バッテリー充放電器です。
リチウムイオン(Li-ion)の18650 だけでなく、ニッケル水素(Ni-HM)/ニッケルカドミウム(Ni-Cd) の単3・単4 などにも対応しています。
BT-C3100や似た型番の充放電器についての記事や動画が2013年頃から見られるので、この製品は改良を重ねたロングセラー製品なのではないかと思います。
購入時、US 仕様を選択すると、日本の100Vコンセントに合った100-240V対応のACアダプターが付属するセットが入手できます。
[マニュアル]
単純な充電だけでなく、Ni-HM/NiCd のリフレッシュ機能(メモリ効果で充電量の少なくなったセルに充放電を自動的に繰り返して改善する)や、電池の充電容量や内部抵抗を測定する機能もあります。
4本のスロットがあり、一斉に同じモードで動作をさせることも、それぞれ単独に動作させることもできます。
スロットの負極はスプリング式のクリップになっていてサイズの異なる電池に柔軟に対応しています。
特に今回は、収集中の18650電池の充電容量と内部抵抗の検証のために導入しました。
充電容量:蓄積できるエネルギー量です。仕様に近い値が得られるほど劣化が少ないと言えます
内部抵抗:電池の内部の抵抗成分です。大きすぎると蓄電効率が低下し、発熱の原因にもなります。100mΩ 以下が理想ですが、リサイクル品で作るアレイではもう少し緩やかに扱ってもよいかなと思っています。
検証の進め方
[CHARGE TEST]モードを使用すると 充電 ⇨ 放電(容量を測定)⇨ 充電 の順に自動的に進み、そのセルの実際の電池容量(mAh)が取得でき、満充電の状態で終了します。
電池容量の取得は、いったん満充電してから放電時の電流量を測定して取得するしくみです。
充電終止電圧は、4.2V、放電終止電圧は2.8Vです。
充放電を0.5C(定格に対して半分の電流を流すということ) で行うので、少なくとも1フェーズ約2~3時間、全工程では6~9時間以上かかる計算になります。そのため、別の装置で予備充電と事後の充電を行う工夫をした方がよさそうです。
[CHARGE TEST]終了後、手動で[QUICK TEST]モードにして内部抵抗を測定します。
内部抵抗は、満充電時に測定するのがより正確だからです。
検証の方法
① 前もって、別の充電器で満充電にする。
(BT-C3100でも充電できるが、時間効率アップのため)
② [SLOT]ボタンでスロットを選択、
[MODE]ボタンで[CHARGE TEST]モードを選択して電池を挿入、
[CURRENT]ボタンで電流値を選ぶ。
自動的に[CHARGE TEST]の工程が始まります。
電流値は、挿入した電池種類をBT-C3100が判定して許容された値しか選択できないようになっていて、安全です。
今回扱う18650の定格は、だいたい2000mAh前後なので、0.5Cで充放電させるために1000mA を選択します。
[DISPLAY]ボタンで mA(リアルタイムの電流)、mAh(放電容量)、h(所要時間)、V(電圧)の表示ができます。
③ 工程が終了すると、そのスロットの表示が「Full」となります。
[DISPLAY]ボタンで mAh(電池容量=実際に放電した積算電流値)が確認できます。
電池を満充電で保存する必要がない場合は、(Li-ion電池の保管は、50%くらいの充電量にしておくのが電池の劣化が少ないといわれる)mAhが表示され容量測定が終了後、充電中に電圧が3.6~3.7VくらいになったらBT-C3100から電池を抜き取ることにします。(その場合、内部抵抗の測定[QUICK TEST]は、予備充電を行ない、[CHARGE TEST]の開始時に行ないます。)
④ [MODE]ボタンで[QUICK TEST]モードを選択して数秒待つと内部抵抗値が表示されます。
※ バッテリーの状態によっては、充電が終止電圧の4.2Vになかなか達せず放電に移行しないことがあります。充電フェーズで3時間以上かかるようなら、一度手動で[DISCHARGE]放電し再度[CHARGE TEST]容量テストを開始するとスムーズに進む場合があります。
検証結果の傾向
・ノートPC用のバッテリーパック(新古品)から取り出した18650
▷ SANYO製(型番不明)、元のバッテリーパックの表示から 定格は2600mAhと推測されるセル
ほぼ 定格どおり または上回る充電容量があり、内部抵抗は100mΩ前後です。
