陸自というか、全自衛隊における「現時点で、最も活躍した装備品」と言えば、多分こいつ。
こいつの名称は「野外炊具1号」という。
陸上自衛隊が装備するキッチン・カーで、これ一台で200人分の食事を一気に調理出来る。
単に汁物だけ(だいたい豚汁)を作る場合、1500食を一気に調理可能。
災害派遣において、ほぼ確実に出動している装備品である。
(ちなみに、自衛隊では何であれ兵器と呼ばず「装備品」と呼ぶ。)
こいつはアオシマの3トン半トラック(災害派遣仕様)の、いわばオマケとして付属するキットなのだが、今回メインの3トン半トラックは放置して真っ先にコレを組んだ。
こういう「兵器でない装備」とか好物なのですよ、ええ。
キット自体の出来を言うと、正直「足りてない」ところがかなり多い。
というか、そもそもキット自体が野外炊具1号を名乗ってない(炊事車としか書いてない)。
あくまでも雰囲気のためのオマケという扱いなので、省略個所が多いのだ。
具体的な省略・訂正個所は、以下の通り。
・万能調理器(車体中央の円筒形)にある、野菜取出し口、排水口、上部蓋がない。
・万能調理器、発動機、コンプレッサーを接続するベルトがない。
・調理釜の取っ手全部、調節式空気口がない。
・調理釜を固定している鉄骨構造の、U字鋼構造が未再現。
・牽引ブームのU字鋼構造が未再現。よってU字鋼の間を通るケーブルも未再現。
・フェンダーと車体を繋ぐ金具が全部付いてない。
・車体前方下部の火力調整板、消火器、後部表示板用の配電ボックスがない。
・表示板用の接続ケーブルがない。
・調理機用発動機の形状がかなり間違っている。
・車体後部のアウトリガー(停車時に車体が傾かないよう固定する金属の足)がない。
・後部調理釜の両側面、フェンダー前端にある反射板・停車ランプがない。
今回、これ全部を訂正する方向で作業した訳だが、フェンダー前端の反射板は五度作って全て失敗したので、そこだけ再現は諦めた。
なお、珍しく作業中の写真を撮っているので、今回は作業中写真を一緒に乗っけてみる。
地味にして、細かい作業を、延々と。
まず、フェンダーから続く足場の部分だが、端を薄く削る。
本来は薄い鉄板一枚で出来ているので、キットのままだと分厚過ぎ。
また、フェンダーの角が鋭角でないので、板にサンドペーパー貼ったもので角を出し直す。
次に、牽引プームをU字鋼材に変更。前部足場の直下あたりに「A」の字の横棒が来るよう組む。
その横棒から5ミリ程度前まではプラ板でU字鋼の凹みを埋め、埋めなかった部分には伸ばしランナーで後部表示板用の配線を作るが、正面から見て右側は二本、左側は太いのが一本。
右側の直前には配電ボックスが来るので、適当に資料写真を見てプラ材を貼付。
万能調理器の蓋、野菜取出し口、排水口はキットのランナーから削り出して作成。
発動機を繋ぐベルトは、伸ばしランナーを半分くらいになるまで平たく削ったもの。
発動機の形状も、ランナーの削り出しや伸ばしランナーで訂正した。
フェンダーと車体を繋ぐ鋼材は、1ミリのプラ角材を使用。
本当はもっと薄いが、接着強度を稼ぐためにはコレ以下だとボロボロ取れるので仕方ない。
車体前端下部につく火力調整板は、本来開閉するようになっているのだが、1x2mmくらいなので素直に諦めた。(真鍮材で再現した猛者もいる模様)
調理釜の鉄骨構造は、U字鋼型のプラ材で置き換え。
取っ手は全て真鍮線を曲げて作り付けた。(ちなみに、完成写真で一個欠けてる。そのうち直す。)
本来は釜の内側にも下向きの取っ手が付くのだが、流石に工作し切れなかった。
消火器が付いてないので、ランナーを細く削って(取っ手はそのとき削り出した)赤く塗ったあと適当にそれっぽくデカール貼って、でっち上げ。
これでも相当小さく作ったつもりだったんだが、これでもオーバースケールで車体の規定位置には収まらず。(作り直すの面倒なんで、はみ出し状態で車体に接着)
車体後部につくアウトリガーは1mmプラ角材とプラ板ででっち上げ。
調理釜側面の空気調整口はプラ板に穴をあけ、細長く切って貼付。
後部表示板はシルバーの上からクリア塗料を塗ったが、ウェザリングしたら透明感ゼロに。
牽引ブーム先につく表示板用のケーブル(牽引車に接続し、ウィンカーや尾灯を付ける)は、1mm径のスプリングを使った。
本来はもうちょい弾力のない部材のほうが良かったんだが、本物のほうがスプリングっぽい見た目なのでこれ以外の材料が思いつかなかった。
ちなみに、サビ表現はクレオスのメタルカラー(ステンレス)にフラットブラック、ペーパーがけで出たプラの粉末をとっておき、それらを混ぜて薄く塗った上からクリアオレンジをちょいちょい。
塗装劣化表現はコピックライナーのG94を適当に塗った後、極薄にしたエナメル塗料のグリーンとフラットブラック少量でぼかした。
水汚れっぽいグレーはタミヤのスミ入れグレー。
足回りの泥汚れは、タミヤのウェザリング・スティックをエナメル溶剤で溶いて、筆で塗った。
ウォッシング、ドライブラシ、基本塗装は手持ち塗料で適当にでっちあげたので、自分でも良く分かんない(ぉぃ
不足個所・修正箇所多し。ただ、キットが出たことを喜びたい。
たとえキットのオマケでも、主流より小さい1/72でも、修正箇所が山盛りでも、キットが出た事それ自体が貴重。
ものが小さいので、写真じゃだいぶテキトーに作ってあることがモロバレだが、実物は割と「手が入ってる」ように見えるのも、1/72サイズの良いところ。
ちなみに、本体の3トン半トラックはまだ完全に手つかず。そのうち作る・・・・・かも。
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購入金額
2,400円
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購入日
2016年07月15日
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購入場所
がじおさん
2016/07/16
zigsowの皆さん、プラモすごい上手ですよね! あこがれます。(^^
Vossさん
2016/07/16
ブランク長いせいか、加工精度が上がらなくて・・・・・
ちばとどさん
2016/07/16
そしてディテールにこだわって手を加えられた模型、釜の取っ手など付くと全然ちがいますね!
Vossさん
2016/07/16
走りながら炊飯可能なので、炊飯車でもあながち間違ってないかも。
宴会時には一升瓶ブチ込んで御燗車にもなりますが。
情報量が不足しているキットですが、手を入れる楽しさはあります。
れいんさん
2016/07/16
なんやろ
このワクワク感は
Vossさん
2016/07/16
まーくんZさん
2016/07/16
知り合いの社員さんは担当してませんでしたが。
ミリタリーモデルとか基本的に作りませんのでウェザリングの技術はあこがれますね。
Vossさん
2016/07/16
フジミと被りそうで被らない(被っちゃってるものもあるけど)ラインナップになってるので、色々と調整してんのかなー・・・・って思う事も。