レビューメディア「ジグソー」

TRPGの詰め合わせ、まさに福袋企画! でも、アイディアと練り込み次第では商品として成立するレベル、かも。

  • by
    L2さん
  • 2016/08/30
  • (更新: 2016/08/30)

RPGアンソロジーという、中々に挑戦的なスタイルの企画で作られたムックの第弐弾、だったかな。

1993年版は、先ごろ、ネットショップで入手しました。

こちらは、発行当時かその後に新刊での購入です。

 

コンセプトは、コンパクト&インパクト。

ふらりと集まったオフ会などで、直ぐに説明が行きわたって、楽しめる事、かな。

 

7作品収録で1800円。

一つあたり300円を切るというコストパフォーマンス!!

その低価格故に、アイディア勝負で組み立てる作品も掲載しやすい、という事で、パロディー的な作品が多いですね。

更新: 2016/08/30

どこかでみたような? という題材で背景設定をなじませる手法がGOOD!

単体のBOXセット、あるいはフルプライスで6000円位の作品であるならば、許されないとは思いますが。

7作品で1800円の低価格パックですので、大まかな世界観だけ伝えつつ、元ネタからのイメージで残りを補完する形ですね。

おおよそ、誰もが知っているネタによって、世界観説明を短くして、すぐにプレイ出来る為、かな。

 

収録作品の内、幾つかを詳しく、他はさらりと紹介します。

 

・バトルエンジェル

 美少女戦士作品を題材にしたRPG、良くある変身ヒーローの女性版だけかと思いきや、能力値にはチャーム、女王様、ポジション、羞恥心と不思議なものが登場。

 ポジションはセンターを張るアイドル美少女戦士を決める値だったり、女王様は相手を屈服させるオーラを持っていたり、チャームは愛らしさで敵を思いとどまらせる力。

 と、元ネタでの展開を能力で作りやすくしているスタイル。

 

・太陽の警察

 いわずと知れた、あの作品たちが題材です。

 キャラ作成の時に能力を決めた後、更に、刑事パワーを取って、あだ名を決めます。

 どこかで聞いたような話ですね?

 能力は、体力、人情、推理、拳銃の4つ。文字から伝わるように、そういう刑事らしい動きが出来るという事ですね。

 刑事パワーは特殊能力ですね。

 武道家、音楽チェイス、母さんの唄、千円入りの煙草、待ち伏せ、そうかわかったぞ、無限銃弾、最後の一発、どうしてここに。

 良く見る色々な刑事たちの名シーンを再現する能力達ですね。

 例えば、音楽チェイスは、テーマソングが流れている中で犯人を追いかけるとその音楽が終わる頃に追いついて確保出来る、という能力です。

 母さんの唄は、ルールブックに歌詞が掲載されていますw

 また、副能力として、殉職値と功績値があります。

 セッションの終わりに、「次に殉職、退場したら劇的だと思うキャラ」「今回活躍したキャラ」を無記名投票(自分には投票不可)してキャラに加算されていき、セッション開始時に1d12で殉職値以下が出たキャラは、退場或いは殉職となるルールです。

 功績値は、退場、殉職時に、好きな演出を使えるという数値です。殉職判定とは別に振った1d12の結果が功績値を下回った場合に成功で、そうでは無い場合は、ダイスの目に沿ってGMが決めてしまいます。

『事件の解決した夜、通り魔に刺されて、「おかあちゃん、暑いなあ」と言って死ぬ』

 というような演出が出来る訳です。

 

・プアープレイ

 当時、有名だったRPG「パワープレイ」の名前をもじったパロディー作品です。

 そして、文字通り、「プアー(貧乏)」なプレイで苦しむことが出来る素晴らしい作品です。

 最初の解説からして、『PCは作成当初から貧乏ですが、冒険を重ねるごとに成長し、ますます貧乏になります。きっと、だんだんと嫌気が差してくるでしょう』と来たもんです。

 期待が高まりますね!

 PCの種族は「人間」と「耳の長い人」です。耳の長い人は耳が長いくせに長命で老衰がなく、耳が長いくせに文化程度が高い、という種族になるようです。

 しかし、耳が長いために少子社会で、耳が長いために支配下に入りたいと思う人間がいない為に、強力な種族であるにも関わらず、世界を導く存在にはなれていない、との事。

 さて、能力値も変わっています。この作品では能力費と呼びます、この呼称で嫌な予感がした人がいるかもしれませんねw

 食費、家賃、交通費、所得税、雑費、交際費、光熱水道代、医療費、保険料、学費、遊興費、電話代の12の能力費があり、食費が高いほど力仕事に優れ、学費が高ければ知力を使う事が得意で、交通費が高いと行動の素早さに勝る、というような使い方をします。

