです。うっかり極どうしをショートさせると火花がでます。もしもショート状態が持続すると電極材が溶けます。

なので、プラ製のヘラなどでよく防護して進めます。
スポット溶接された電極を外す時は、コンビーフの缶を開けるときの要領(?)で巻き取って剥がすようにします。あまり縦方向に引っ張ると、バッテリーを傷めてしまいます。

 

 

 

上下両面の電極を除去すると、バッテリーの内ケースを外すことができます。

 

 

28本のセルの取り出しができました。

電極の残りカスをていねいに取り除いておきます。

 

 

このセルには、メーカーや型番の刻印や表示がありませんが、容量の実測や、シュリンクや正極リングの色と資料や実績から推測するに、Sanyo/Panasonic の 定格容量2000mAh のセルだと思われます。

 

18650図鑑:

 https://docs.google.com/spreadsheets/d/1fYjDxxCJXfm2wdpGWCaOUGq8V8TOEgsnplHQa4YQpRQ/htmlview

 

 

検証

続いて、バッテリーの残存能力をセルごとにチェックします。

 

 

現在チェック中ですが、どのセルも 1900mAh 以上ありそうです。また内部抵抗もおおむね100mΩ以下です。

 

定格2000mAh に対して、実測容量が1900mAhあるということは、約95%の実力が残存しているということであり、内部抵抗は新品時の理想値は80mΩ以下とされているので、今回取り出したセルは再利用するには理想的な状態と言えます。

 

容量 1900mAh の Li-ion 18650セル 28本 の総電力容量は、約190Wh です。

これは家庭の居室1部屋分の照明には十分な出力です。毎日充放電を繰り返してどのくらいで寿命がおとずれるのか、2~3年は利用したいところですが、どうなることかまだわからない部分が多いです。

 

ちなみに、Li-ion セルの容量の寿命範囲は、新品時の100%(数%超える場合もある)から、75%~50%までです。下限に開きがあるのは、使用する負荷によって異なるようで、負荷がモーターなどの場合は、使用下限は比較的高く、負荷が照明や熱源のが場合は使用下限が低く設定されるのではないかと思います。50%を下回る頃には、内部抵抗も増加し、電力の吸い込み/吐き出しの反応(正式な用語があるかもしれません)がとても悪くなるようです。

 

 

 

このバッテリーパックは、前回かその前、セル取り出しの模様をレビューさせていただいた際に、atsuo@tokyoさん から廃棄予定のバッテリーパックをお送りいただけるとのお話をいただき、お言葉に甘えてお願いし、早々にお送りいただいたモノです。

 

こちらの自転車で使われていたそうです。 

 

 

セル以外(ケース、内ケース、基板+コネクター、剥がした電極、ネジ、プラ袋)は再利用できないので、資源としてもったいない気はしますが、廃棄させていただきます。(あ、ネジと内ケースはあとで何かに使えそうかな。基板には金が、電極材にはニッケルが・・・)

 

 

 

「なんだか魚をおろすのと似てるなぁ」

魚はきれいにおろさないとおいしい切り身が取れないし、バッテリーパックは分解時にセルを傷つけると使えなくなってしまうし。

・・・ バッテリーパックからセルを回収する作業をするたびに思います。 

 

 

この後

少なくとも280本1組のバッテリーアレイに組み上げたいと思っています。

一気に560本と行きたいところですが、コツコツ進めることにします。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2017年04月27日

  • 購入場所

    atsuo@tokyoさん

24人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (10)

  • atsuo@tokyoさん

    2017/05/02

    しっかり使えるモノの様でなによりでした(^^
    満充電後 2,3回乗ったところで自転車の電源が入らなくなったのも、偶然程よい放電具合でしたかね。

    セルが集まった後のパワーウォール?も楽しみにしています(^^
  • ちばとどさん

    2017/05/02

    atsuo@tokyo さん、

    このたびは、快くお送りいただきありがとうございました。理想的な素材でした。
    有効に活用させていただきます!
    他に収集したセルと組み合わせて、蓄電の仕組み = マイ・パワーウォール を作っていきます。
    まずは自家用ですが、災害用とか電気に不自由な国用とか いつか役に立ててもらえる日が来ることを密かに目指してるんですよ。
  • いぐなっちさん

    2017/05/02

    傍らにショットガンを置いたら似合いそうな画像ですね
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