MSIって時折だけど、奇妙な仕様の製品を発売することがある。
他社だと「なにこの変態仕様」ってのが、その奇妙な仕様に該当するけど、MSIの場合は捻り方が斜め上に行ってる事が多い。
コンデンサを全部タンタルコンデンサにした「超高耐久仕様」のマザー作ってみたり、クーラー部分が伸び縮み(ファンの数も変えられる)するグラボ作ってみたり、ラデとゲフォを積んでリンク動作出来るチップ積んだマザー作ってみたりと、どことなくだが「たまに、そういう提案通っちゃう会社なんだろうなあ」ってのが出てくる。
このマザーボード、ある意味でその「奇妙な仕様」に該当している。
Gamingと銘打って置きながら、Gamingマザーとしては「何かヘン」なのだ。
こちらが、その製品全景。
パッと見だと「普通」なんだけども、他社製品というか「自社製品」たるH170 Gaming M3と比較しても、付いてるべきものが付いてない。
そう、こいつ1xx番台のGamingマザーのくせに、M.2スロットがないのである。
Gamingマザーを使う人って、大概「新物」積みたくなる人種だから、M.2が無いってのは将来的な拡張を考慮する層にしても、積極的にこれを選ぶかと言われたら「NO」だろう。
しかもこれ、自社のM.2付きGamingマザー”M3”との価格差が殆どないどころか、逆に高いのだ。
サイドエッジに「OS上から制御可能なLEDが付いている」という特徴はあるが、見た目だけのためにこっちを選ぶというのは、正直「躊躇」という言葉しか思い浮かばない。
それでもなお、私はこっちを掴んだのは、
「手持ち最強のSSDがIntel750だから、どのみちM.2積まない」
「ビデオカード一枚しか使わない」
「搭載LANがIntel系Gaming」
「どうせ光らすならサイドエッジのほうが目立つやろ」
…という、すごく「自分以外には関係ない」理由による。
もう、最初にぶっちゃけてしまうが、このマザーボードは他人にゃ絶対にお勧めしない。
自分から選び、しかもレビュー書いといてなんだけど「刺さる人、あんまり居ない」はずだ。
「光るマザーで安価なやつがほしい」
「SSDはSATAかPCIeカード型使うからM.2要らない」
「ビデオカードは一枚しか挿さない。SLIもCFXも不要」
「過去資産なPCIカードいっぱい使いたい」
「killerでなくIntelLAN欲しい」
「フロントのUSBも3.1がほしい」
「Windows7のPCが新造したい」
上記の理由が複数個ない限り、これを選ぶべき理由は一切ない。
個人的には不満点は一個だけ(次の項で後述)だが、上記の理由がない場合は「買っても不満しか残らない」可能性が極めて高い。
あらゆる意味で誰得仕様であり、「見た目よりも地雷」である。
そんなもんレビュー書いてどうすんだと思われるかもしれないが、とりあえず続ける。
光るよ!!!!・・・・それ以外はふつー。
なんか、ハナっから酷いことばかり書いているが、ここからは良いところも書いていこうと思う。
まず、このマザーボード最大の特徴は、価格設定が安価な割にイルミネーションが付いていること。
音源回路を分離するラインには、LEDが仕込まれ光る。
マザーの右サイドエッジは全長に渡ってLEDが仕込まれており、OS側の制御でカラーや明滅パターンを変更できる。
MSI製のLEDつきビデオカードを搭載している場合、マザーとビデオカードのLEDカラーや明滅パターンは統一される仕様で、メーカーを揃えることで一体感のあるイルミネーションができる。
まー・・・・ぶっちゃけ、Riingとかつけちゃうと殆ど目立たない訳ですがね。
ウチの場合、メモリクーラーのせいで一番目立つハズのサイドエッジLEDも半分くらい正面からだと見えないです(ぉぃ)
無論、このへんは見せ方次第で変わってくるんですけど、明るい状態だとあまり目立たないです。
あと、このLED制御用のGamingAPP6だが、起動がクソ遅い。
普通に1分以上かかる時もあるので、起動してこないときは気長に待とう。
何でここに来てIOなんだと思うかもしれませんが、実はここが本製品の「キモ」の一つ。
わざわざマウスやKBのために、PS/2やUSB2.0を積んでます。
これ、要はWindows7への対応を考慮してるということ。
BIOS側の設定にも「Windows7互換動作モード」がわざわざ用意されており、7用のPCを新造しようとして、USBの対応で苦慮した人にとっては朗報だろう。
ただし、サウンド周りはWindows7だと「鳴らなかった」って情報もあるので、USBヘッドセットやDAC持ってない人は、7の導入は避けたほうがいいかもしれない。
その疑惑のサウンドがこちら。
A88X-G45 Gamingなどで採用された、シールド付きサウンド回路「AUDIO BOOST」の後継が採用されている。