 HPは所得税と同じ値となりまして、0以下になっても死亡しませんが、所得税の1.5倍のダメージを受けた場合(マイナス値が所得税の半分を超えたら)死にます。

 HPは所得税チェックをする事で、回復量×1円消費する事で回復可能です。

 そして、保険料の半分と同じマイナス値をHPが超えた場合は、破産して行動不能になります。HP回復行動も出来ません。

 冒険の報酬は、Xd6×100円が目安です。しかし、報酬決定時に、いずれかのダイスで1が出た場合は無報酬となります。

 冒険終了後の成長には、経費点を清算して入手する事が必要となります。

 経費点は、冒険開始時のPCのレベル×プレイに掛かった実時間で算出されたものと、冒険中、GMによって加算されたものの合計となります。

 経費点の清算は、所持金を経費1点に付き1円払う事で可能です。

 経費点は一点残らず清算する必要があります。所持金が足りない時は、借金、装備売却、HP減少をしてこなします。

 借金は1万円単位でレベル×10万円まで可能ですが、一回の冒険につき最低10%の元金返済の義務と冒険一回に付き20%の金利が発生します。

 ぶっちゃけ、借金する位なら死んだ方がマシですw

 成長する為に経費点を稼ぐと、冒険中の収入が追いつかなくて死亡する。

 忙しないプレイで更に苦しめます。

 というのがデザイナーのお言葉でした。

 

・もう誰も横浜の果てで涙という名の同窓会だけ見えない

 この題名でピンと来る人も、もう少なくなったかもしれませんね。

 いわゆるジェットコースタードラマです。

 分かり易く例を挙げると、

 「主人公の父親が癌で倒れ、恋人は上司の愛人であったと判明し、母親は麻薬中毒になり、経営していた会社を学生時代の親友に乗っ取られて追放され、その所業をなすりつけられ、頼りにしていた友人が多額の借金を残して失踪して、恋人に裏切られて投獄されてしまう」

 というお話が、一話の中で進行します。

 CMだし、と、トイレやお風呂に行ったら、戻ってきた時には起業に成功して祝福を受けていた主人公が何故か無一文の上に留置所に入れられて、元恋人に家族の仇、と憎悪の目で睨まれていました。

 という状態になっている訳です。

 一話見逃したから、話についていけない~。なんて、可愛いものです。

 ええと、まあ、そういうドラマをネタにしたRPGです。

 プレイヤーはドラマを演じる俳優をプレイします。

 最初は大人しく始まりますが、恋人が出来た瞬間に、その恋人が実はキャラを恨んでいたり、陥れようとしていたり、生き別れた妹だったり!という事件しかない表で判定されてしまいます。

 その中で一話の収録が終わる前に事件を決着させていくのが目的です。

 

・学園薔薇ダイス

 対戦型耽美格闘ゲーム、ということになります。

 ようするに不良系主人公のBL展開をプレイするゲームです。

 後は、ご想像にお任せします。以上。

 

・悪の秘密結社

 怪人側でプレイするRPGですね。

 戦闘能力などの能力に加えて信頼度というものがあり、これを使って作戦を売り込んだり、戦闘員を招集したり、必要な装備を得たりします。

 この信頼度が0になると、処刑されてしまいますし、51以上あると死亡時に50消費して再生怪人としてパワーアップする事が出来ます。

 信頼度は経験値とお金を合わせたようなもので、シナリオの報酬として与えられるものになりますね。

 より結社に貢献する行動を起こせれば良い訳です。

 世界を征服する為に!

 

・毒薬と短剣

 中世ルネサンス期のイタリアを舞台にしたRPG?

 PC達は、パーティならぬ、メディチ家、ペルッツィ家、サヴォイア家、ボルジア家などといった家のような、架空の一族を担う人物となって自らの出世とともに家の発展の為に活動するというものになります。

 通常のRPGのイメージとは異なって、どちらかというと、太閤立志伝的なゲーム性かな。

 キャラクターと同時に一族としての家や、支配する土地、都市をも成長させる所や、題材、舞台ともに大好きで、これが目当てな感じでこの本を買いました。

 しかし、重大な難点がありまして。

 ルネサンス期のイタリアの情報が、結構少ない。

 今なら、ウィキペディアなど、ネットで探せますが、当時ネット接続もかなりの金額が掛かるものでしたので、L2さんは未導入。

 全員で、ルネサンス期のイメージを共有する事が出来れば良いのですが、それが上手くいかないが為に中々にセッションを成功させ難かったかな、と。

 このゲームは、光栄のゲームが好きな人と出来ると楽しいと思います。

 

最後の、「毒薬と短剣」が、ちょっとハードルが高いかなあ、と考えますが。

それ以外の作品は、元ネタを想像しやすく、システムもしっかりと作られていて面白いゲームだと思います。

一つ一つは小粒ですが、練り込みをすれば単体作品としても通用する可能性を秘めたものたちで、正に福袋という作品ですね。

  • 購入金額

    1,800円

  • 購入日

    1994年頃

  • 購入場所

12人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • L2さん

    2016/08/30

    某支配人@新天地さん、ありがとうございます。

    私の家では、本棚の一番下に、何時も見えている位置にありましたw

    シンプルで、おおよそダイスだけで遊べつつも、色々な題材が元になっていて面白い、という原点な感じでしょうか。

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