・ノートPC用のバッテリーパック(ノートPCでは充電できない状態)から取り出した18650
(検証中)
▷ SANYO製(型番不明)おそらく1900mAhか2000mAh のセル
容量は減少しているし、内部抵抗も電池劣化を示していますが、一応充放電は可能です。
▷ SANYO製 UR18650Y (2000mAh・NECのPC-VP-WP104の分)
おそらく約半数以上が1000mAh以下の充電容量になっていて、予想外に劣化しています。内部抵抗は100mΩ台なのですが。
・電動自転車用のバッテリーパック(すぐに走行できなくなるか、まったく走行できない状態)から取り出した18650
(検証中)
BT-C3100の充電挙動(Li-ion)
一般に、Li-ion 電池の充電は、CC-CV (定電流ー定電圧)方式で行われます。
充電開始後、満充電の電圧(4.2V)になるまでは、一定の電流を流します(CC)。
4.2Vに達した時点で、電池には容量の87%が蓄えられています(トラ技 2011-8, p.122)。
その後、定電圧(4.2V)になるよう制御を切り替えます(CV)。そのため電流値は徐々に下がります。定電圧を一定時間継続して充電を終了します。
例えば、SANYO UR18650Y 2000mAh セルの場合、データシートによると、
「CC-CV, Std. 1330mA, 4.20V, 3.0hrs」
とあるので、4.2Vに達するまで最大1330mAを流し、達したあとは、4.2Vの定電圧で最大3時間継続する、と読めます。
BT-C3100 の場合も、CC-CV方式にしたがっているようですが、動作ポイントは独自のようです。
電流、電圧、経過時間は、動作中に[DISPLAY]ボタンを押して確認できます。
充電開始時は、設定した電流(例えば1000mA)を一定に流しています。標準的な終止電圧である 3.0Vを下回っていても充電は開始できます。
開始時はソフトスタート(徐々に電流値を増やしていく)になっていないようです。
開始からおよそ2時間後(1000mAで充電の場合)、表示を観察していると、4.07Vに達したあたりからだんだんと電流値が下がるのが確認できます。電流が下がっている間も電圧は上昇し続けます。4.20Vに達すると 電流は110~115mAあたりを上下し、電圧はこれ以上 上昇せず、しばらくすると「FULL」表示になります。
充電終了のタイミングをどのように判定しているかわかりませんが、3.0Vの電池(容量0%)を1000mAで充電するとき、全て終了するまで3時間半ほどかかっています。
1パックあたり20セル以上を並列に接続して、7パックを直列にしたバッテリーアレイを作ろうとしています。
パック内のバッテリーの性能はできるだけ揃えておいたほうがよいので、1本づつ検証して選別する作業は必須です。
検証に時間がかかるのが難点です。大量の電池を検証するには、もう1台、2台といるのか。。。
数千本の18650で蓄電システムを作っているオーストラリア人は、5、6台並べて使ってたりしてましたし。
データ付きの詳細なレビュー
http://lygte-info.dk/review/Review%20Charger%20Opus%20BT-C3100%20UK.html
購入先
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購入金額
3,550円
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購入日
2017年03月26日
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購入場所
Alixpress
aPieceOfSomethingさん
2017/08/20
仕事の話ですが数十年前に電池セルの性能を調べるのに菊水のPWX-40W-08?だったかを使っていたのを思い出しました。あれは数十万したと思いますが、このテスターは簡易型とはいえすごいですね。僕も欲しくなりました。
ちばとどさん
2017/08/20
なにげによくデキてるとおもいます。
購入してから数百本の中古セルを仕分けしました。結果NGなセルはアレイに入れてもやっぱりNGなので安定して機能しているということでしょう。
外部へ資料としてデータを出すような使い方でなければ十分な感じです。