前のAUDIO BOOST2では「シールド天板がねじ止め」だったが、今回の3では箱型のシールドが基盤に半田付けされた。
なお、音質についてはA88X-G45 Gamingのほうが「はっきり」してて聴き易く、S/PDIFの出力の安定性もA88X-G45のほうが上。
こっちだと、たまに192出力が44.1に落ちる。
ガラスケーブルをマザー交換時にやらかした可能性も高いんだが、S/PDIF出力使う場合は、ちょいと注意が必要かもしれない。
Intel製のGaming対応LANと、そのシールド。
チップ自体は一般向けのPHYと同じものだが、ゲーム向けに通信データへ優先を付けられるように改良されているという。
一応、LAN向けのアプリはKillerNIC同様にアプリごとの優先順位付けが可能で、速度設定はKillerNICよりも明示的になってはいる。
ASRockのようにUSBポート自体に仕掛けを施した訳ではないが、メッキ厚を当社比三倍にしたゲーミングマウス用ポートは健在。
マウス動作をコントロールするためのアプリも付属しており、ホットキーによるDPI変更(要はスナイパーモード)を実装している。
無論、ゲーミングマウス持ってる場合はそっちのアプリ使用を推奨だが、このマザー「ゲーム用マウスとKB付き」のモデルがあるので、基本的にはそちら用だろう。
ちなみに、他社のIntelマザーでもあるかは知らないが、過去にIntel純正マザーボードに付属していたIntelXTUが知らないうちに復活していた。
システム構成やOC設定、負荷テストにCPU温度などの状態表記からグラフ表示まで、単体で一気に行えるという優れモノなツールである。
Intel純正のせいかは知らんが、他社製品にはテキトーな扱いで、グラボのVRAM容量8GBなのに4GB認識とかいろいろやらかしてくれている(というかMSIのグラボなのに、AMDGPUだからかよ!?)が、基本的には便利だ。
んで、最後にだが「唯一の不満点」を挙げておく。
このマザー、「PCIe x16 (PCIe2)」スロットを除くPCIeスロットが帯域を共有している。
そのため、最上段のPCIe x1と四段目のPCIe x1の「どちらか」にPCIeカードを挿すと、下段のx16スロットがx4から強制的にx2となる。
どこかのPCIeスロットを停止するといった設定も出来ない。
完全自動でこうなるので回避不可。
そのため、下段のPCIe x16スロットにNVMe-SSDを積んでGen3-x4で動作させたい場合、他のPCIeスロットは事実上使えない。
具体例としては、こういうことが帯域不足によって起きる。
左がx4、右がx2でのベンチ結果だが、トップスピードが見事に凹む。
T1設定だからまだ4k周りはこの程度で済んでいるが、T3あたりになると4K側の差も300MB/sを超えるので、体感速度に影響が及ぶ場合もある。
私のように、LANカード搭載してDualLAN使おうとか考えてる場合、必然的にNVMe-SSDの帯域を不足させて使うほか無くなるので、注意が必要だ。
使い方が限定されるが、安定性は高い。
さて、正直最初っから最後まで「余り良いこと」は書かなかったというか、書けなかったのであるが、個人的にはそれほど不満を感じていない。
というのも、衝動買いだし、ZEN供給安定するまでの「繋ぎ」って割り切ってるし、いざとなったらA10構成戻せばいいとしか考えてないからだ。
Intelのミドルクラスなら、こうなるってのはある程度分かってた事だし、ちょいと変わった構成を狙いに行くなら、Z170マザーを素直に買うほうが賢い。
ただ、このマザー「無茶な構成」を避けている関係から、動作安定性は極めて高い。
USB3.0機器は複数挿してもちゃんと3.0認識するし、XMPも(使ってないけど)ちゃんと動く。
ネタのつもりでいくつかPCIカードを挿してみたが、IEEE1394カードやTVチューナーなんかも普通に認識(チューナーはドライバがないけど)したので、PCIカード複数挿したい人なんかにはいいかもだ。
あと、以前に散々文句つけてたマニュアル類に関しては、かなり改善が見られたので、初心者でも安心して突撃できる製品になっているのは素直に評価したい。
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購入金額
12,000円
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購入日
2016年10月26日
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購入場所
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