二手に分かれた人類の対立はついに頂点に達し、戦争の火蓋が切られた。
その戦争の初期、損傷した乗艦の自爆によって、味方の撤退を援護した星系同盟宇宙軍のジャック・ギアリー少佐。
彼は、自爆直前に救命ポッドでの脱出を果たすが、結果的に殿を務めたギアリーだけは救出されることなく、英雄として名誉の戦死、そして二階級特進を果たす。
こうして、ギアリーは救命ポッドの冷凍睡眠カプセルで、永久に宇宙を彷徨うはず、だった。
しかし、奇跡的にポッドは救出された。
味方の艦隊が、かつての戦場を通りかかったからだ。
最も、その奇跡は彼にとって遅すぎた。
星系同盟と惑星連合の戦争、それ自体はまだ続いていた。
しかし、時代は「一世紀ほど」進んでいた。
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海兵隊出身のSF作家、ジャック・キャンベルによる人気戦争SF小説。
本作品の設定では、百年以上もの戦争により、人類は「科学力」こそ失わなかったが、「経験」を失っています。
長すぎた戦争が、軍人による「戦術」というノウハウの継承を途絶えさせた結果、戦術機動という概念を正しく理解していたのは、百年前から戻ってきたギアリー大佐(二階級特進)ただ一人。
実に何というか・・・・・・・・都合の良い設定というか、厨二病全開な展開ではある(ノウハウの継承が為されなくても、戦術理論まで喪失するには百年じゃ足りない)のですが、そこらへんの厨臭さを、相対性理論と豊富な軍事知識に裏打ちされた、
軍艦は、「光速に近い速度で動く」ことは出来ても「光速を超えての移動も観察も出来ない」
という、考えてみたら「宇宙戦闘って、相対性理論を是として行き着くとそうなるよな?」という設定と、その設定を上手く活用した戦術論の展開で、覆い隠すというか、吹き飛ばしています。
個人的に、設定とか話の進み方とかは「一昔前に流行ったよな、こういうの」という、一種の古くささを感じてしまうのですが、それを置いても「面白い」と思わせる内容で、ロボットとか超能力とか出てこないSFが読みたいなー、という人には結構おすすめ。
現在、七巻まで発刊されていますが、一応「彷徨える艦隊」それ自体は六巻で完結しています。
(七巻から新シリーズ)
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購入金額
882円
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購入日
2011年頃
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購入場所
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